@IT自分戦略研究所とJOB@ITが実施した読者調査(調査期間2010年10月14日?10月22日、集計サンプル数504件)をもとに、エンジニアの「資格」への考え方を考察した。
転職に役立てるため、社内で奨励されるため、自分の実力を測るため??エンジニアによって資格を取得する目的はさまざまだろう。エンジニアが資格を取得する理由として最も多かったのは「実務に必要なスキルを磨き役立てるため」(46.0%)だった(図1 資格に関する考え方)。
「転職や昇進などのキャリアアップのため」は31.9%で、「実務に必要なスキルを磨き役立てるため」と14ポイント以上の差をつけられている。このことから、「実務に生かせる資格かどうか」を重視するエンジニアの傾向がうかがえる。一方、「スキルの棚卸し」のように、実務や転職に直接的なかかわりがなくとも資格を取得する意欲がある人も30%以上に上る。
また、エンジニアは特定分野を突き詰めて上位資格を狙うより、幅広い資格を取ろうとする傾向にあるようだ。「IT分野以外の資格も取得したい」「幅広い分野の資格を取得したい」はどちらも40%を超え、「1つの分野を突き詰めて上位資格の取得を目指したい」(17.3%)の2倍以上という結果になった。
前回のスキル調査(2009年11月)で、最も重要だと考えるスキルについて聞いたところ、「ビジネス・ヒューマンスキル」(42.1%)が「テクニカルスキル」(20.0%)を大きく上回った(「IT技術者の2人に1人が欲しがるリーダーシップ」)。この結果をふまえると、特定の技術や資格を突き詰めるよりも、幅広い分野のスキル・資格を取ろうとするエンジニアの意識が浮き彫りになってくる。
資格取得について、エンジニアはどのような点を障害、あるいは問題だと考えているのか。
資格を取得する際の障害として挙げられたのは、まず「お金」「時間」といった物理的な問題だ。「受験料が高い」が64.1%と最も高く、以下「学習時間が確保できない」(53.4%)「学習教材が高い」(39.1%)と続く(図2 資格を取得する上での障害)。会社で補助や優遇制度がない(19.2%)ことの影響も大きいようだ。
物理的な障害とは別に、資格の「効果」に関する疑問の声も上がっている。「転職や昇進などのキャリアアップに有利にならない」は16.5%で、「取得しても実務に役立たない」は12.7%。エンジニアが資格を取得する2大目的は「実務に役立てる」「キャリアアップ」だったが、資格を取得してもこの目的を達成できないと考える人が一定数存在するようだ。
受験料の高さに悩むエンジニアたちは、加重平均で年間10.2万円(1カ月8500円)をスキルアップ活動のために投資している。最大でどれくらいの資金を捻出できるかを聞いたところ、年間18.0万円(加重平均)までなら出せるという結果が出たあ(図3 スキルアップ活動のための資金)。
それでは、エンジニアが取得している資格、また今後取得を目指している資格についてジャンルごとに見ていこう。
国家/公的資格では、取得を目指す資格として最も人気なのが「プロジェクトマネージャ」(27.4%)である(図4 資格取得状況:国家/公的資格)。以下、「情報セキュリティスペシャリスト」(19.8%)、「ネットワークスペシャリスト」(19.4%)、「データベーススペシャリスト」(18.3%)など、スペシャリスト系の資格が人気を集めている。
ビジネス系資格・認定では、TOEIC(600点以上)がダントツの人気を誇る。取得済みが13.5%、今後取得を目指すが28.2%と、どちらも最高値を出している(図5 資格取得状況:ビジネス系資格・認定)。「簿記検定(2級以上)」「中小企業診断士」はともに17.3%で、2位につけた。英語と会計の人気は相変わらず高いようだ。
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