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オープンソース・クラウドとシトリックスの関係クラウドHot Topics(4)(1/2 ページ)

オープンソースXen、Open vSwitch、OpenStackなど、オープンソース・クラウド開発プロジェクトの数々に関わるシトリックス。その動機と戦略を探る。

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 シトリックス・システムズの、サーバ仮想化やクラウドサービス事業者を対象とした取り組みについて詳細が知られる機会はあまり多くない。しかし同社が、オープンソース・クラウドの動きを通じ、クラウドサービスの今後の行方に大きな影響力を持つ存在であることはたしかだ。

 シトリックスはオープンソースXenやOpen vSwitchなど、一貫して仮想化およびクラウド関連のオープンソース・プロジェクトへの貢献を続けている。最近は、オープンソースのクラウド構築・運用管理ソフトウェア開発プロジェクトであるOpenStackへの積極的な関与が印象的だ。今回は、米シトリックス・システムズでサーバ仮想化およびクラウドを担当するDatacenter and Cloud Divisionプロダクトグループのバイスプレジデント、ルー・シプレー(Lou Shipley)氏へのインタビュー取材から、その戦略を探る。

OpenStackへの積極的な参加の動機は

 まず、シトリックスによるOpenStackへの積極的な参加の動機はどこにあるのか。これについてのシプレー氏は、OpenStackはシトリックスにとって、マルチ・ハイパーバイザのハイブリッド・クラウド実現という同社の方向性と合致した動きだと答えた。

Datacenter and Cloud Divisionプロダクトグループのバイスプレジデント、ルー・シプレー氏
Datacenter and Cloud Divisionプロダクトグループのバイスプレジデント、ルー・シプレー氏

 「大きな流れは、コストとしてのITからサービスとしてのITへの移行だ。企業顧客は今年、まず従来型の仮想化とデータセンター運用からはじめ、次にパブリッククラウドとの連携のために、ハイブリッド・クラウド構築技術を必要とするようになる。これを実現するための現在の唯一の選択肢は、当社の最大の競争相手(ヴイエムウェア)からすべてのスタックを購入することだ。しかし顧客は、単一のアーキテクチャにロックインされることを望んでいない。少なくとも米国では、70%が複数のハイパーバイザを使っている。われわれの方針は、(ハイパーバイザにかかわらず)あらゆるアプリケーションやワークロードについて、企業データセンターとクラウドとの橋渡しを実現することだ。(Hyper-Vの管理ツールである)Essentials for Hyper-Vの提供も、この考えに基づいている」

 「(OpenStackプロジェクトの創立メンバーである)Rackspaceは、XenServerとNetScalerを採用してくれているが、同社はNASAをはじめとする多くの企業と協力して、素晴らしい(クラウドの)オーケストレーション・レイヤを開発しつつある。これらの人々と連携し、さらにマイクロソフトなど、その他のベンダと協力することで、オープンソースXenからXenServerへの流れと同様な成功を、収めることができると思う。こうしたやり方のほうが、自社だけでやるよりも早い。それに自社だけで開発すると、結局われわれは顧客にXenServerを押し付けることになる。それではヴイエムウェアと変わらない。彼らのスタックか、われわれのスタックか、どちらかを選べと言うはめになる」

 「市場は複数のハイパーバイザを使い分ける環境に移行しようとしている。そしてハイパーバイザ間では、OVFなどの相互運用性の仕組みが整いつつある。われわれは、顧客が選択肢を確保できるべきだと思う。例えば社内データセンターではVMwareを使っていても、クラウドサービスではXenServerを使うといったことができるべきだ。特にサービスプロバイダにとっては、オープン・スタンダードのほうが優れたやり方だ」

 シプレー氏は、オープンクラウド市場が急速に成長しはじめていると話す。「クラウド事業者にとって、今年はインフラを選択する年になるだろう。そして今後2年のうちに、大きな成長が見込める」

オーブンソースを使い、どこで儲けるか

 シトリックスはかなり前から、ハイパーバイザはコモディティ化したとし、それよりも上のレイヤの技術が重要だと主張している。そして、ハイパーバイザと基本的な管理機能は無償化した。しかし、シトリックスが重要だとする「上のレイヤ」のクラウド運用管理でも、同社はオープンソース技術であるOpenStackを推している。標準を推進するのはいいとして、自社としての付加価値はどこで発揮できると考えているのか。端的にいえば、シトリックスは、どこで儲けていくつもりなのだろうか。

 シプレー氏は、まずXenServerの有償版、そしてNetScalerなどのネットワーク製品の各種機能やオプションで、ビジネスを広げていくことができると答える。

 「クラウド事業者の多くはオープンソースXenを使っているが、無償版のXenServerへの移行の動きも活発だ。無償版製品は、25万ものアクティベーションを記録している。顧客は無償版を使って、クラウドの規模を拡大する。そして次第に無償版の限界を感じ、XenServer Advancedへ移行をするようになってくる。これが当社の戦略だ。クラウドサービス事業者の間でのオープンソースXenおよび無償XenServerの市場シェアを生かし、低コストの有償版製品へアップグレードできるようにし、顧客自身がオープンで複数のハイパーバイザを併用する戦略を進められるようにしていく。XenServerの市場シェアは1%から、いまでは15%に伸びた。3年後に33%を目指している」

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