空飛ぶテクノロジ――地球上の7分の1の人に物を届ける価値:太田智美のビビビ「TEDTalks」ピックアップ!
「TEDTalks」の中から、編集部の太田が「ビビビ」と感じた動画をピックアップし、不定期に紹介する企画。今回取り上げる動画は、「No roads? There’s a drone for that」だ。
本連載では、TED(「Technology Entertainment Design」の略)が主催するカンファレンスの講演動画「TEDTalks」の中から、編集部の太田が「ビビビ」と感じた動画をピックアップし、紹介していきます。
「No roads? There’s a drone for that」
現在、地球上の7分の1の人々(約10億人)が、季節によって孤立してしまう地域や道路のない地域に住んでいるといわれている。例えば、サハラ以南のアフリカ(アフリカ南部)では、雨期には道路状況が悪化し85%の道が利用不可能となる。このような地域では、生活必需品を手に入れたり必要なときに薬を届けたりすることが困難となる他、市場へ売りに出すために物を送ることもできず、継続的な収入を得られなくなってしまうなどの問題を抱えている。
この課題に立ち向かおうと、交通機関の新たな可能性を模索するアンドレアス・ラプトポウラス(Andreas Raptopoulos)氏は、小型無人航空機を用いた新しい輸送手法「MATTERNET」を提案する。MATTERNETは、連絡を受けてから届くまで、これまで何日もかかっていた物をわずか数時間で届けることが可能であり、2キログラムの物を10キロメートル運ぶのに掛かる費用は24セントと、料金面も現実性が高い。
これらを可能にするのは、MATTERNETを構成する「小型無人航空機」「地上自動基地」「制御システム」の3つのテクノロジである。
小型無人航空機には、GPSやさまざまなセンサーが搭載されており、飛行により物を特定の場所へと運ぶことができる。現在使われている小型無人航空機「クワッド・コプター」は、2キログラムの荷物を10キロメートル離れた場所に運ぶのに15分ほどで済む。地上自動基地は、長距離飛行の途中で電池を替えたり、荷物を受け渡したりする機能を持ち、小型無人航空機が地上自動基地に着陸すると、基地が荷物の積み降ろしや電池交換を自動的に行う。ラプトポウラス氏は、将来的に地上自動基地が商業の中心地になっていくだろうと予想する。 また、ネットワーク全体を管理する制御システムは、各基地で観測した気象情報などを基に最適な飛行経路を選択する。
ラプトポウラス氏は語る――「道路から孤立した10億人がいつでも物を得ることができるようになれば、多くの人々により良いワクチンや薬を届けられる。その結果、HIV、結核、他の伝染病などを早期に食い止めることが可能となるだろう。私は、多くの人々を貧困から救い、ゆくゆくはこの試みが新しい経済取引の形となることを望んでいる」。
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