今回紹介する資格:Android技術者認定試験
「Android技術者認定試験制度(OESF Authorized Certification Engineer for Android、通称ACE)」は、IT業界に生まれた最も新しい資格の1つである。2010年にアプリケーションエンジニアのための資格「アプリケーション技術者試験」が2010年末に始まってから、もうすぐ1年になる。
Androidの普及は加速している。米国ではAndroidがiOSを抜きトップ(※1)、日本国内でもOSのシェアはAndroidが首位に立った(※2)。この活況は、同時にAndroidアプリ開発エンジニアの需要を生み出している。スマートフォンアプリ開発エンジニアの需要は、2011年後半になってもいまだ衰えを見せていない(※3)。
一般社団法人「Open Embedded SoftwareFoundation(以下、OESF)」は、携帯電話以外へのAndroidの普及を目指す団体である。Androidベースの組み込みプラットフォームやフレームワークを、セットトップボックスやカーナビをはじめ多様なデジタル機器に展開する活動を行っているが、同時にAndroid技術者の教育事業、そしてAndroid技術者認定試験の運営も行っている。
Android技術者認定試験が目指すもの、エンジニアにとってどのような資格でありたいか――OESF 事務局エディケーションワーキンググループコーディネーター 満岡秀一氏と近森満氏に、話を聞いた。
ACE(エース)って何だ?
Android技術者認定試験といえば「Androidアプリ開発の知識を問う」というイメージがある。
実際、2011年11月時点で受験できるのは「アプリケーション技術者試験」)のみだが、将来は「アプリケーション技術者試験」と「プラットフォーム技術者試験」両方を実施していく計画だ。幅広く「Androidの上と下が分かる技術者を認定」するものとして、本資格は設計されている。
- アプリケーション技術者認定試験ベーシック:受験可能
- アプリケーション技術者認定試験プロフェッショナル:2012年以降リリース
- プラットフォーム技術者認定試験ベーシック:2012年以降リリース
- プラットフォーム技術者認定試験プロフェッショナル:2012年以降リリース
エンジニアのスキルを測る根拠となるのは、OESFが“Android開発に必要なスキルは何か”を定めた「Android技術スキル標準」である。このスキル標準はOESF完全オリジナルというわけではなく、 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が策定したETSS(組み込みスキル標準)を参考に策定している。そのため、両スキル標準の共通項目はかなり多い。
Android技術スキル標準では、スキルを以下のように定義している。
- Androidを使える人=アプリケーションを開発・保守できる人=「アプリケーション技術者試験」で認定=アプリケーションを開発・保守できる人=「アプリケーション技術者試験」で認定
- Androidを作れる人=プラットフォームを開発・移植・改造できる人=「プラットフォーム技術者試験」で認定=プラットフォームを開発・移植・改造できる人=「プラットフォーム技術者試験」で認定
「Androidにまつわる技術を体系化し、その技術を持っているかどうかを認定する」ことが、Android技術者認定試験の大きな目的だ。その背景には、グローバル規模での「人材需要」があるという。
日本だけでなく、世界規模で需要が高まる
「今年の夏、台湾で開催されたイベントでACEに関する展示をしたところ、『認定資格を持っている人材をぜひ紹介してくれ』と台湾の採用担当から熱烈なアプローチを受けました。まだ日本でしか受験できないというと、『だったら早く世界展開してほしい』と言われました」(満岡氏)
Androidを搭載したスマートフォンは世界中で普及している。当然、日本以外でも開発者の需要がすさまじいと、満岡氏は語る。特に、中国や台湾をはじめとしたアジア圏での需要が非常に高い。日本企業向けのビジネスを行っている中国企業は「日本発のAndroid技術者認定試験に合格したエンジニアであれば、日本企業が求める水準を満たしていると判断できる。日本企業へのアピールもしやすい」と、資格の国際化を推進してほしいと、OESFに依頼してきたそうだ。
こうした国際レベルでの強い需要を見越して、OESFは試験のグローバル展開を現在、進めている。
「問題を英語化して、世界中のCBT試験会場で受験可能にします。 2011年内にも、英語での試験をリリースし、国際化をスタートする予定です」と近森氏は語る。中国語版も来年早々にはリリース予定と、意気込みを見せる。
Android技術者の世界的な需要は、Androidのスキルが国外での活躍における大きな武器になりうることを示している。資格の国際化が実現すれば、「日本人エンジニアが英語で資格を取得して海外にアピールする」といったことも可能になるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.