統合システムはどこまでベンダロックインなのか:微妙に異なる提供各社のスタンス
「統合システム」「垂直統合システム」などと呼ばれる製品が増えている。1社ですべてのハードウェアおよびソフトウェアの要素を提供するというのであれば、「ベンダロックイン」という言葉が浮かぶ。実際にはどこまでベンダに「ロックイン」されるのだろうか。
「統合システム」「垂直統合システム」などと呼ばれる製品が増えている。典型的には、1社が自社のサーバ、ストレージ、ネットワークをまとめ上げ、何らかのソフトウェアをインストールしたものを1製品として提供、すぐにそのソフトウェアが利用できるようにしたものを指しているようだ。1社ですべてのハードウェアおよびソフトウェアの要素を提供するというのであれば、「ベンダロックイン」という言葉が浮かぶ。実際にはどこまでベンダに「ロックイン」されるのだろうか。
これを探るには、まず統合システムを分類するところから始める必要がある。一口に統合システムといっても、クラウドサービスでいえばSaaS、PaaS、IaaSに対応する製品がある。Oracle ExadataなどはSaaSレベルに分類できるが、統合システムというよりも「アプライアンス」と呼ばれることが多いようだ。データベースアプリケーションを動かすという目的に特化していて、それ以外のハードウェアを含めた部分はブラックボックス化しているからだ。ほかにもビジネスインテリジェンス(BI)系で、同様な製品がある。
PaaSレベルに相当するものとしては、日本IBMのPureApplication Systemなどがある。アプリケーションを投入して管理するプロセスを自動化するなどして、IT活用のスピードを高めることを付加価値とする製品だ。
IaaSに相当するものは数多い。1社で提供しているものには、日本HPのCloudSystem Matrixなどがある(同製品は、ソフトウェアツールでPaaSレベルの機能も付加できるようにしている)。一方でこのレベルでは、複数ベンダが集まって、統合システム的に見えるように、検証・構成済みの一体型製品を提供するケースもある。EMCが主導するVSPEX、シスコとネットアップの連携によるFlexPodがいい例だ。
1社で提供する統合システムは、システムベンダがストレージやネットワークのベンダを買収するなどして、専業ベンダからの調達を減らそうとしてきた動きと明らかにリンクする。特にPaaSレベルおよびIaaSレベルの統合システムは、企業の全社的IT基盤として位置付けられる可能性もある。すべてのコンポーネントを自社製品で一括供給できれば、将来のシステム拡張ニーズも含めて、有望なビジネスになる可能性があり、システムベンダが統合システムに取り組むのも当然だといえる。
では、統合システムはどこまでベンダロックインか。調べてみると、少なくともIaaSレベルの統合インフラシステムに関しては、典型的なベンダロックインは、(ベンダが望むかどうかにかかわらず)難しくなっている状況が見てとれる。また、統合インフラシステムは各社のクラウド戦略とも絡んで、システムベンダにとって別の戦略的意味を帯びるようにもなってきている。
統合インフラシステムをめぐるITベンダの動きやオープン性について、「統合インフラシステム製品をどう考えるべきか」(PDF)にまとめていますので、ぜひご覧ください(本コンテンツのダウンロードには、TechTarget会員登録が必要です)。
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