AIにより2027年までにITエンジニアの80%がスキルアップを強いられる、具体的な3つの影響とは? Gartner予測:ほとんどのコードをAIが生成するように
Gartnerが発表した予測によると、2027年までに生成AIによってソフトウェアエンジニアリングやオペレーションに新しい役割が生まれ、エンジニアリング部門の従業員の80%がスキルアップを強いられるという。
Gartnerは2024年10月3日(米国時間)、生成AI(人工知能)に関する予測を発表した。これによると、2027年までに生成AIによってソフトウェアエンジニアリングやオペレーションに新しい役割が生まれ、エンジニアリング部門の従業員の80%がスキルアップを強いられるという。
Gartnerのシニアプリンシパルアナリスト、フィリップ・ウォルシュ氏は次のように述べている。「AIによって人間のエンジニアの需要が減ったり、完全に取って代わったりする可能性がある、という大胆な主張に基づく臆測が広まっている。しかし、AIはソフトウェアエンジニアの将来の役割を変革することはあっても、複雑で革新的なソフトウェアを提供する上で、人間の専門知識と創造性が常に不可欠だ」
それを踏まえ、Gartnerのアナリストは、AIがソフトウェアエンジニアの役割に3つの影響を与えると予測し、下記のように述べている。
AIがITエンジニアにもたらす影響
短期的には、AIの機能は一定の限界内に限られる
AIツールは、既存の開発者の作業パターンやタスクを補完することで、一定の生産性の向上をもたらす。AIによる生産性は、成熟したエンジニアリング体制を持つ組織の熟練開発者にとって最も大きな効果をもたらすだろう。
中期的には、AIエージェントの登場によって限界が押し広げられる
AIエージェントにより、開発者はより多くのタスクを完全に自動化して、自らの負荷を軽減できるようになる。これにより、ほとんどのコードがAIによって生成される、AIネイティブなソフトウェアエンジニアリングの時代が到来するだろう。
ウォルシュ氏は「AIネイティブ時代には、ソフトウェアエンジニアは『AIファースト』の考え方を採用し、特定のタスクに最も関連性の高いコンテキストと制約に向けてAIエージェントを誘導することに主眼を置くようになるだろう」と述べている。つまり、自然言語によるプロンプトエンジニアリングや、RAG(検索拡張生成)のスキルがソフトウェアエンジニアにとって必須となる。
長期的には、AIの進歩が限界を打ち破り、AIエンジニアリングの時代が到来する
AIによってエンジニアリングの効率は向上する一方で、AIを活用したソフトウェアの需要が急速に増加するため、組織はより熟練したソフトウェアエンジニアが必要になる。
ウォルシュ氏は次のように述べている。「AIを活用したソフトウェアの構築には、新しいタイプのソフトウェア専門家であるAIエンジニアが必要になる。AIエンジニアは、ソフトウェアエンジニアリング、データサイエンス、AI/機械学習(ML)のスキルを兼ね備えた、特別なスキルセットを持つ専門家だ」
AIによる開発を進めるために組織が取る行動
2023年第4四半期に米国と英国の300の組織を対象に、Gartnerが実施した調査によると、56%のソフトウェアエンジニアリングリーダーが、AI/機械学習エンジニアを2024年で最も需要の高い役割と評価し、アプリケーションへのAI/MLの適用がスキルギャップとして最も大きいと評価した。
Gartnerは、AIエンジニアを支援するために、組織はAI開発プラットフォームに投資する必要があると主張しており、「AI開発プラットフォームは、組織がAI機能をより効率的に構築し、AIを大規模にエンタープライズソリューションに統合するのに役立つ」としている。
「この投資により、組織はデータエンジニアリングおよびプラットフォームエンジニアリングのチームに、AIの成果物に対する継続的な統合と開発を推進するためのツールや、プロセスを採用するためのスキルアップを実施させる必要があるだろう」(ウォルシュ氏)
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