これから始めるGoogle+ハングアウト:Google+ハングアウト入門(2/2 ページ)
Googleが提供している無償の統合メッセージングサービス「Google+ハングアウト」。テレビ会議にも使えるこのサービスの概要を解説する。
Google+ハングアウトの基本機能
Google+ハングアウトには、「ステータス」「チャット」「テレビ会議」の3つの機能がある。「ステータス」で在籍確認をして、「チャット」で話し掛け、必要に応じて「テレビ会議」に切り替えてコミュニケーションを継続するというような使い方が一般的だろう。
■機能(1) − ステータス機能
Google+ハングアウトでは「ステータス」を使って、自分がチャットできる状態かどうかを相手に伝えることができる。各ステータスの意味は次の通りである。
Google+ハングアウトのステータス
Gmailの画面からステータスを確認すれば、相手がオンラインかどうかを直感的に判断することができる。
(1)Gmailの画面の左下側には、Google+ハングアウトのステータスが表示されるので、相手がオンラインかどうかを直感的に判断できる。
ステータス | 状態 | 意味 |
---|---|---|
プロフィール写真の下に緑色のバーが表示されている場合 | オンライン | オンライン状態にあり、チャットやビデオハングアウトが可能な状態である |
プロフィール写真の下に緑色のバーが表示されていない場合 | アイドル状態 | アイドル状態にあり、チャットやビデオハングアウトを開始することができない状態である。パソコンを使用していない状態が 15 分間続くと、ステータスは自動的にアイドル状態に変更される。手動でアイドル状態と表示されるように選択することはできない |
Google+ハングアウトのステータス |
■機能(2) − チャット機能
Gmail、orkut(Googleが運営するソーシャルネットワーキングサイトの名称)、Chrome OS、Google+を利用するとチャットで文字によるコミュニケーションも可能となる。既にGmailを利用している場合は、チャットにログインして相手を招待し、チャットを開始するだけすぐに利用を開始できる。
Google+ハングアウトの連絡先リストからチャットを開始する
Google+ハングアウトの連絡先リストからチャットで話し掛けたい相手を選択し、チャットに招待することで、文字によるコミュニケーションが開始できる。
(1)チャットに招待することで、文字によるコミュニケーションが開始できる。
また、前述の通り、チャット履歴はGmailアカウントに保存されるので、後で簡単に検索することもできる。
■機能(3) − テレビ会議機能
Gmail、orkut、Chrome OS、Google+でチャットを使用している場合は、チャット ウィンドウから直接テレビ会議を開始することができる。ただし、前述の通り、Google+アカウントを持っていない場合は、制限付きのハングアウトのみの開始または参加となるため、やり取りできる相手は1人だけとなる。Google+アカウントにアップグレードすると、同時に最大10人でハングアウトしたり、画面を共有をしたり、ダウンロード型のGoogle+ハングアウト アプリケーションの使用したりと、全てのハングアウト機能が利用できるようになる。
■機能(4) − 外線電話機能
Google+ハングアウトでは、Googleアカウント同士のテレビ会議だけでなく、固定電話や携帯電話などへの外線電話をかけることもできる。日本国内の携帯電話への通話料金は 1分当たり0.11米ドル(約12円) 程度となっており、料金の支払方法は利用前にWeb画面で事前購入(10米ドル、25米ドル、50米ドルから選択)するプリペイド方式となっているため、格安電話としても利用可能だ。
■機能(5) − インターネットへの公開動画配信機能(ハングアウトオンエア)
Google+ハングアウトには、Google+ホームページやYouTubeチャンネルを通じて世界中にライブの動画を配信するための「ハングアウトオンエア」という機能も提供されている。配信された動画は、YouTubeチャンネルとGoogle+上の自分のウォールに投稿したり、編集して共有相手に公開したりすることができる。
では、Google+ハングアウトはどのようなメリットをもたらすのか見てみよう。Gmailユーザーは基本的にこれらの機能を無償で利用することができるが、それ以外にも多くのメリットが提供される。
■メリット(1) − Gmail画面や普段使いのデバイスから直接利用可能
