ググる世代との付き合い方――違いを認めて指導する:心の健康を保つために(19)(1/2 ページ)
ITエンジニアの周りにはストレスがいっぱい。そんな環境から心身を守るためのヒントを、IT業界出身のカウンセラーが分かりやすく伝えます。
「それでいいの?」何でもググってコピペする部下
Kさんは入社10年目のSEです。入社2年目の後輩SE Fさんの指導役を引き受けています。
ある日、Fさんが「チェックしてほしい」と持ってきた書類を見て、Kさんはがくぜんとしました。部分的には正しいのですが、全体として内容が矛盾しているのです。そう指摘すると、「ググったとき、ここの部分は使えそうだと思ったんですが、駄目ですか?」という答えが返ってきました。
Kさんは「全体の筋道が通るように、自分で考えないと駄目じゃないか」としかりました。そのとき、Fさんはぶぜんとした表情だったそうです。翌朝、Fさんは突然「体調が悪い」という理由で会社を休みました。
「自分のいい方が悪かったのだろうか。後輩の指導は難しい。自信をなくします……」とKさんは相談にいらっしゃいました。
Kさんほどの経験を積むと「後輩指導」が仕事のうちに入ってきます。しかし、年齢の違う後輩とは、感情的なすれ違いが起きることがままあります。自分自身の業務も忙しいので、後輩指導はストレスがたまる役割です。どのようにしたらいいのでしょうか。
先輩の技を盗んで学んだ世代とのギャップ
「自分たちが会社に入ったころは、とにかく先輩のやっていることを盗もうとしたものですよ。『こんなときはこうするのか……』と見てはまねる。そういうことをずっと繰り返してきました。もし自分で分からなければ、先輩に聞いて確認しました。ところが、(1)Fさんは聞いてこないんですよね。自分で調べる姿勢は伸ばしていきたいんですが、方向性が違っていたりすると『もっと早く聞いてくれればよかったのに』と思ってしまいます」 と、Kさんはいいます。
「そもそも(2)自分のころは検索エンジンなんてありませんでした。このままいくと、Fさんは自分で内容を考えて確認することをしなくなってしまうでしょう。しかし、わたしは『それでFさんのためになるのか』と考えてしまうんです。彼のためを思って注意しても、Fさんにとっては(3)休んでしまうくらい、厳しいいい方だったらしいですし……」とも。
後輩が質問をしてくるようにするために、先輩がやるべき3カ条
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