顧客から信頼されるエンジニアになる4ステップ:仕事を楽しめ! エンジニアの不死身力(19)(1/2 ページ)
あなたはエンジニアの仕事を楽しんでいますか? この連載では、仕事を「つらいもの」から「楽しいもの」に変えるためのヒントを考えていきます。
2011年もあとわずかとなりました。毎年このシーズンになると、1年の早さを感じます。2010年の年末には、『来年「本当にやりたいこと」を見つけるための4ステップ』という記事を公開しました。今年1年を振り返ってみて、いかがでしょうか。理想が現実になったりならなかったり、さまざまなことがあったかと思います。
さて今回は、来年も信頼されるエンジニアになるためのヒントをお伝えします。
来年もエンジニアとして活躍できるか?
「来年もエンジニアとして活躍できるだろうか」
こう考えるエンジニアは意外と多いようです。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が公開する『IT人材白書2011』によれば、「ITエンジニアの7割は自身の将来キャリアに不安を持っている。また、この先の5年間で、求められる技術・スキルが変化すると思っているのは8割に達する」そうです。
確かに、IT業界は新しい知識や技術が次々と出てきます。技術や知識の流行を追いかけるのは、エンジニアという仕事の楽しさの1つです。一方、新しいサービスや技術を勉強しても時代の流れが速いため、「どこまで追い求めればいいのだろう」と、ヘトヘトになっていませんか。
「信頼」について考える
なぜ、新しい技術や知識を追い続ける必要があるのでしょうか。「新しい技術を身に付けていないと評価されない」「信頼されない」という思いが、どこかにあるのかもしれません。確かに、評価や信頼がなくては、エンジニアとして長い間活躍していくのは難しそうです。
ここで「信頼」とは何かについて考えましょう。
一般的なITエンジニアのイメージとは、「ITの専門知識を持ち、システムを設計・開発・製造・運用する人」です。もっとシンプルに言えば、「ITの知識」と「作る技術」が優れていればいるほど「優秀なエンジニア」と言えます。
ですが、信頼となるとちょっと話が変わってきます。信頼とは、顧客や周囲から「ありがとう」と言われるかどうか、「○○さんと、また一緒に仕事がしたい」と言われるかどうかです。
では、顧客や周りの人が「ありがとう」と言いたくなるのはどんなときかを考えると、答えはとてもシンプルです。「○○さんは私の困っていることを解決してくれた」――そういうときに、人はあなたを評価し、信頼します。
優れた知識や技術は、顧客や周りの人が「ありがとう」と言ってくれて初めて、信頼に変わるのです。
当たり前のことを言っているようですが、これからもずっとエンジニアを続けるためには大事なことです。知識・技術だけに目を向けるか、顧客や周りの人の困っていることに目を向けるかで、大きな違いを生むでしょう。新しい知識・技術を習得することと同じぐらい、顧客や周りの人から「また○○さんと仕事がしたいです」という声を聞くのも楽しく、うれしいことです。
顧客は新しい技術を望んでいるのか?
エンジニアの立場からすれば、「顧客は新しい技術を望んでいる」と思うかもしれません。しかし、顧客は本当に、新しい技術を望んでいるのでしょうか。
顧客にとって大切なことは「困っていることが解決できること」です。困っていることが解決できれば方法にはさほどこだわらない顧客も多いです。
私が以前、エンジニアとして新しい技術や知識を追い続けていた時代のころの話です。顧客からシステム開発の相談を受けた際、顧客に新しい技術の導入を勧めたところ、「その技術は実績があるものですか? 私たちが望んでいるのは新しさではなく、安定した稼働です。新しいものがいいのは分かるのですが、少し不安があります」と言われ、導入を見合わせたことがあります。新しい技術でこそ実現できるものもあるので一概には言えませんが、顧客にとって技術や知識以上に大切なのは、日常の業務なのです。
顧客が困っていることは、業務の中にあります。そこで、新しい技術に向いている視線を、「顧客が何に困っているのか」という業務の部分に向けてみるのはどうでしょうか。ITの知識・技術は頻繁に変わりますが、業務はそれほど頻繁に変わるものではありません。
顧客が困っていることに目を向けて解決すれば、エンジニアとして評価され、信頼されるようになってきます。
顧客から「ありがとう!」と言われるエンジニアになる
では、顧客は何に困っているのでしょうか。ここでは、一律に「顧客」と表現しますが、直接顧客と関わっていない人は、プロジェクト関係者や上司、同僚など、あなたが関わりを持つ周りの人と置き換えてください。
- 顧客が何に困っているのか(現実)を知る
- 顧客がどうなったらハッピーなのか(理想)を知る
- 現実と理想を埋めるために、何ができるかを考える
- 小さな第一歩を決める
顧客から「ありがとう!」と言われるためには、4つのステップを踏む必要があります。
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