AWSがElastic BeanstalkやIAM、Redshiftの機能アップデートを発表:AWS情報アップデート
自動運用を助けるRolling Updatesや、Redshiftにおける柔軟なメモリやクラスタノードの利用が可能になる機能などが相次いで発表になった。間もなく各国リージョンで利用できるようになる。
米Amazon Web Services(AWS)は2013年11月11日、AWS Elastic Beanstalkの新機能「Rolling Updates」、AWS Identity and Access Management(IAM)によるSecurity Assertion Markup Language(SAML)2.0のサポート、Amazon Redshiftのパフォーマンスやセキュリティ関連の新機能についてそれぞれ発表を行った。
Rolling Updatesによる運用自動化
AWS Elastic Beanstalkの新機能Rolling Updatesでは、Amazon EC2インスタンスの更新や入れ替えが必要な状況において、どのような変更を適用するかをコントロールできる。例えば、シングルインスタンスから負荷分散型の環境に切り替える場合や、アプリケーションの垂直なスケーリングのためにインスタンスタイプを変更する場合などに利用できる。
Rolling Updatesを有効にすると、リクエスト処理能力とアップデート続行の間でバランスを調整することができ、例えば開発環境のための全インスタンスは一斉にアップデートする一方で、プロダクション環境用のインスタンスは少しずつアップデートして、サービスに必要な最低限のインスタンスは常にキープするといった選択が可能になる。
一方、AWS IAMで新たにサポートしたSAML 2.0は、多くのアイデンティティプロバイダ(IdP)が使っているオープン標準で、ID連携によるシングルサインオン(SSO)を実現する。これにより、ShibbolethやWindows Active Directory Federation ServicesといったSAML対応IdPの認証を用いてAWS Management Consoleにログインしたり、プログラムからAWS APIの呼び出しを行うことが可能になる。
Redshiftのアップデート
データウェアハウス管理サービスであるAmazon Redshiftには、パフォーマンスやデータローディング関連の新機能として、テーブルをAmazon Redshiftクラスタの全コンピュートノードに分散できる「分散テーブル」が追加された。また、Hyper LogLogアルゴリズム*を使ってクエリ応答速度を速める「Approximate Count Distinct」、特定のワークロードに対してメモリを割り当てる「Workload Queue Memory管理」、SSH通信を使って他のHDFSクラスタから別のクラスタにコピーを行う「リモートホストからのコピー」などの機能が加わった。
*Hyper LogLogアルゴリズム “HyperLogLog: the analysis of a near-optimal cardinality estimation algorithm”, 2007 Conference on Analysis of Algorithms, AofA 07,DMTCS proc.AH, 2007, 127-146.(PDF)
セキュリティ関連では、暗号化されたAmazon Redshiftクラスタを使っている場合の鍵の管理に、オンプレミスのHardware Security Module(HSM)またはAWS CloudHSMが使えるようになった。また、データベースに関連した接続とユーザーの行動のログを記録できる「Database Auditing and Logging」、会社のセキュリティポリシーに基づいて鍵の入れ替えができる「Key Rotation」、Amazon Simple Notification Service(Amazon SNS)経由でクラスタイベントに関する通知が受け取れる「Event Notifications」の各機能が追加された。
これら新機能は今後2週間のうちに各国で提供を開始する予定だという。
関連記事
- Database Watch(2013年6月版):SQL Server 2014 処理高速化の仕掛け/Redshiftの先行評価の内容とは?
「SQL Server 2014」が正式アナウンスに。高速化の仕掛けを取材。「AWS Summit Tokyo 2013」のセッションからはAmazon Redshiftの先行評価の情報を紹介する。 - 国内企業導入の呼び水となるか:AWS、クラウド型DWHサービス「Redshift」を東京リージョンで提供開始
AWSのクラウド型DWHサービス「Amazon Redshift」が東京リージョンで提供開始された。果たして国内企業の導入を促進することとなるだろうか。 - 日本市場に本格参入:Tableau、BIツールの最新版「Tableau 8.0」を国内提供
Tableau 8.0は、「Excelユーザーなら誰でも使えるツール」をコンセプトとし、マウス操作だけでデータ分析に関するほとんどの操作を直感的に行うことのできるBIツールだ。 - Amazon Redshiftにも対応:Hadoop、NoSQLのサポートを強化した「Talend v5.3」
Talend v5.3は、MapReduceのネイティブコードを生成できるようになった。これにより、Talendのジョブを並列分散処理に対応させることできる。 - Amazon Redshiftが正式公開に
AWSのクラウド型データウェアハウスサービス「Amazon Redshift」がいよいよ正式公開となる。今後数カ月以内に各リージョンでの利用が可能になるという。 - Database Watch(2013年1月版):Redshiftがもたらすデータ分析環境の新時代/私的2012年の業界まとめ
2012年末に発表されたAmazon Redshift。ついにデータウェアハウスも格安のWebサービスの1つとして選択できるようになった。今月はRedshiftをウォッチ! - Amazon S3も値下げ:AWS、クラウド上のデータウェアハウス「Amazon Redshift」を発表
米Amazon Web Services(AWS)は11月28日、クラウド上のデータウェアハウスサービス「Amazon Redshift」を発表した。ぺタバイト級のデータを高速分析でき、料金は従来のデータウェアハウスの10分の1ですむとうたっている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.