新人(3年目)、先輩デビューで「最悪の振る舞い」:システム開発プロジェクトの現場から(20)(2/3 ページ)
開発現場は日々の仕事の場であるとともに、学びの場でもある。先輩エンジニアが過去に直面した困難の数々、そこから学んだスキルや考え方を紹介する。
初めての後輩がやってきた
こうした自身の仕事の前進のほかに、新たな財産も得ました。それはSVとしての経験です。入社3年目を迎えた私のチームに後輩2人が入り、私が彼らのSVとなったのです。
当初は、社会人として次のステップに移れたことを純粋にうれしいと感じました。しかしSVの具体的なイメージは描けず、焦燥感とも取れる気概で空回り、後輩を振り回してしまったなぁと思います。
「SVやってね」と上司からいわれたものの、何をしていいのか分からず、まずは朝イチと帰り際に作業の予実チェックをして、彼らの作業がうまく流れるようにしていこうと考えました。
後輩A 「檜山さん、今日のタスクです」
檜山 「はい。……ん? なんで作業手順こっちが先なの? こっち先に出せば、その結果待ちの時間でこれできるじゃん?」
後輩A 「まあ、そうですが」
檜山 「(心の声)まあそうですが、って? 分かっていてなぜそうしない……、私には見えるよ、こっちを先にやった方が絶対効率いいって!」
この心の声が無言の圧力になったのか、後輩Aは私の提案どおりに進めることにしたようでした。
その後の日々も、
後輩A的最適解 ≠ 檜山的最適解
というすれ違い状態が続きました。私は自分の解が相手にとっても最適であると信じ込み、檜山的最適解に寄せこそすれ、相手の目線、経験、年次といったたぐいのものを考慮することはありませんでした。
けれどもちろん、そんな無理やりな状況は長くは持ちません。私の独り善がりな圧力が、大きな事件を引き起こしました。
3年目SE vs.後輩A、大荒れの予感
とある穏やかな昼下がり。
檜山 「明日移管だねー、X案件のテスト問題なかった?」
後輩A 「はい」
檜山 「じゃあ、クロスチェック後でしておくね」
後輩A 「お願いします」
当時、システム修正に当たっては、修正後にまず担当者がテスト、その後担当者のSVがもう一度テストという二重チェック体制をとっていました。
X案件もこの対象でしたが、後輩も問題なかったといっているし、先に優先度の高い案件の対応をしてからX案件をチェックしようと、ひとまず別作業に取り掛かりました。
大荒れの予感がする夕暮れ。
檜山 「さてX案件、チェックしますか。って、ねぇ、ファーストステップからエラー出ているよ」
後輩A 「え? そんなわけないですってー」(若干スマイル顔)
――しばし平行線状態のやりとり――
檜山 「なんで?! じゃあ、なんでいまできてないの? 全然分からない! いってたことと違うでしょ?」
後輩A 「あ……、でも、本当にあのときは、問題なかっ……」(完全引きつり顔)
檜山 「いい訳はいらない!」
大荒れです。自分で思っている以上に声を荒らげてしまったようで、上司がパソコン越しに私をのぞき見ています。後輩は顔を真っ赤にして下を向いたまま。同期がすぐに寄ってきて、「檜山、コーヒー買いに行こうよ」と私を外に連れ出してくれました。
その後プログラムの再修正が必要と判明し、私の上司、私、後輩2人で夜を徹して作業を行ったのですが、この間も私はカッカしたまま、後輩は無言のままでした。
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