オープンソースOpenStackのトレーニングやインテグレーションの企業が設立:日本人エンジニアも育てたい
OpenStackを中心としたクラウド関連オープンソースソフトウェアのトレーニング、およびOpenStack関連のシステムインテグレーションを行う子会社、アセアン・ラボの設立が、2月6日に発表された。
OpenStackをベースとしたクラウド基盤アプライアンスを展開するモーフ・ラボは2月6日、クラウド関連オープンソースソフトウェアのトレーニング、およびOpenStack関連のシステムインテグレーションを行う子会社、アセアン・ラボを設立したと発表した。代表取締役社長の金野諭氏は、ASEAN地域全体としての、エンジニア市場を拡大することが、将来に向けた目標だと話す。
オープンソースソフトウェアのトレーニングに関しては、OpenStack Foundationのゴールドメンバーであるモーフ・ラボのノウハウを生かし、OpenStack認定トレーニングを提供する。提供開始は2013年4月。同トレーニングは、ベンダ製品ではなく、オープンソース版のOpenStackを対象としているのが大きな特色。
具体的には、トレーニングセンター・パートナーと協力し、「OpenStack概要」「OpenStackシステム管理1」(導入関連)、「OpenStackシステム管理2」(運用・トラブルシューティング)を有償コースとして提供。受講者はトレーニングセンターで、座学と、Amazon Web Services上に構築したOpenStackトレーニング環境を用いた実習を受けられる。OpenStackに関し、初級から上級まで体系化されたトレーニングを受けられるのは、国内で初めてという。
このトレーニングコースの目的の1つは、検証(PoC)を、導入組織のエンジニアが自ら立ち上げ、一通りの運用ができるようにすることにある。このため導入に関しては、インストーラを使わず、マニュアルでのインストールを実際に行う。また、運用に関してもトラブルをクラウド上の環境で実際に再現し、対処方法を学ぶ。
アセアン・ラボは、OpenStackに関連する、その他のオープンソース技術についてのトレーニングも拡大していく。2014年中に、Ceph、Puppet/Chef、運用ツール(logstash、Kibana、Zenoss、sensuなど)のコースを提供するという。また、OpenStackネットワーキングに関しても、製品/技術パートナーと組んで実施したいと金野氏は話す。
クラウドインテグレーションに関しては、モーフ・ラボがOpenStackをアプライアンスとして提供しているのに対し、アセアン・ラボではオープンソース版のOpenStackを自社のニーズに合わせてカスタマイズした形で導入・運用したいユーザー組織に、コンサルティング、システム設計・構築、運用設計などを提供する。システム・インテグレータの背後で、OpenStack環境の構築・運用を支援する活動も行っていくという。
アセアン・ラボはもう1つの事業も展開する。それは日本のIT関連企業による、フィリピン、インドネシア、シンガポールなどASEAN地域への進出を支援するコンサルティング事業だ。ASEAN諸国では、短時間でITを整備・増強していかなければならないというニーズが急速に高まっているという。同社ではこうしたニーズに日本のIT企業が応えることを支援する一方、自社としてもASEAN諸国を対象としたシステムインテグレーション事業を展開していくという。
一方で、ASEAN諸国では、優秀なITエンジニアが多数育ってきているという。「一人月200万円といったレベルのエンジニアも増えている」(金野氏)。アセアン・ラボでは日本企業によるASEAN諸国の人材の活用と、世界に通用する日本人エンジニアの育成の双方に関わっていきたいという。
アセアン・ラボは、3事業をあわせ、今後3年間で20億円の売り上げを計画している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.