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5分で分かる特許 〜イノベーションを阻害するのか?5分で分かる製作現場(4)(3/5 ページ)

ややこしい特許制度がなければ、自由なイノベーションが生まれるのか? ビジネスを強固にするためにはどのような特許戦略を取るべきか?

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3分−特許を得るための条件(具体例)

 先ほど説明した特許権を得るための条件を分かりやすくするために、具体例に当てはめて考えてみましょう。

 高齢者向けのSNSというアイデアは特許化できるでしょうか? いままでにない新しいビジネスであったとしても、そして、仮に事業化したら成功するであろうとしても、このアイデアは「技術的アイデア」ではないので特許化することはできません。SNSなのでコンピュータを使っているといっても、その使い方に特別な要素がなく一般的な道具としての使用であれば、特許法上の発明ではないとされてしまうのは同じです。

 では、技術的な要素を加えたらどうなるでしょうか? 高齢者向けに画面の文字サイズを大きくしたSNSはどうでしょうか? これにより、一応「技術的アイデア」であるというハードルはクリアーできます。しかし、新規性・進歩性についてはクリアーできないでしょう。視力が弱い人向けに字を大きくするのはずっと昔から「当たり前」だったからです。

 では、さらに新しい要素として、文書中の重要な個所を判定し、文字を特に大きくすることで文章を読みやすくした高齢者向けSNSはどうでしょうか?

 まず、文書中の重要な個所を判定する仕組みが出願書類に明確に書かれていないと開示要件違反で拒絶されるでしょう(こんな願望的なアイデアが特許化されるなら「燃費が飛躍的によいエンジン」など、思い付いた人が「言った者勝ち」で特許を取れてしまいます)。

 文書中の重要な個所を判定するアルゴリズムが明確化されて、それが本当に斬新なものであれば特許にできる可能性が出てきます(ただ、現実にはこのような文書解析のテクノロジは長い間にわたり改良を続けられてきているので、いまから斬新なアイデアを思い付くのは困難でしょう。本当に新規性・進歩性のハードルをクリアしたいなら、まだ「キャズム」を超えていない分野を狙うべきです。)

 さらにいえば、もし、文章中の重要な個所を判定する斬新なアルゴリズムを発明したのであれば、高齢者向けSNSという特定分野で出願するのは得策ではありません。「文書評価方法」などのより広い範囲で特許化すべきでしょう。

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