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IT業界に女性エンジニアの活躍の場をTech・Ed2009「Women in Technology」レポート

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 マイクロソフトは8月26日、同社主催の技術者支援カンファレンス「Microsoft Tech・Ed Japan 2009」内で、女性エンジニア向けのプログラム「Women in Technology」を開催した。Women in Technologyは、女性エンジニアのキャリアや働き方を考え、女性を中心としたコミュニケーションやネットワーキングを行うプログラムである。同社の技術者支援の一環で、今年で4回目を迎える。

 同プログラムでは今年も例年どおり、さまざまな企業に勤めるITエンジニア男女と、ファシリテータ役の同社 社員を集めたランチセッション「Women in Technology ランチ」が実施された。50人弱の男女が、昼食を食べながらのリラックスした雰囲気で、女性エンジニアのキャリアや働き方について議論した。


会場の風景

IT業界では、女性はまだマイノリティ

 ランチセッションの冒頭では、同社 執行役 人事部長 四方(よも)ゆかり氏によるオープニングスピーチがあった。四方氏は、IT業界における女性の地位や、同社が取り組んでいる福利厚生について語った。


マイクロソフト 執行役 人事部長 四方ゆかり氏

 「IT業界は比較的新しい業界であり、ほかの業界に比べ慣習やしがらみが少なく、若い女性が活躍しやすい。一方で、新しいゆえ、長年の経験を積んだリーダー格の女性が少なく、輩出にはまだ時間がかかるのが悩み」(四方氏)。

 マイクロソフトの日本法人では、女性の比率が全社員の2割ほどである。同社は、IT業界で働く人たちの多様化を推進する取り組み「Diversity&Inclusion」の価値観の下、Women in Technologyのような機会をとおして女性社員の数を増やしていく計画だが、「単純に女性社員の数を増やすだけでなく、幹部、管理職といった組織を引っ張っていく立場の女性を増やしたい」意向である。

 だが、女性社員(女性管理職含む)の数が増えても、離職率が高ければ意味がない。数を増やす取り組みだけでなく、働き続けられる環境作りこそ重要だ。それについて四方氏は「マイクロソフトでは通常の有給休暇のほかに、子育てや介護など家族のために使える休暇制度を2年前から用意している」と話す。小さい子どもがいる社員は、子育てに有給休暇を使い切ってしまい、社員自身がゆっくり休息を取ったり、自分の勉強に当てる時間が作れないという問題に配慮し、このような休暇制度を設けているという。また、IT企業ならではの強みを駆使した在宅勤務制度も取り入れている。

 「実はマイクロソフトでは、結婚や出産で辞める女性はほとんどいない。辞める理由で多いのは、自分のキャリア実現と会社の方向性との相違に関するものだったりする」(四方氏)。

 四方氏は、IT業界での女性の活用は重要な課題とし、「マイクロソフトは女性が活躍する企業として、世の中のショーケースになりたい」と意気込みを語った。

今年の新テーマは“婚カツ”

 ランチセッションの会場は、ヨコハマ グランド インターコンチネンタルホテルの3階。会場には、アルファベット(A〜0)が振られた7人掛けの円卓が並ぶ。女性の割合が多かったが、男性の参加者も数人いた。

 テーブルごとに、「キャリア」「出産・子育・家事」「時間の使い方&職場環境」「IT業界の出会い−コンカツ」という4つのテーマに分かれて約30分間のグループディスカッションが行われた。以下テーマごとに、さまざまな企業に勤めるITエンジニア男女による議論を紹介しよう。各テーブルにはマイクロソフトの社員がファシリテータとして就いた。

●キャリア:マネージャ不人気。「すべてを捧げるほど仕事を好きになれない」

 テーマ「キャリア」では、女性管理職についての議論が目立った。

 「数年前であれば、女性がキャリアをどうアップさせるか、というテーマで議論することが多かったが、今回はすでにマネージャ経験者が多く、マネージャは大変だとか、マネージャにならず自分のやりたい仕事を続けるにはどうすればいいかという話題が多かった」(マイクロソフト 女性管理職の1人)。

 マネージャになると仕事量や残業時間が増える。「いずれは結婚や出産をしたいから、仕事に人生のほとんどを捧げる気にはとてもなれない。だからマネージャにはならない」(女性参加者の1人)。「マネージャになっても、出産を機に管理職コースから外れる女性はいる」(女性参加者の1人)。

