高速なコンバージェンスを実現するEIGRPを学習する:ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(25)(1/2 ページ)
本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。
今回は、ディスタンスベクタープロトコルとリンクステートプロトコルの両方の特徴を持つEIGRPについて学習します。EIGRPはシスコ独自のプロトコルで、コンバージェンスが高速です。また、ルーティングテーブルのほかにいくつかの独自のテーブルを保持します。EIGRPは、拡張ディスタンスベクタープロトコルやハイブリッド型プロトコルと呼ばれることもあります。
ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座 各回のインデックス
- 第1回 新CCNA試験について知ろう
- 第2回 ネットワークのABC、OSI参照モデルとプロトコル
- 第3回 データはどうやって伝わるの?
- 第4回 LANの基礎を丸かじり
- 第5回 データ同士の通せんぼ――コリジョンてなぁに?
- 第6回 TCP/IPを制するものはネットワークを制す
- 第7回 TCPで、確実&効率よくデータを送受信しよう
- 第8回 サブネットマスクの計算をマスターする
- 第9回 どこまでがネットワーク部? クラスフルとクラスレス
- 第10回 シスコ ソフトウェアの基礎を学習する
- 第11回 Cisco IOSモードの設定
- 第12回 Cisco IOSのモードの設定情報と識別情報
- 第13回 インターフェイスの設定とルータの初期化
- 第14回 ネイバーの検出とCDPによるデバイス管理
- 第15回 Telnetを使用したリモートデバイスの情報収集
- 第16回 SDMによるルータの設定と管理
- 第17回 MACアドレスとフレームで、スイッチの基本動作を学ぶ
- 第18回 スパニングツリープロトコル、動作の仕組み
- 第19回 スイッチにVLANを設定する
- 第20回 VLAN操作を容易にするVTPの機能
- 第21回 ポートセキュリティの設定コマンドと確認
- 第22回 ルータの経路学習とスタティックルートの設定
- 第23回 RIPによるルーティングテーブルの作成
- 第24回 リンクステートルーティング(OSPF)の設定と確認
- 第25回 高速なコンバージェンスを実現するEIGRPを学習する
- 第26回 可変長サブネットマスク(VLSM)と経路集約
- 第27回 標準アクセスリストについて学習する
- 第28回 拡張アクセスリストについて学習する
- 第29回 無線LANの基礎について学習する
- 第30回 無線LANセキュリティの必要性と対策
- 第31回 NATとPATの設定方法を学ぶ
- 第32回 IPv4の枯渇に備えよ――IPv6の特徴と必要性
- 第33回 VPNの基礎を学習する
- 第34回 WANカプセル化プロトコルについて学習する
- 第35回 フレームリレーの基本を学習する
EIGRPの特徴EIGRPの特徴
EIGRPの特徴をまとめると、以下のようになります。
●高速なコンバージェンスを実現する
●デフォルトで帯域幅と遅延をメトリックに使用する
●等コストパスロードバランシング、不等コストパスロードバランシングをサポートする
●定期的なアップデートは行わず、トポロジに変更があった場合、差分アップデートを行う
●複数のネットワーク層プロトコルをサポートする
それでは、特徴を1つずつ解説していきます。
●高速なコンバージェンスを実現する
EIGRPは、DUALと呼ばれる仕組みを使用して、高速なコンバージェンスを実現します。「最適な経路」のほかに「2番目に最適な経路」をあらかじめ用意しておきます。障害発生時に「最適な経路」がダウンしても、「2番目に最適な経路」に即座に切り替えることによって、高速なコンバージェンスを行います。最適な経路のことを「サクセサ」、2番目に最適な経路を「フィージブルサクセサ」と呼びます。
●デフォルトで帯域幅と遅延をメトリックに使用する
あて先ネットワークまでのメトリック(距離)は、デフォルトでは帯域幅と遅延から計算される値です。そのほかにも信頼性や負荷をメトリックの計算に使用することもできます。
●等コストパスロードバランシング、不等コストパスロードバランシングをサポートする
コストとは、ここではメトリックと同じ意味でとらえてください。等コストパスロードバランシングとは、あて先ネットワークまでメトリックが等しい経路が複数存在した場合、負荷分散を行う機能です。デフォルトでは最小メトリックの経路を4つまでルーティングテーブルに格納し、負荷分散することができます。
不等コストパスロードバランシングは、メトリックが等しくない経路間でも、負荷分散を行う機能です。図1に表示されているメトリックは、ルータAから、あて先ネットワーク10.1.1.0/24までのメトリックです。
●定期的なアップデートは行わず、トポロジに変更があった場合、差分アップデートを行う
EIGRPは、RIPとは異なり定期的なアップデートは行いません。トポロジに変更があった場合、変更内容だけをアップデートします。
確認問題2
問題
EIGRPの特徴はどれですか。2つ選択してください。
a.定期的なアップデートを行う
b.デフォルトのメトリックは帯域幅と遅延である
c.ネットワーク層のプロトコルはIPだけサポートしている
d.不等コストパスロードバランシングは行わない
e.トポロジに変更があった場合、差分アップデートを行う
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