日本の銀行を標的にした「Zeus」亜種、登場:シマンテックが警告、「普段と違う表示に注意」
シマンテックによると、オンラインバンキングサービスを狙うトロイの木馬「Zeus」に、日本の大手銀行の利用者のみを標的にする亜種が登場した。
シマンテックは2月13日、オンラインバンキングサービスを狙うトロイの木馬「Zeus」に、日本の大手銀行の利用者のみを標的にする亜種が登場したと、ブログを通じて警告を発した。
Zeusは、「SpyEye」と並んで、欧米で大きな被害を及ぼしてきたトロイの木馬だ。感染すると端末を乗っ取られ、リモートからコントロールされてしまう。中でも、オンラインバンキングサービスにアクセスした際に、バックエンドでトランザクションを書き換えるMan in the Browser(MITB)攻撃によって、数億ドルに上ると見られる金銭的被害を及ぼしてきた。深い専門知識を持たない人物でもオリジナルの亜種を作成できる「ツールキット」が流通していることも、Zeusによる被害を増大させている。
幸いなことにこれまで日本は、「言葉の壁」もあって、Zeusによる被害は免れてきた。しかしシマンテックによると、とうとう日本の銀行のみを標的にした亜種が発見されたという。
この亜種の機能自体はほかのZeusと変わらないが、設定ファイルには、日本の大手銀行5行のドメイン名が記されている。もしユーザーがこれらのサイトにWebブラウザでアクセスしようとすると、HTMLコードを書き換え、「サービス向上のために、もう一度情報を入力してほしい」という依頼が、つたない日本語で表示される。注意を払っていれば、この時点で気付くことができるだろう。しかし、もしここでパスワードなどを入力してしまうと、Zeusのキーロガー機能によってそれらの情報が攻撃者に送られ、なりすましなどに悪用されることになる。
シマンテックによるとこの亜種は、今のところ日本でしか検出されておらず、日本のオンラインバンキング利用者が狙われていることは明白だという。
同社では、「ソフトウェアをすべて最新の状態に保つこと」「信頼できない送信者から送られてきた電子メールや添付ファイルは開かないこと」を呼び掛けている。さらに、オンラインバンキングのサイトで、普段とは違う情報が要求される場合にも注意が必要としている。
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