心身を健やかに保つためにも運動が有効というのは、誰もが知っていること。だが、社会人になると、学生時代のように運動を続けるのはなかなか難しくなる。
特集:運動で変わるシゴトとカラダ バックナンバー
- 第1回 ITエンジニアの76%は運動不足に悩んでいる
- 第2回 21世紀の教養は、「社会貢献」と「運動」である
- 第3回 脳科学で解明:運動は記憶力と創造力に効果あり
- 第4回 エンジニアライフ時事争論:運動する人、しない人
- 最終回 運動を長く無理なく続けるコツ
2009年4月にマピオンが社会人男性268人に調査した「会社帰りのスポーツ志向について実態調査」(*1)によると、「スポーツに興味はあるが、(平日夜に)始められない理由」で多かったのは、「時間がない」(44%)、「お金がない」(14%)だった(図1)。
(*1)調査実施期間は2009年3月24〜31日、調査対象は、『ヨルコ×ヨルタ』一般ユーザーの社会人男性268人)
今回は、上記調査で上位に挙がっていた「時間がない」「お金がない」の解決方法を紹介する。
「時間がない」を解決する
日本アイ・ビー・エムでITエンジニア 主査を務める佐藤守氏は、SEとして多忙極める傍ら、学生時代に取り組んでいた柔道を社会人になっても続けている。さらに、社会人になってからは、ブレイクダンス、サーフィン、筋力トレーニングを新たに始めた。「アスリートの体を目指してる」(佐藤氏ブログより)エンジニアだ。
佐藤氏に、ある一週間のスケジュールを聞いた。ダンスは週に1〜2回、柔道は週1回、ジムは週2回と、平日夜も休日も運動に多くの時間を割いている。
月 | 9〜0時(仕事) |
---|---|
火 | 9〜0時(仕事) |
水 | 9〜20時(仕事)、21〜23時30分(ジム) |
木 | 9〜0時(仕事) |
金 | 9〜20時(仕事)、21〜23時30分(ジム) |
土 | 休日(柔道) |
日 | 休日(ダンス) |
佐藤氏は「運動をすることで、仕事とプライベートにメリハリが付くため、かえって時間を効率的に使える」と話す。「学生のころ、『部活をするかしないか』で議論になったことがありませんか? わたしは『部活をする派』だったのですが、日ごろ体を動かし、テスト前はしっかり勉強に集中するという生活をしていました。メリハリがないと逆に勉強しないので、勉強するためにも部活は大事だと思っていたましたね。それは社会人になってもいえると思います」(佐藤氏)。
また佐藤氏は、運動を続けるには「仕事と同じで、目標を立てることが重要」だと述べる。実は佐藤氏、今年の4月に「DANCE@LIVE 2009」というダンスの大会にブレイクダンス部門で出場している。DANCE@LIVEは、1万人規模のストリートダンス ソロバトル大会だ。全国からダンスマニアが集結する日本最大級のダンスバトルであるため、生半可な練習量では出場すら難しい。佐藤氏は今年の夏にもイベントへの出場を計画している。コンスタントにイベントや大会に出場することで、運動を続けていける。
だが、いくら佐藤氏でも、休日や平日深夜まで仕事が入ってしまったときは、さすがに時間がなくて運動ができないという。
会社に運動施設があれば仕事中にリフレッシュができる。しかし、多くの会社には運動施設がない。では会社で運動をするにはどうすればいいか。
エンジニアライフ コラムニストの小沢英裕氏の記事にもあるように、最近では社内でヨガ教室を開くという会社がある。
アーバンヨガスペースは、元ITエンジニアの大石裕司氏が2008年に設立した出張ヨガサービスの会社。インストラクターが会社に訪問し、空いているスペースを使ってヨガのレッスンをする。「企業が社員のメンタルヘルスを改善するのにヨガを有効活用するケースに対応しています」(大石氏)。料金は60分で1万7000円(20人程度の参加者を基準とした値段)。
ほかに、オフィスで仕事の合間にできそうな運動として、「ウェーブストレッチ」がある。ウェーブストレッチリングを考案した牧直弘氏は、人間にとって最も心地よい動きを「ゆらぎ」であると定義。ウェーブストレッチリングという輪を手に持ってストレッチすることで、体のほぐし、伸ばし、引き締めを同時に行う。体のバランスを調整する効果もある。ウェーブストレッチリングを踏めば、足裏マッサージもできる。
「お金がない」を解決する
次に、お金の問題を考える。
ITSの福利厚生を利用する
関東のIT企業が多く加入していることで知られる、関東ITソフトウェア健康保険組合(ITS)は、いくつかの運動施設と提携している。
ITS加入法人の従業員は、例えばコナミスポーツクラブなら、1回に340〜1100円で施設を利用できる。ゴルフ場やテニスコートも割安で利用できるため、気になる人はITSのWebページで確認しよう。
パーソナルトレーナーを付ける
筋力トレーニングをする際、ジムを利用するか、パーソナルトレーナーを付けるかは悩みどころだ。予算が許せばパーソナルトレーナーを付けて自分に合った方法でトレーニングをしたいと考える人は多いだろう。パーソナルトレーナーの肥塚隆裕氏にパーソナルトレーニングの相場を聞くと、30分で3150円(税込み)が平均的な価格帯だという。そのほかにトレーナーの交通費や施設利用料がかかる。施設は、東京体育館などの公共施設を利用すれば、2時間で450円程度で済む(施設によって値段は変わる)。
5月の特集では、「運動で変わるシゴトとカラダ」をお届けしました。ご愛読ありがとうございました。 来月は「オフィス環境」について特集します。お楽しみに!
特集ラインアップ
@IT自分戦略研究所の5月のテーマは「運動」。特集:「運動で変わるシゴトとカラダ」、ラインアップは次のとおり。
- ITエンジニアの76%は運動不足に悩んでいる
特集:運動で変わるシゴトとカラダ(1) 運動人口が増加傾向にある中、ITエンジニアは依然運動不足。世間一般とITエンジニアの運動状況を比較した
自分戦略研究室 2009/5/25 - 21世紀の教養は、「社会貢献」と「運動」である
特集:運動で変わるシゴトとカラダ(2) 文明の進歩が人間を運動から遠ざけた。何でも簡単に手に入る時代に、現代人があえて肉体を動かすことの意義を考える
自分戦略研究室 2009/5/26 - 脳科学で解明:運動は記憶力と創造力に効果あり
特集:運動で変わるシゴトとカラダ(3) 運動がITエンジニアの仕事や健康にどう役に立つか。運動しているITエンジニアや一般のビジネスパーソンを例に脳科学的に考える
自分戦略研究室 2009/5/27 - エンジニアライフ時事争論:運動する人、しない人
特集:運動で変わるシゴトとカラダ(4) エンジニアライフのコラムニストは運動についてどう考えているのか。運動する人、しない人それぞれの意見を聞いた
自分戦略研究室 2009/5/28 - 運動を長く無理なく続けるコツ
特集:運動で変わるシゴトとカラダ(5) 運動を続けられない理由には、「お金がない」「場所がない」「時間がない」などさまざまな問題がある。これらを解決する方法を紹介
自分戦略研究室 2009/5/29
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