Titaniumで始めるモバイルアプリ作成の基礎知識:Web技術でネイティブアプリを作れるTitanium(2)(1/3 ページ)
iPad/iPhone VS Androidに戸惑っているWebデザイナ/開発者のために、Web技術でネイティブアプリを作れるオープンソースの開発ツールを紹介し、その利点や使い方を連載で解説します
ついにTitanium Mobile 1.0がリリース!
「Titanium Mobile」の概要を紹介した前回の記事「HTML+JavaScriptでiPhone/Androidアプリを作れるTitanium Mobileとは」は、おかげさまで大変評判も良く、技術者が多く集まる「はてなブックマーク」で、多くのブックマークを獲得しました。iPhoneへの関心の高まり、そしてよりスピード感のある開発手法への関心の高まりを感じました。
一方、Titaniumにも大きな動きがありました。前回の記事が公開された直後、それまでベータ版だったTitanium Mobileに、バージョン1.0に向けてのリリース候補となるバージョン0.9が登場し、毎週月曜日の修正版のリリースを経て、ついに正式版1.0がリリースされました。
バージョン0.9/1.0では、Window周りのAPIやアプリケーションの構成ファイルに大幅な変更が加わりました。また、正式版に向けて料金プラン案が公開され、ユーザーとの議論と修正の繰り返しの末に、フリー版での制限が大幅に緩和された形で最終プランが公開されました。
こうした流れを受けて、本稿ではまずTitanium Mobile 1.0での変更や追加された内容についてを簡単にまとめ、その後でいよいよプログラミングの実際をご紹介していきます。
※2010年5月17現在、Titanium Mobileの最新バージョンは、1.3です。本稿は、以前の記事から大きな変化があった1.0を基に書かれていますが、一部機能で最新バージョン1.3と異なる場合があります。
大きな波紋を呼んだ、iPhone OS 4.0のライセンス
2010年4月8日、アップルは次世代のiPhone OSをプレビューするイベントを開催、iPhone OS 4.0を発表し、デベロッパに向けて即日ベータ版SDKの配布を開始しました(参考:マルチタスク対応の「iPhone OS 4」発表 今夏提供予定)。
しかし、OS 4.0のライセンスで新たに追加された条項が「Titanium Mobile」を含むマルチプラットフォーム開発環境の禁止を示唆する内容を含んでいたため、大きな波紋を呼んでいます(参考:Apple、iPhone SDKの規約変更 Flash締め出しか)。
Titanium Mobileの開発元Appceleratorは、この件についての情報をブログで更新しており、「TitaniumはiPhone OS SDKのTerms of Serviceに対して問題はない」との声明を発表しています。コメント欄には、実際にTitanium Mobileを使ったiPhone向けアプリケーションがApp Storeの審査を通過したという例も寄せられています。しかし、OS 4.0以降での先行きが不透明になっていることは確かです。
本稿では、iPhoneだけでなくAndroidやBlackBerry(予定)の開発環境として、引き続きTitanium Mobileについて解説を続けていきますが、iPhoneのデベロッパの皆さんは、この点にご注意ください。
Titanium Mobile 1.0の主な特徴
API・システム構成の変更
正式版のリリースに向けた0.9系のソフトウェア以降、これまでの0.8系のAPIから大幅な追加/削除が行われ、またプログラミングパラダイム自体も変更されています。変更内容は、「The Hitchhikers Guide to porting applications to Titanium 1.0」にまとめられています。
大きな変更点としては、主に以下があります。
- UI.TabやUI.WindowなどのUIパーツの振る舞いがダイナミックに変更可能にUIパーツの振る舞いがダイナミックに変更可能に
- WebViewがUIパーツの1つとなり、これまでの「HTMLに記述されたJavaScriptでUIを構築する」スタイルから、「JavaScriptをベースとして、APIを通じてHTMLを生成していく」ように方向転換HTMLに記述されたJavaScriptでUIを構築する」スタイルから、「JavaScriptをベースとして、APIを通じてHTMLを生成していく」ように方向転換
- 「tiapp.xml」内でのUI記述が、新しく追加された「app.js」に移動
また、実行時のパフォーマンスが大きく改善され、よりネイティブに近いアプリケーションが開発できるようになりました。
なお1.0.0から、iPhone SDK 3.1以上が必須です。
料金プラン
Appceleratorが提供するTitanium SDKの利用プランは、以下の3つです。
- 「Community」(無料)
- 「Professional」($199/開発者/月)プレミアムサポートとアプリケーション利用状況の解析サービスを含むプレミアムサポートとアプリケーション利用状況の解析サービスを含む
- 「Enterprise」($499/開発者/月)
「Community」プランをめぐっては、当初はスタートアップスクリーンにTitaniumのバナーが出る案や、無料アプリに利用を限る案などが出されましたが、ユーザーからの意見に反応してこの形に落ち着いたようです。
新しいDeveloper Center
Titanium Mobile 1.0のリリースと同時に、開発者向けサイトが一新され「Developer Center」が解説されました。
Titanium Mobileのドキュメントを日本語で
Appcelerator社とは直接関係しませんが、Titanium Mobileの日本語ドキュメントの提供を目的とした「titanium-mobile-doc-ja」が日本の開発者によって始められています。
先日公開された、Titanium Mobileでのアプリ開発方法や、UIパーツ・APIの解説を含んだドキュメント「Appcelerator Titanium MobileではじめるiPhoneアプリケーション開発」は、一通りの開発が行える内容です。ぜひご覧ください。
次ページでは、Titaniumでモバイルアプリを作成し始めます。
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