CODE BLUE――日本発のサイバーセキュリティカンファレンスの価値:セキュリティ業界、1440度(6)(3/3 ページ)
日本発、世界へ発信を目指した「CODE BLUE」が2014年2月に開催されました。その価値は、参加費以上に大きいものなのです。
価格面の魅力
最後に多少ビジネスライクな話として、CODE BLUEの参加費について言及したいと思います。
通常、情報セキュリティカンファレンスの参加費は10万円前後であることが多く、CODE BLUEの当日券4万5000円、早期割引で3万円というのは相当に安い部類です。参考までに、例えば2014年3月に開催されるBlackHat ASIA 2014の場合、早期割引で999ドル、最終申込みで1400ドルという価格設定です。2013年10月に開催されたPacSec 2013も早期割引で9万9750円、当日価格で12万6000円です。海外で開催されるカンファレンスの場合、渡航費、宿泊費も必要となるため、一人参加するのにおおむね30〜50万円相当の費用が発生します。
CODE BLUEに限らず、こうしたカンファレンスの多くは発表資料が後日公式サイトで公開されるため、単に発表内容を把握することが目的であれば、現地に出向いてまで参加する必要はありません。やはりカンファレンスの最大の魅力は関係者が一堂に会すことであり、前述のネットワーキングパーティを利用した研究者間のチャネル開拓、情報収集、交換、人材獲得にあると私は考えています。情報収集活動に投資する意欲がある企業にとっては、カンファレンスへの参加は非常にコストパフォーマンスの良い選択肢だと思います。
コミュニティの中にいると、とかく「業界が狭い」「どこに行ってもいつも同じ顔ぶれがそろっている」と感じがちです。一方コミュニティの外からだと「どこから入れば良いのか入口が分からない」と悩みがちです。情報セキュリティ業界の入口が分からない、ということであれば、誰でもいいので1人だけでも知り合いを見つけ、こうしたカンファレンスに参加してみてはいかがでしょうか。
ネットワーキングパーティでは、私もアルコールを取りながら会話していますので、気軽にお声掛け頂ければ幸いです。おそらく次回は、2014年末ないしは2015年初頭の開催になるのでは、と予想していますが、そのときに「@ITのレポートを読みました」と声を掛けてもらえることを楽しみにしております。
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村上純一
株式会社FFRI 執行役員事業推進本部長(兼新技術開発部長)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)非常勤研究員。2006年からセキュリティ・キャンプ講師を担当。マルウェア解析、脆弱性分析などに関する研究開発に従事。BlackHat、RSA Conference、PacSec、AVARなど、国内外のセキュリティカンファレンスにおける研究発表多数。
FFRIは日本において世界トップレベルのセキュリティリサーチチームを作り、IT社会に貢献すべく2007年に設立。日々進化しているサイバー攻撃技術を独自の視点で分析し、日本国内で対策技術の研究開発に取り組んでいる。その研究内容は国際的なセキュリティカンファレンスで継続的に発表し、海外でも高い評価を受けており、これらの研究から得られた知見やノウハウを製品やサービスとして提供している。
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