本稿は、SNS上で動作するアプリケーションの開発時に利用できる共通の機能セット、「OpenSocial」について徹底解説する特集記事です。
編集部注:SNSそのものについて詳しく知りたい読者は、記事「2006年のネット界を席巻したSNS」をご参照ください。
前編の「Google OpenSocialによってSNSで何ができるのか?」では、OpenSocialの歴史や登場の背景、ソーシャル・アプリケーションとしてどんなものが考えられるかについて説明しました。後編となる今回は、具体的にアプリケーションを開発しながら、OpenSocialの可能性を探っていきましょう。
OpenSocialアプリケーション作成のための準備
SNS市場は非常にエキサイティングになってきています。つい先日、SNS大手の「MySpace」もOpenSocial対応のアナウンスを出し、2008年3月末にサイトもオープンしました(参考「MySpace日本版、開発者向けプラットフォーム公開」)。SaaS企業である米セールスフォースも加わり、エンターテインメント以外のソーシャル・アプリケーションも登場しています。
OpenSocialアプリを試すには、それを動かす環境が必要です。いくつかのSNSサービスでは、すでに開発者向けのサイトをオープンしています。下記のものがそれぞれ準備されています。
- Orkutの「Developer Sandbox」「Developer Sandbox」
- MySpaceの「MySpace Developer Platform」「MySpace Developer Platform」
- hi5の「hi5 Developer Center」「hi5 Developer Center」
また2008年4月21日に、すでにGoogleがサービスとして提供している、GoogleガジェットでもOpenSocialアプリ(「ソーシャル・ガジェット」)を開発できるようになりました。友人リストなどSNSでしか見られなかった情報がiGoogleで確認できるようになったのです(参考「Google、開発者向けにiGoogle Sandboxを立ち上げ」「iGoogleのSNS化に乗り出したGoogle〜OpenSocial APIを使ったガジェットで実現〜」)。
この中で筆者が一番使いやすかったのは、国際的に成長が続いているSNS「hi5」でした。サイトが正しく日本語化されており、アプリケーションの動作テストも簡単に行うことができました。グーグルが擁する「Orkut」は機能的には問題ないのですが、動作がやや不安定だという印象を受けました。以後の作業は、hi5上で進めていくことにします。
hi5のユーザー登録
まず開発を始める前に、hi5自体のサイトにユーザー登録をする必要があります。hi5のTOPページからユーザー登録を行います。ここでは、開発をスムーズにするために、最低2つのアカウントを登録しておきましょう。
ソーシャル・アプリケーションは、通常のオフィスアプリケーションとは異なり、基本的には複数人で利用されることが前提になります。そのため、「自分がアプリを利用した場合」「閲覧者がアプリを利用した場合」といったように、利用者の立場や閲覧するページによってそれぞれアプリの挙動が変わります。こうした動作を確認するためには、複数のアカウントを切り替え、アプリケーション所有者、閲覧者のそれぞれの立場になりながら開発やテストを行う必要があります。
アカウント登録が終わったら、それぞれログインして、お互いをフレンドリンクしておきましょう。できれば、もう1つアカウントを作って、こちらはわざと誰ともフレンドにならないようにして登録してみてください。「フレンドではない人が、アプリを閲覧したらどうなるか?」という実験に使えます。
hi5デベロッパアカウントに登録
hi5上でアプリケーションを開発するためには、通常のアカウント登録とは別に、デベロッパアカウントへの登録が必要です。先ほど作った2つのアカウントをどちらも登録しておきましょう。「hi5 Developer Center」の「Get Started」から登録を行います。
登録が完了すると、hi5のアカウントに図4のような「デベロッパ」メニューが追加されます。
これで開発のための準備は整いました。次ページからは、いよいよ実際にOpenSocialアプリケーションの作り方を解説していきます。
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