SQL Server 2008で管理業務はこう変わる:一気に分かるSQL Server 2008 新機能(2)(2/3 ページ)
前回はSQL Server 2008の概要説明、ならびにコンセプトと新機能をご紹介しました。第2回の今回は、管理者向けの新機能について紹介します。第1回でご紹介したSQL Server 2008のさまざまな追加機能のうち以下の5つに注目して詳しく見ていきます。
ポリシーベースの管理(Declarative Management Framework)
データベースやインスタンスが多数ある環境の管理者にとって、設定ルールが順守されていることを保証することは重要ですが手間のかかる作業です。
SQL Server 2008で導入されたポリシーベースの管理ではあらかじめ定義したポリシーをベースに、データベースがポリシーどおりに設定されているかのチェックや、DDL文実行時にポリシー違反の検出を行うことができます。
また、評価の対象はSQL Server 2008だけではなく、SQL Server 2000/2005のインスタンスも対象にできます。
ポリシーベースの管理を行うために知っておく必要がある用語を表4に挙げています。
用語 | 説明 |
---|---|
ファセット | SQL Serverに組み込まれている設定項目の集合体 (Table、Audit、Surface Area Configurationなど) |
条件 | ファセットに対して設定する条件 (例:Tableの名前はtbで始まること、監査ファイルのサイズは100Mbytes以下であることなど) |
ポリシー | 条件の適用方法と範囲の定義 (対象のデータベースはpubsであること、実行モードは要求時であること、違反した場合はコマンドをエラーにするなど) |
表4 ポリシーベースの管理で利用するオブジェクト |
なお、ポリシーの設定手順は以下のとおりです。
1.ファセットを基に条件を作成
2.条件を基にポリシーを作成
3.ポリシーを使って評価を行う
図4は、表の名前がtbで始まるような条件を作成し、要求時に評価するように構成したポリシーを、SQL Server 2008上のAdventureWorksデータベース(サンプル データベース)で評価した例です。
図4 ポリシー評価を行った例(クリックで拡大)
この例では対象がAdventureWorksデータベースなので、表の名前がポリシーで指定したtbという文字列で始まらないため、ポリシー違反が検出されている
図4の例以外にも、データファイル、ログファイルの最大サイズやファイル拡張の設定、サーバが獲得する最大メモリサイズ、データベースの暗号化有無などが管理できます。
詳細は[オブジェクトエクスプローラの管理]から[ポリシー管理]、[ファセット]を選択すると一覧が表示できます。
以上がポリシーベースの管理の概要です。
情報システム内で適用されるべきポリシーを定義すれば、そのポリシー順守の確認ができ、パワーユーザーによるポリシー違反の設定変更抑止や記録ができます。
また、設定を強制する機能を持っているので、複数のデータベースの設定変更を一度に行えます。この機能は管理者の管理業務の一助となるでしょう。
データベースミラーリングの機能改善
SQL Server 2005の新機能であったデータベースミラーリングは、インスタンス間でトランザクションログを転送し、データベースを冗長化することで可用性を高める機能です。SQL Sever 2008におけるデータベースミラーリングの機能改善を表5にまとめました。
カテゴリ | 改善機能 | 機能概要 |
---|---|---|
効率改善 | ログストリーム圧縮 | 転送するトランザクションログを圧縮し、通信量を削減 |
ログバッファの改善 | 転送ログをキャッシュするアルゴリズムの向上 | |
ログの書き込み | 転送されたログを非同期にディスクに書き込み | |
可用性向上 | 自動ページ修復 | 破損ページをミラーサーバから自動修復 |
表5 データベースミラーリングの機能改善一覧 |
SQL Server 2008のデータベースミラーリングは、SQL Server 2005に比較して効率の改善と可用性の向上が図られています。
ログの圧縮による通信量削減はWANを介しているようなケースでは期待できる改善です。SQL Server 2005でデータベースミラーリングの運用をされている方は性能試験をしてみてはいかがでしょうか。
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