いまさら聞けないAR(拡張現実)の基礎知識:モバイルARアプリ開発“超”入門(1)(2/3 ページ)
プログラミング未経験でも手軽にAndroidアプリが作れるApp Inventor。本連載では、App Inventorでアプリを作り、使用しているコンポーネントに関して実際にJavaのAPIと比較して、できることを検証していきます
現在利用/視聴できる主なARサービス、6選
ここで挙げるもの以外にも、実際に利用/視聴可能な事例は多数あるので、まだあまりARを利用したものに触れたことがない方は、利用/視聴してみてどんなものなのかの具体的なイメージをつかむといいかもしれません。
【1】ロケーションベース「セカイカメラ」
まずARと聞いて頓智ドットの「セカイカメラ」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。「セカイカメラ」はロケーションベースなARサービスで、「エアタグ」と呼ばれる文字や画像などで構成された付加情報を、位置情報に基づいて表示します。
エアタグはユーザーが自由に追加可能で、それらを他のユーザーとも共有できるソーシャルなARサービスです。サービスはiPhoneやAndroidのアプリから利用可能で、また、auでは「セカイカメラZOOM」というアプリが提供されており、スマートフォンではない携帯電話からも利用可能です。
単にエアタグを追加・公開していくだけではなく、そのソーシャルな特性を生かして、ソーシャルゲームのプラットフォームとしての「セカイアプリ」も展開されています。
【2】ロケーションベース「SkyWare」
同じくロケーションベースなARとしては、TISが提供する「SkyWare」というARとGPS位置情報に特化したコンテンツ配信プラットフォームがあります。2011年7月、このSkyWareを観光に利用した「街歩き観光ナビゲーションサービス on SkyWare」をサービスがリリースされています。
このサービスは、街歩きをコンセプトに、企業や自治体が所有する観光情報などのコンテンツを、文字情報や画像、動画、音声を利用してユーザーに提示できます。ユーザーはスマートフォンやタブレットを利用し、ナビゲーションに従ってAR表示される情報を見ながら、観光やショッピングなどを楽しめます。
また、ユーザーの行動ログの収集が可能で、オプション機能では周辺のイベント情報のリアルタイム通知などが追加できます。最近では、長野県佐久市が「佐久中山道宿場めぐり(仮)」という10月1日より提供される観光プログラムでSkyWareの採用が発表されました。
マーカー型ビジョンベースの例、博物館やイベントなどの展示物案内
ロケーションベースなものを少し見てきましたが、ビジョンベースなものではどんな例があるでしょうか?
マーカー型ARはビジョンベースなARの中では比較的取り組みやすいこともあって、身近に利用できるものでも各方面で応用され始めています。マーカーを置いても違和感がないということでは、博物館やイベントなどの展示物案内にARを利用した例はいくつか見られます。
【3】マーカー型ビジョンベース「読売新聞に掲載されたCOP10の開催記念の「生物多様性特集」広告」
また、商品のロゴやパッケージなどにマーカーをうまく使えれば、広告やPR効果を狙ったものにも利用可能です。
例えば、コンセプトが手掛けたもので、読売新聞に掲載されたCOP10の開催記念の「生物多様性特集」広告で、紙面にマーカーを載せることで、動きのある画像を表示した事例などがあります。
【4】マーカー型ビジョンベース「AR三兄弟とスマイレージのコラボ」
AR開発ユニットである「AR三兄弟」がアイドルグループのスマイレージとコラボレーションしたARによるPV再生システムなどは、PR効果という観点だけではなく、メディアミックスによる身近な展開例として、とても面白い試みです。
【5】マーカーレス型ビジョンベース「Tisoot Reality」
ユーザーに商品などのイメージを伝えるという使い方だと、例えば、時計メーカーのTisootが提供する「Tisoot Reality」というサービスがあります。
こちらはモバイルを利用したものではありませんが、Webサイトにアクセスして、好みの時計のマーカーを印刷し、腕に巻いてPCに接続したWebカメラで写すことで、その時計を試着したような感覚で見ることができます。
【6】マーカーレス型ビジョンベース「てのりん」
マーカーレス型は技術的に難しい面もあって、これから事例が増えてくると思われますが、いくつか利用されている例があります。
ユニークなところではKDDIがau携帯向けに提供している「てのりん」というアプリがあります。手のひらを認識して、キャラクターが手のひらの上に現れるというもので手のひらの上でキャラクターが歌ったり踊ったりもします。
こちらはエンターテインメント要素の大きいものとなっていますが、この例の手のひらのように身近なものを認識して情報を提示するという応用例は、今後も増えてくるでしょう。
次ページでは、どんなものにARが使えそうか、筆者たちのチームが技術の検証を進めつつ考えている方向性についてお話しします。
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