10万行のフローテーブルで10Gbpsの転送速度、NTTがSDNソフトスイッチを開発:マルチスレッド化などで高速化
日本電信電話(NTT)は2013年12月9日、ワイヤレートで10Gbpsの転送速度を実現するSDN/OpenFlow対応ソフトウェアスイッチのプロトタイプを開発したことを発表した。
日本電信電話(NTT)は2013年12月9日、ワイヤレートで10Gbpsの転送速度を実現するSDN/OpenFlow対応ソフトウェアスイッチのプロトタイプを開発したことを発表した。総務省の委託を受けた「ネットワーク仮想化技術の研究開発」の研究開発プロジェクト、「O3プロジェクト」の一環として開発されたもので、2013年12月12日〜13日に沖縄県市町村自治会館にて開催される「Okinawa Open Days 2013」で紹介される。
O3プロジェクトは、広域SDN(Software-Defined Networking)の実現を目指し、NTTのほか、NTTコミュニケーションズ、日本電気、富士通、日立製作所の5社が共同で進めている。広域SDNの実現を通して、サービスプロバイダの要求に応じて迅速かつ柔軟にネットワークの構築や変更を行えるようにし、ひいてはサービスの開設・撤収時間を大幅に短縮することを目指している。
今回開発されたソフトウェアスイッチのプロトタイプは、その中で、OpenFlowコントローラのフローテーブル情報に従って処理する、OpenFlowスイッチの役割を担う。さらに独自の高機能モジュールも追加し、管理システムからマネジメントを行えるようになっている。
従来、ソフトウェアベースのスイッチには、柔軟な実装が可能というメリットがある一方で、性能が課題となっていた。処理能力は数千フローテーブルの設定で数Gbps程度で、データセンター内には適用できても、広域ネットワークで運用するには不十分だったという。
これに対しNTTが開発したソフトウェアスイッチは、マルチスレッド対応、fff検索アルゴリズムによる大規模フローテーブル検索の高速化といった工夫を凝らすことで処理を高速化。10万行のフローテーブルを設定した場合でも、パケットヘッダの書き換えを行いながらワイヤレートで10Gbpsの転送速度(ロングパケット転送時)を達成した。同社によるとこれは、SDNソフトウェアスイッチとしては世界最高性能という。
NTTは今後、さらに大容量のフローに対応できるよう拡張を図り、いっそうの高速化を目指す。同時に、各種プロトコルへの対応、高信頼化機能および管理機能についても研究開発を進め、信頼性・運用性を高める計画だ。
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