@IT自分戦略研究所は2011年11月14日〜22日にかけて「ITエンジニア・スキル調査2011」を行った。今回は、ITエンジニアが考える「実務に役立った資格」「キャリアアップに役立った資格」について、分野ごとのランキングトップ5を紹介しよう。
- 「国家/公的資格」部門
- 「ビジネス系資格・認定」部門
- 「ベンダニュートラル資格」部門
- 「ベンダ資格」部門
●ITエンジニア・スキル調査2011まとめ記事
IT系資格について知りたい方は、以下のページやサービスも参考になります
・@IT自分戦略研究所資格辞典
・ITトレメ
国家/公的資格国家/公的資格
順位 | 実務に役立った資格 | キャリアアップにつながった資格 | ||
---|---|---|---|---|
1 | 基本情報技術者試験 | 23.8% | 応用情報技術者試験 | 21.6% |
2 | 応用情報技術者試験 | 22.1% | 基本情報技術者試験 | 19.1% |
3 | ネットワークスペシャリスト | 9.8% | ネットワークスペシャリスト | 9.1% |
4 | 情報セキュリティスペシャリスト | 6.1% | 情報セキュリティスペシャリスト | 5.4% |
5 | ITパスポート | 4.9% | データベーススペシャリスト | 4.2% |
単一回答 n=408 表1 実務に役立った資格/キャリアアップにつながった資格 国家/公的資格(複数回答) |
国家資格では、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験が実務/キャリアアップに役立った資格のトップ2に選ばれた。基本情報技術者試験は約半数、応用技術者は3割が取得している定番資格だ(図1)。そのため、他の高度資格に比べて評価が高くなったのだろうと思われる。
ビジネス系資格・認定
順位 | 実務に役立った資格 | キャリアアップにつながった資格 | ||
---|---|---|---|---|
1 | TOIEC(600点以上) | 40.6% | TOIEC(600点以上) | 37.0% |
2 | 簿記検定(2級以上) | 20.6% | 簿記検定(2級以上) | 15.2% |
3 | 中小企業診断士 | 6.1% | 中小企業診断士 | 6.1% |
4 | ビジネス実務法務検定 | 3.6% | ビジネス実務法務検定 | 3.0% |
5 | フィナンシャルプランナー | 2.4% | フィナンシャルプランナー | 2.4% |
単一回答 n=168 表2 実務に役立った資格/キャリアアップにつながった資格 ビジネス系資格・認定(複数回答) |
ビジネス系資格では、TOEICが2位の簿記検定を大きく引き離して1位となった。4割近くのエンジニアが、TOEICが「実務/キャリアアップ共に役に立った」と回答している。
TOEICは、「今後取得を目指す資格」としても例年1位をキープしている人気資格である(図2)。海外進出を目指すWeb系企業が、外国語に堪能な人材を積極採用していることから、TOEIC人気は今後も続きそうだ。
ベンダニュートラル資格
順位 | 実務に役立った資格 | キャリアアップにつながった資格 | ||
---|---|---|---|---|
1 | LPIC(Linux技術者認定試験) | 18.3% | LPIC(Linux技術者認定試験) | 16.0% |
2 | ITIL認定資格 | 10.3% | ITIL認定資格 | 7.5% |
3 | UMLモデリング技能認定 | 8.0% | PMI PMP | 6.6% |
4 | .com Master | 6.6% | UMLモデリング技能認定 | 5.2% |
5 | PMI PMP | 6.1% | .com Master | 4.7% |
単一回答 n=213 表3 実務に役立った資格/キャリアアップにつながった資格 ベンダニュートラル資格(複数回答) |
実務/キャリアアップともに、1位がLPIC、2位がITIL認定資格となった。LPICは今後取得を目指す資格1位(17.5%)でもある(図3)。
新しく登場した資格も注目を集めている。特に、2010年末に登場したAndroid技術者認定試験の台頭が目覚ましい。受験者はわずか0.7%にとどまるものの、今後取得を目指す資格としては、LPICに次いで2位に食い込んだ。
また、Ruby技術者認定やPHP技術者認定、オープンソースデータベース技術者認定試験(OSS-DB技術者試験)など、オープンソース系資格の人気も高い。OSS-DB技術者試験は2011年にできたばかりの資格で、教科書は無料で公開している。
ベンダ資格
順位 | 実務に役立った資格 | キャリアアップにつながった資格 | ||
---|---|---|---|---|
1 | Oracle認定Javaプログラマ | 12.8% | ORACLE MASTER Gold | 9.7% |
2 | CCNA ORACLE MASTER Silver |
9.3% | ORACLE MASTER Silver | 8.9% |
3 | ORACLE MASTER Gold | 7.8% | Oracle認定Javaプログラマ | 7.8% |
4 | MCP MCSE |
5.1% | CCNA | 6.6% |
5 | ORACLE MASTER Bronze | 3.5% | MCP MCSE |
3.9% |
単一回答 n=257 表4 実務に役立った資格/キャリアアップにつながった資格 ベンダ資格(複数回答) |
ベンダ資格では、実務/キャリアアップに役立った資格で、それぞれ選ばれるものが異なった。実務に役立った資格ではOracle認定Javaプログラマが1位、2位はCCNAとORACLE MASTER Silverが同位につけた。一方、キャリアアップにつながった資格はORACLE MASTER GoldにORACLE MASTER Silverと、オラクル認定資格が上位2位を占めた。
なお、資格取得状況ではOracle認定JavaプログラマとMCPが上位に来ている。マイクロソフト系の資格は、取得者数に比べて「実務/キャリアアップに役立った」という回答は少ない。
なぜ資格を取るのか?
2010年の調査では「なぜITエンジニアは資格を取るのか」を聞いた。
資格を取る理由として最も多かったのは「実務に必要なスキルを磨き役立てるため」(46.0%)。次点の「転職や昇進などのキャリアアップのため」(31.9%)を大きく引き離している。
一方、資格を取得する際の“障害”も聞いた。やはりお金と時間がネックのようで、「受験料が高い」が64.1%と最も多い。以下「学習時間が確保できない」(53.4%)「学習教材が高い」(39.1%)と続く。
資格の「効果」について疑問視する声も上がった。「転職や昇進などのキャリアアップに有利にならない」と回答したのは全体の16.5%で、「取得しても実務に役立たない」は12.7%という結果が出た。
お金と時間というコストを掛けるには、それ相応のメリットが必要だ。今回の実務/キャリアアップに役立つ資格ランキングや上記調査はあくまで一例にすぎないが、「資格に何を求めるのか」「どの資格を取得するか」を考える上での参考になれば幸いだ。
●調査概要
同調査は、2011年11月14日〜22日にかけて、Webアンケート方式で実施。550件の回答を得た。
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