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スパニングツリープロトコル、動作の仕組みネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(18)(1/2 ページ)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。

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 今回は、スパニングツリープロトコルの必要性と動作について解説します。

スパニングツリープロトコル概要

 スパニングツリープロトコルは、冗長構成になっているスイッチドネットワークにおいて、ブロードキャストストームなどのループによる問題を回避するためのプロトコルです。IEEE802.1Dで標準化されています。冗長構成とは、予備のデバイスと回線を用意し、あて先ネットワークに到達するための経路が複数あることを指します。たとえメインで使用している経路がダウンしたとしてもバックアップの経路に切り替えることにより通信を継続することができます。

 ネットワークを冗長構成にすると可用性を高めることができますが、適切な設定を行わないと意味がありません。特にスイッチを冗長化した場合には、考慮しなければならない点があります。

 スイッチはブロードキャストフレームを受信するとフラッディング(多数のデータを洪水のように流すこと)を行います。例えばホストからARPリクエストが送信されたとします。ARPリクエストはブロードキャストフレームとしてスイッチに届きます。受信したスイッチは受信ポート以外の全ポートあてにフラッディングをします。さらにそのブロードキャストフレームを受信した対向側のスイッチは、またフラッディングするというように、スイッチ間でブロードキャストフレームが転送され続けてしまいます。このような状況を「ブロードキャストストーム」といいます(図1)。ブロードキャストストームが発生すると正常な通信ができなくなります。止めるには、ケーブルを抜くか電源を切るしかありません。

図1 ブロードキャストストーム
図1 ブロードキャストストーム

 このような事態にならないようにするため、スパニングツリープロトコルが必要になります。スパニングツリープロトコルによって物理的には冗長構成を維持し、論理的にどこかのポートをブロック状態にしてブロードキャストフレームがループしないようにします。メインの経路がダウンしたらブロック状態にしていたポートを転送状態に戻して通信を継続させることが可能です(図2)。

図2 スパニングツリープロトコルによる経路の切り替え。×は経路(通信)をブロック、○はブロック解除
図2 スパニングツリープロトコルによる経路の切り替え。×は経路(通信)をブロック、○はブロック解除

確認問題1

問題

 スパニングツリープロトコルを使用する目的を2つ選択しなさい。

a.スイッチが冗長構成になっているときのループを防ぐため

b.VLANの管理を行うため

c.ルーティングプロトコルを使用するため

d.冗長構成でアクティブな経路を1つだけにするため

e.障害が発生した経路を復旧させるため

正解

 a、d

解説

 スパニングツリープロトコルは、冗長構成になっているスイッチドネットワークにおいて、ブロードキャストストームなどのループによる問題を回避するためのプロトコルです。ポートをブロック状態にすることでアクティブな経路を1つにし、ループを回避することができます。従って、選択肢a選択肢dが正解です。選択肢bはVLANの管理を行う目的ではありません。選択肢cはルーティングプロトコルとは無関係です。選択肢eは障害が発生した場合はバックアップの経路を使用するため不正解です。

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