5分で分かる著作権〜まずは基本を押さえよう:5分で分かる製作現場(9)(3/5 ページ)
著作権法は、コンテンツやプログラムの作成者のみならず、利用者にとっても知らないでは済まされない法律です。本稿で基本的な知識を身に付けましょう。
3分−著作者人格権と著作隣接権
日本の著作権法には今まで説明してきた(狭義の)著作権以外の権利も定められています。
第1に、著作者の名誉やクリエイターとしてのこだわりなどの人格的権利を守る著作者人格権という権利があります。著作者人格権には同一性保持権、氏名表示権、公表権があります。著作者人格権に対して、前述の複製・譲渡・演奏などに関する権利を著作財産権と呼びます。一般用語として「著作権」といった場合には狭義には著作財産権を指し、広義には著作財産権と著作者人格権を合わせて指すので注意が必要です。
著作者人格権の中で問題となりがちなのが同一性保持権です。これは、「著作者の意に反して」著作物を改変されない権利です。著作物を他人に勝手に改変されることは著作者の名誉を害し得ることから設けられた権利です。しかし、今日のコンテンツ環境では、他人の著作物を何らかの形で改変して派生作品とする行為が幅広く行われています(いわゆる二次創作、パロディなど)。同一性保持権が強過ぎることで問題となるケースもあり得ます。
第2に、著作物の直接的なクリエイターではないが、著作物の社会への伝達に貢献する者を保護するための著作隣接権があります。レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者、実演家が著作隣接権により保護されます。レコード製作者の著作隣接権は一般に「原盤権」と呼ばれます。
ニコニコ動画やYouTubeなどの動画サイトに、ヒット曲を自分で演奏した動画をアップロードするのは合法です。これは、これらのWebサイトがJASRACなどの音楽著作権管理団体と契約しており、かつ、ほとんどのヒット曲の著作権(作詞家・作曲家の権利)はこれらの音楽著作権管理団体に預けられているからです。しかし、原盤権についてはそうではないので、明示的に許可された一部の音源を除き、動画サイトにCD音源をアップロードすると原盤権の侵害になります。
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