「パンくずリスト」があるから、もう迷子にならない
前述のとおり、Javaクラスをエディタで開いた状態でツールバー上のアイコンをクリックすると、パンくずリストが表示されます。
パンくずリストの三角のマークをクリックすると、クラス内のメソッドの一覧やパッケージ内のクラス一覧などが表示され、メソッドへのジャンプや同一パッケージ内へのほかのクラスの表示を[アウトライン]や[パッケージエクスプローラ]を利用することなく素早く行えます。
Eclipse 3.4のディストリビューション一覧
前述しましたが、3.2まではEclipseはEclipse本体と個別のプラグインで提供されていましたが、前回のリリースの3.3からは、Java EE開発やC/C++開発など目的別にEclipseのディストリビューションが提供されるようになりました。
3.4からは、「Eclipse Modeling Tools」「Eclipse IDE for Java and Report Developers」が追加されて、以下のディストリビューションが提供されています。
3.2までの元祖Eclipse — Eclipse Classic
ベーシックなJavaアプリケーションを開発するためのディストリビューションです。Eclipse本体とJavaの開発をサポートするJDT、Eclipseプラグインの開発をサポートするPDE(Plug-in Development Environment)など、最小限のプラグインが含まれます。
Javaアプリケーションを開発する場合、「Eclipse IDE for Java Developers」や「Eclipse IDE for Java EE Developers」の方が便利な機能がセットになっているので、そちらを利用した方がいいでしょう。
アプリ開発 — Eclipse IDE for Java Developers
Javaアプリケーションを開発するためのディストリビューションです。基本的なJava開発のための機能は含まれますが、PDEは含まれず、その分、サイズは小さくなっています。
また、後述するMylynも含まれています。Java EEを利用したWebの開発ツールは含まれないので、Webアプリケーションを開発する場合は、「Eclipse IDE for Java EE Developers」を利用します。
編集部注:Mylynについて詳細を知りたい読者は、連載「CoolなEclipseプラグイン」の第23回「Mylyn&Tracでリズムに乗ってタスクを大掃除♪」をご参照願います
Java EE開発 — Eclipise IDE for Java EE Developers(本稿の中心)
JavaとJava EEアプリケーション開発のためのプラグインが含まれています。「Eclipse IDE for Java Developers」にWebアプリケーション開発のためのWTPとDBを利用するためのDTPを含んだ状態で提供されています。
C/C++アプリ開発 — Eclipse IDE for C/C++ Developers
C/C++言語で開発を行うためのCDT(C/C++ Development Tools)を含んでいます。シンタックスハイライト、コード補完、ランチャ、デバッガ、検索エンジンとmakefileジェネレータを提供しています。3.4からの新機能として、文法のハイライトの改善、GDBハードウェアデバッギングとブレークポイントアクションなどのデバッグの改善、MinGW、IBM xICツールチェインの統合がサポートされます。
編集部注:CDTについて詳細を知りたい読者は、記事「『CDT』で効率的なC/C++開発を実現する」をご参照願います
モデリング・UML活用
— Eclipse Modeling Tools(includes Incubating components)
このパッケージは、Eclipse Modelingプロジェクトのコンポーネント群を含んでいて、SDKと開発者用のツールとソースコードも含んでいます。また、バージョンが1.0.0に達する前のインキュベーション状態のコンポーネントを含んでいるので、注意してください。
Eclipseプラグイン/RCP開発
— Eclipse IDE for RPC/Plugin-in Developer
Eclipseプラグイン、Eclipse RCP(Rich Client Platform)によるRIAの開発をサポートするパッケージです。プラグイン/Eclipse RCP開発に必要なJavaの開発機能とXMLエディタ、Mylynが提供されています。
また、プラグインやEclipse RCPアプリケーションを開発する際には、Eclipse本体のソースコードを参照しながら実装例を探したり、デバッグ時にEclipse本体の動作を確認する必要があるので、Eclipseプラットフォーム自身のソースコードも含まれています。3.4からはEclipseを利用したコミュニケーションをサポートする「Eclipse Communication Framework」が同梱されています。
Java EE開発+レポート作成支援
— Eclipse IDE for Java and Report Developers
「Eclipise IDE for Java EE Developers」にレポートの作成を支援するBIRT(Business Intelligence and Reportting Tools)を含めたものです。
編集部注:BIRTについて詳細を知りたい読者は、記事「Eclipse BIRTとスプレッドシートでBIレポーティング」をご参照願います
着実な進歩を遂げるEclipse。4.0はどうなる?
Eclipse自身は、すでに開発環境として成熟した域に達してきているので、Eclipse 3.4での新機能といっても地味な機能改善、機能追加がメインとなってきています。また、ここでは紹介しなかった細かい機能改善もたくさんあります。
Eclipseは地味ではありますが、少しずつ操作性を改善するものとなってきています。いま利用しているEclipseを即座にバージョンアップするほどの魅力は以前の新リリース(Eclipse 3.3)より薄れてきていますが、Eclipse 3.3に慣れているユーザーには違和感なく、さらに使いやすくなっているともいえますので、ぜひ一度利用してみてはいかがでしょうか。
次期のメジャーバージョンアップとなるEclipse 4.0の検討もすでに始まっています。こちらは、メジャーバージョンアップなのでEclipse 3.x系と異なり、大幅な機能強化が期待できます。今後も進化し続けるEclipseを見守っていきたいと思います。
@IT関連記事
CoolなEclipseプラグイン
役立つプラグインを毎月紹介。第1回は「Javaのプロパティファイルエディタ」「Tomcatコントローラ」「HTML/JSP/XMLエディタ」
第1回 Javaプロパティファイルを編集できるEclipseプラグイン
第2回 ソフトウェアの品質向上を支援するプラグイン
第3回 データベース開発を支援するプラグイン
第4回 Webアプリケーション開発を支援するプラグイン
第5回 正規表現の入力・テストをするプラグイン
第6回 サンプルコードの入手をサポートするプラグイン
第7回 プログラミングにあると便利なプラグイン
第8回 RSSを表示できるEclipseプラグイン
第9回 データベースの利用に便利なEclipseプラグイン
第10回 スクリプト言語をサポートするEclipseプラグイン
第11回 ビルドを効率化するEclipseプラグイン
第12回 便利なプラグインの集大成MyEclipse
第13回 簡単にFlashアプリを作成できるFlexBuilder 2
第14回 軽量なUMLプラグインAmaterasUML
第15回 バージョン管理に便利なSubversiveプラグイン
第16回 EPFプラグインでらくらく開発プロセス管理!(入門編)
第17回 EPFプラグインでらくらく開発プロセス管理!(実践編)
第18回 お決まりコードを設計書から自動生成するblancoCsv
特別編 徹底解剖!! Eclipse3.3 Europaの“新世界”
第19回 Project Zeroでスクリプト+Ajaxのアジャイル開発
第20回 ERダイアグラムを編集するAmaterasERDでDB設計
第21回 Apache LDAP StudioでLDAPはもう怖くない
第22回 JavaScriptを書かずにAjaxを実現するjMaki
第23回 Mylyn&Tracでリズムに乗ってタスクを大掃除♪
第24回 これはすごい!? コード品質のカイゼン化プラグイン2種
とっても簡単Eclipseプラグイン
ここはとある開発室。先輩プログラマの長尾君と新人プログラマの田中君が、開発に役立つEclipseプラグインの作成を始めた
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.