 一方、マネージャという選択肢を選んだマイクロソフト 女性管理職の1人は、「自分は結婚も出産もせず管理職になった独身の身。子どもがいないので仕事を通して人に教えることで世の中に貢献したい」と話す。

 全体的に、マネージャと結婚・出産の両立は難しいという意見が多かった。

 また、「IT業界は、女性がマイノリティな企業が多く、目標となるような女性マネージャになかなか出会えない」という声があり、魅力的なロールモデルが少ないことも、マネージャ不人気の理由のようだ。

●出産・子育て・家事:夫の早期教育が要に。最後は「何とかなる」

 テーマ「出産・子育て・家事」では、家族の面倒を見ながらどうやって仕事を続けていくかについて議論された。

 「夫の協力体制が重要。結婚後の早い時期に、いかに夫を教育するかが重要」という結論にまとまった模様。

 ディスカッションの最中、「最後は『何とかなる』という言葉が何度か出た。キーワードかもしれない」(女性参加者の1人)。忙しく働く女性が子どもを授かったとき、「仕事に穴を開けられないから産めない」と悩む人は多くいる。自分ですべてを抱え込んでしまっているためだ。そんな女性に対し、「産んでから考えればいい」という意見があった。自分が思うほどに周りは冷たくない、出産や育児の間は仕事のチームメンバーにサポートを求め、周りを巻き込んでいけば「何とかなる」とのことだ。

●時間の使い方&職場環境:仕事とプライベートの切り分けはビジネススキル

 テーマ「時間の使い方、職場環境」では、会議をいかに減らすか、仕事とプライベートの切り分け方について議論がなされていた。

 参加者から出た「会議で1日が終わってしまう」という悩みに対しては、「プライオリティ付けをし、無駄な会議は極力出ないように、断ることが重要」という結論が支持を得たようだ。

 特に、「仕事があまりにも忙しすぎて、仕事とプライベートの境目が分からない」という議論が盛り上がっていた。参加者の1人は、「家に帰っても、気になって仕事のメールを見てしまう。会社を出たらスパッと仕事のことを忘れられるようになりたい」という悩みをぶつけていた。これに対しある参加者から、「自分を変える必要はない。休日に仕事をしないというのも1つの技術だと思って、スキルアップのつもりで取り組んでみてはどうか。自分を変えるのは大変だから」とアドバイスしていた。

 例えば、「休み中にする仕事を『休み明けに何をするかのTo Doリスト作成』に留める」という人がいた。休み中に仕事を完全に忘れるのが無理だという人は、休み明けにすぐ仕事に取り掛かれるよう、最低限の準備をすることで、休みに集中しやすい環境を作れる。

●IT業界の出会い−コンカツ:MS社員が教えてくれた狙い目は、「他部署」「サークル」

 結婚活動を指す造語、“婚活”。このブームに乗って、今回新設されたテーマが「IT業界の出会い−コンカツ」だ。仕事が忙しいエンジニアが結婚相手と出会う方法とは。活発な議論が交わされた。

 このテーマは、2つのテーブルで議論されたが、そのうちの1つは、7人中4人がマイクロソフトの社員。婚活中の人は2人だった。多くは既婚者であったため、彼らは昔を思い出しながら、出会う方法を模索していた。

 最も出会いが多い場所として挙がったのが職場だった。それも、「同じ部署よりは他部署」「(会社の)クラブ活動や仕事を離れた飲み会」の方が出会えるそうだ。新卒で入社した人の場合、「同期ネットワークも重要」とのこと。

 後は、「会社を離れた料理教室やマージャンなどの趣味サークルでも知り合うことが多い」と、既婚者らは語る。

 また、古い体質の会社では、上司や役員など周りが気を利かせて「いい人がいるよ」とお見合い話を持ってくることもあるという。

 「忙しいエンジニアは、スケジューラで婚活の時間を確保するくらいでなければ婚活を乗り切れないのではないか」といった厳しい意見も出ていた。

 婚活中にすべきこととして、「夫候補がどれくらい家事ができるかを確認しておくことも忘れてはならない」とのことだ。


 Women in Technologyのランチセッションは来年も実施する予定である。なお、Women in Technologyはオンラインでも展開している。Women in TechnologyのWebサイト上で、IT業界で働く女性を特集した動画などを配信していく。

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