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STPとRSTPの動作を学習するCCNP対策講座 SWITCH編(3)(2/2 ページ)

本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、2010年12月に日本語版が改訂された新試験【642-813 SWITCH】を解説します。

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ラピットスパニングツリープロトコル(RSTP)概要

 IEEE802.1Dで標準化されているSTPの欠点は、収束が遅いという点です。IEEE802.1wで標準化されているラピットスパニングツリープロトコル(RSTP)はSTPの欠点が改良されており、収束時間は1〜3秒程度です。RSTPでは、BPDUのフラグフィールドの使い方がSTPと異なり、さまざまな意味を持たせています。

図3 RSTP BPDUフラグフィールド
図3 RSTP BPDUフラグフィールド

 STPでは、「トポロジ変更」と「トポロジ変更ACK」しか使用しておらず、またSTPはタイマーに依存してポートの役割が決定されていました。RSTPではいままで使用していなかったビット(プロポーザルとアグリーメント)を使用して、対向側のスイッチポートと直接やりとりをして、ポートの役割が決定されます。この動作によって収束時間が短縮されます。また、BPDUは「キープアライブ」として使用されるようになったため、BPDUが連続して3回(6秒)受信されないと、隣接するスイッチとの間で接続性が失われたと判断することで、障害を素早く検出できます。

 また、STPではポートの状態が細かく分かれていましたが、RSTPでは3つにまとめられています。

STPポート状態 RSTPポート状態
ブロッキング ディスカーディング
リスニング ディスカーディング
ラーニング ラーニング
フォワーディング フォワーディング
表2 STPとRSTPのポート状態の比較

 RSTPでは、STPでのブロッキング、リスニングはデータの転送を行わず、MACアドレスの学習も行わないので、1つの破棄状態として定義されています。ラーニング、フォワーディングはSTPと同様です。

 また、RSTPではポートに役割が2つ追加されています。この2つのポートはどのポートの代わりかによって分けられています。2つのポートとも状態としては、ブロック状態です。

  • 代替ポート:現在のルートポートがダウンしたときに、即座にその役割を引き継ぐポート
  • バックアップポート:現在の指定ポートがダウンしたときに、即座にその役割を引き継ぐポート
    (このポートは、1台のスイッチの複数ポートが同一セグメントに接続されている場合に選出されます)

確認問題3

  • 問題

 RSTPの特徴について正しい説明を2つ選択しなさい。

a.ポートの状態はディスカーディング、ラーニング、フォワーディングの3つに分類される
b.ポートの状態はブロッキング、リスニング、ラーニング、フォワーディングの4つに分類される
c.タイマーに依存してポートの役割が決定される
d.対向側のスイッチポートとネゴシエーションしてポートの役割が決定される

  • 正解

 a、d

  • 解説

 RSTPでは、いままで使用していなかったフラグフィールドのビット(プロポーザルとアグリーメント)を使用して、対向側のスイッチポートと直接やりとりをして、ポートの役割が決定されます。この動作によって収束時間が短縮されます。また、RSTPのポートの状態はディスカーディング、ラーニング、フォワーディングの3つです。従って選択肢a、dが正解です。選択肢b、cはSTPの特徴です。

筆者紹介

グローバル ナレッジ ネットワーク ソリューション本部

齋藤理恵(さいとうりえ)

Cisco認定トレーナー。トレーナー歴は11年。マイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、シスコシステムズなどIT業界でトレーナーとして活動。現在は、グローバル ナレッジ ネットワークで、Cisco認定トレーニングコース(CCNA、CCNP)、ネットワーク系オリジナルコースを中心に講師を担当している。グローバル ナレッジ ネットワーク講師寄稿記事一覧はこちら



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