5分で分かる著作権〜まずは基本を押さえよう:5分で分かる製作現場(9)(5/5 ページ)
著作権法は、コンテンツやプログラムの作成者のみならず、利用者にとっても知らないでは済まされない法律です。本稿で基本的な知識を身に付けましょう。
5分−著作権契約
本記事の読者の方も日々の仕事として著作物(コンテンツやプログラム)を作成することが多いと思います。その場合に著作権が誰に帰属するのかを明確にしておくことが重要です。
まず、企業の社員が業務としてコンテンツやプログラムを作成する場合は、職務著作と呼ばれるパターンになり、企業自身が著作者となります。問題になるのは外注のケースです。この場合には、対価の条件に加えて、著作権の帰属やライセンスの条件を明確化しておくべきです。
例えば、他人に頼まれてイラストを作成した場合に、特定の目的(例えば、企業Webサイトへの掲載)だけで使うのか、自由な目的に使えるのか、改変は許されるのか、他人に著作権を譲渡してしまってよいのかなどの著作権に関する条件について、発注者と作成者の間で(文書により)合意しておくべきです。
多くの業界では、このような契約関係がうやむやになっているケースが多いと思われます。しかし、デフォルトのルールではクリエイター側に著作権があるということを忘れてはなりません(上記の職務著作の場合を除きます)。契約がうやむやなことで発注者側の方が不利になるケースもあり得ます。つまり、著作権について明確に合意しておくことは、発注者にとってもクリエイターにとっても重要です。
著者プロフィール
栗原 潔
テックバイザージェイピー(TVJP)代表取締役 弁理士。技術士(情報工学)。 IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社。 東京大学工学部卒業、米MIT計算機科学科修士課程修了。
日本アイビーエム、ガートナージャパンを経て2005年6月より独立。独自の視点で「IT弁理士日記」を執筆中。
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