5分で分かる特許 〜イノベーションを阻害するのか?:5分で分かる製作現場(4)(2/5 ページ)
ややこしい特許制度がなければ、自由なイノベーションが生まれるのか? ビジネスを強固にするためにはどのような特許戦略を取るべきか?
2分−特許権を得るためには
あらゆる発明に特許権が発生するわけではありません。特許権を得るためには、特許庁に発明を書類にまとめて出願し、審査を受けて登録される必要があります。
ここで登録されるための主な条件には以下のものがあります。
1.「技術的アイデア」であること。
先ほど「発明」とは「技術的アイデア」だと書きました。つまり、そもそも「技術的アイデア」でないものは特許法の対象外であり、登録されることはありません。例えば、ビジネスモデル、ゲームのルール、個人的な技能などは特許にはなりません。
「ビジネスモデル特許」というものがあるのではないかとお考えかもしれませんが、世の中でビジネスモデル特許と呼ばれているものは実際にはビジネスモデルを実現するための情報システム(これは技術的アイデアになり得ます)の特許です。
2.新規性・進歩性
出願時点ですでに世の中で知られていた発明は特許化されません。すでに世の中に知られているアイデアに独占権を付与するのはどう考えても理不尽なことから当然です。同様に、世の中ですでに知られていたアイデアから容易に思い付く発明も特許化されません。要は出願時点で「当たり前」のアイデアは特許になりません。
3.開示要件
例えば、高速表示できるディスプレイという発明の出願に、どのようにして高速表示するかが明確に記載されていなければ、特許化されることはありません。特許は独占と公開のバランスという点を思い出してください。
仕組みが明確に公開されていない単なる願望や、曖昧模糊としたアイデアに、独占権を付与すべきでないのは当然です。
4.先願
同じ発明が複数の人から出願されたときには、一番先に出願した人が権利を得られます。先に発明した人が権利を得られる方が合理的な気もしますが、実際には、誰が最初に発明したかを証明することは困難なため、出願の早い者勝ちの制度が採用されています。
ほかにもさまざまな条件がありますが、上記の4点を押さえておけばよいでしょう。
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