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VMotion、DRS、そしてVMware HAVMware Infrastructure 3 徹底入門(3)(1/4 ページ)

ハイパーバイザの「VMware ESX」をベースに、サーバ運用の自動化と円滑化のためのさまざまな機能を組み込んだのが「VMware Infrastructure 3」だ。仮想マシンを無停止で別の物理サーバに移動することで、ハードウェアのメンテナンスを楽にしたり、自動的に各物理サーバ上の負荷を調整したり、低コストで可用性を確保したりすることができる。今回はこれらの有用な機能について解説する

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 市場には複数の仮想化ソフトウェアが存在しており、中には無償で利用可能なものもある。例えば「VMware Server」はその1つだ。かつて「VMware GSX Server」として有償で販売されていた製品を無償化し、誰でもダウンロードして利用できるようにしたものだ。その一方で、有償製品である「VMware Infrastructure 3」は企業の仮想化基盤として多くのユーザーに採用され続けている。その理由は仮想マシンならではのさまざまな付加価値が提供されているからにほかならない。今回はVMware Infrastructure 3が提供する機能、「VMotion」「DRS」「DPM」「VMware HA」について説明する。

VMotion - 物理マシン間の無停止移動

 VMware Infrastructure 3を選ぶ大きな理由の1つに「VMotionが利用できる」ということがある。そのくらい強力で、かつ便利な機能がこのVMotionである。

 VMotionという機能を一言で述べると、「ある物理マシン上で動作中の仮想マシンを、無停止で別の物理マシン上に移動する機能」である。

図1 VMotionでは、異なる物理マシン間を仮想マシンが無停止で移動できる
図1 VMotionでは、異なる物理マシン間を仮想マシンが無停止で移動できる 

 このとき、仮想マシン上で動作しているゲストOSやアプリケーションは無停止で移動が可能である。IPアドレス、MACアドレスなども一切変更なしで移動する。TCPなどのコネクション指向の各種セッションも完全に維持したまま移動できる。まさにダウンタイムゼロでの移行を可能にしている。

 VMotionの応用範囲は非常に広い。例えば物理マシンのメモリの増設やCPUの交換など、何らかの計画的な保守を行いたい場合を想定してみる。通常このような物理的な保守を行う場合は、いったんマシンの電源を停止させる必要がある。サービスの中断が許されないようなシステムであった場合は、クラスタリング機構を用いて待機系に切り替えてから保守を実施したり、あるいは週末や深夜など、サービス停止の影響が最小限となる時間帯を選んで保守を実行することになる。VMotionを用いると物理マシンの保守は飛躍的に容易になる。保守の対象となる物理マシン上で動作している仮想マシンを、VMotionでほかの物理マシン上に無停止で移動させられるからだ。保守が完了したら再びVMotionで仮想マシンを本来の位置に戻せばよい。

図2 VMotionの活用例1:サービスの中断なしで保守を実施
図2 VMotionの活用例1:サービスの中断なしで保守を実施

 ワークロード(物理マシンの負荷)を均一に保ちたい場面でもVMotionが役に立つ。例えばある時間帯、特定のマシンにトランザクションが集中し、処理性能が不足しているという状況を考えてみよう。このとき、ほかの物理マシンの計算資源に余力があるならば、VMotionを用いて仮想マシンを移動させてしまうことができる。これにより特定の物理マシンのみに負荷が集中しているという状況は緩和され、保有している計算資源を比較的均等に活用することができるようになる。

図3 VMotionの活用例2:ワークロードに応じて仮想マシンを移動させ、各物理マシンの負荷を均一に近い状態に保つ
図3 VMotionの活用例2:ワークロードに応じて仮想マシンを移動させ、各物理マシンの負荷を均一に近い状態に保つ

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