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世界レベルのIT技術者・研究者を育成――NIIが研究センターを設立研究・教育・実践のハブを目指す

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 国立情報学研究所(NII)は4月14日、「先端ソフトウェア工学・国際研究センター(GRACEセンター)」の設立を発表した。

 センター長に就任したNII教授・東京大学 教授の本位田真一氏は、「近年のソフトウェア開発においては、『先端的・基盤的な研究が国内で不足していること』『研究成果を実践に適用させる際に開発現場とのギャップが存在すること』『サイエンスを理解したトップレベルのソフトウェア技術者が不足していること』の3つの課題が存在する」と述べた。これらの問題を解決するためにGRACEセンターは、「国際的研究機関との連携拠点」「産学連携拠点」「人材育成拠点」の3つの機能のハブとなり、研究・教育・実践を三位一体で運営する。

本位田氏写真
国立情報学研究所 教授 本位田真一氏

 研究活動としては、海外の研究機関と連携し、国際共同研究・交流の場を提供することを通じて、実践につながる中長期の先端的・基盤的な研究開発を行う。同時に、これらの研究成果を世界に発信し、分野横断的・組織横断的な世界レベルの連携を通じて若手研究者の育成につなげる。NII教授の胡振江氏は「ソフトウェア工学分野において、アジアで最大の国際研究拠点を確立する」と述べ、国際連携期間と共同研究プロジェクトや共同ワークショップ、研究者・学生交流や研究セミナーの開催を行うと説明した。また、具体的な研究事例として、「セキュリティ・セーフティのためのソフトウェア工学」の研究と「双方向モデル変換の言語的基盤」の開発を挙げた。2009年12月に国際シンポジウムを行う予定。

 教育活動としては、トップレベルのソフトウェア技術者(トップエスイー、Top SE)と、世界レベルの若手ソフトウェア工学研究者(トップリサーチャー、Top RE)の育成を行う。モデリング能力の開発を目的にモデリングツールを導入した教育プログラムを作成、実問題をベースとしたテキストを活用し、実践的な授業を展開する。これにより、ITエンジニアのスキルとして必須の「モデリング能力」「ツール適用能力」「モデリングツール適用による問題発見・解決能力」を涵養(かんよう)する。一方、企業との共同研究を通じ、最先端のソフトウェア工学ツールの開発や研究理論の構築を行う研究者(Top RE)も育成する。これらの研究者は、GRACEセンターが連携する国内外の大学や企業へインターンとして派遣する予定。

 実践活動としては、ビジネスイノベーションを引き起こすために研究とビジネスのギャップを埋める必要があるとし、連携企業から提起されたビジネス上の課題を、最先端の研究成果を活用して解決する「課題解決型共同研究」を推進する。同時にこの共同研究の場が、研究と実践を橋渡しするTop SEとTop REの育成につながるとしている。

 本位田氏は「日本のソフトウェア開発においては、研究と開発現場の相互作用、そしてそれらを横断する人材の育成が必要。GRACEセンターがそのハブとなっていきたい」と語った。

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