Google+ハングアウトはGoogle+のハングアウト画面だけでなく、Gmailのメール画面などからも簡単にコミュニケーションを開始できる。相手がパソコンを使っていなくても、スマートフォンなどのデバイスで利用できる上、同時に最大10人まで1つの通話に参加できるため、自宅、学校、職場、外出先などあらゆる場所から無料で利用できる。
Google+ハングアウトをマルチデバイスで利用
Google+ハングアウトはマルチデバイスで同時に利用することができるだけでなく、各デバイス間でのやり取りの内容がリアルタイムに自動同期されるようになっている。
(1)PCのブラウザー上でのやり取りもiOSやAndroid上のGoogle+ハングアウトに自動的に同期される。
(2)iOS/Android上のGoogle+ハングアウトに、PCのブラウザーのやり取りが同期される。
■メリット(2) − コミュニケーションの確実性を向上
Google+ハングアウトでコミュニケーションをしている際には、コミュニケーション相手となる友人、家族、ビジネスパーソンがメッセージを読んだかどうか、今返事を書いているかどうかを一目で確認できる。また、連絡を取ろうとした相手がオフラインの場合、次に接続したときにその相手にアラートが表示されるため、メッセージが気付かれないまま放置されることが極めて少なくなる。
Google+ハングアウトでコミュニケーションをする際は「入力中」などの相手の状況をリアルタイムで確認できる。
(1)PC上のWebブラウザーの場合。
(2)iOS用アプリの場合。
(3)Android用アプリの場合。
■メリット(3) − 端末を切り替えてもスムーズなコミュニケーションを継続
会話の途中で別の端末に替えても、簡単にその会話を見つけてコミュニケーションを継続することができるのもGoogle+ハングアウトのメリットだ。さらに、スクロールで過去のハングアウトをさかのぼることができたり、Gmailのメールボックス内にやり取りの内容が残る仕組みとなっているため、PCでやりとりしたチャット内容をスマートフォンやタブレットからも確認できるなど、複数デバイス間での過去データの同期は容易となっている。
無償版Google+ハングアウトとGoogle Apps for Businessのハングアウトの違い
Google+ハングアウトはビジネス向けに提供されている Google Apps for Businessの環境でも同様に利用できる。とはいえ、Google Apps for Businessは有償サービスであるため、以下に挙げるような機能が追加で利用できる。
- 同時に参加できるテレビ会議の人数は 最大15 名(無償版は10名まで)
- グローバルアドレス一覧によるオートコンプリート
- 管理機能の提供
- ハングアウトオンエアの有効/無効の制御
- ハングアウトのチャットメッセージを社内のみに制限
- チャット履歴をデフォルトで無効に設定
- ドメイン内のユーザー同士は自動でチャットリストに追加(承諾不要)
- ハングアウトの組織ごとのオン/オフ、完全オフの切り替え
- テクニカルサポートの提供
Google+ハングアウトのセキュリティ
Google+ハングアウトはインターネットを通じたサービスであるため通信経路のセキュリティについて不安を持つ読者もいるかもしれないが、心配は無用である。Google+ハングアウトの全ての動画と音声のストリームは暗号化されているので、ユーザーが遠隔地にいる場合も、VPNを使用しなくても安全にハングアウトに参加することができる。また、Google+ハングアウトのその他全ての機能(チャットやGoogleドライブのファイルとの統合など)は HTTPS 経由で提供されるため、通信経路で盗聴に合う心配は無いと考えてよい。
Google+ハングアウトの導入要件
Google+ハングアウトを使用するには、次の要件を満たしている必要がある。
- サポートされているブラウザー(最新バージョンとその前のバージョン)
- Google Chrome
- Microsoft Internet Explorer
- Mozilla Firefox
- Safari
- サポートされているOS (最新バージョンとその前バージョン)
- Max OS X
- Windows XP/Vista/7/8/8.1
- Chrome OS
- Ubuntu およびその他の Debian ベースの Linux ディストリビューション
- Android バージョン 2.3 以降(Google Play から専用アプリケーションを提供)
- iOS(iPhone、iPad、iPad mini)バージョン 6.0 以降(App Store から専用アプリケーションを提供)
- プロセッサーの最小要件(PCの場合)
- 2 GHz デュアルコア プロセッサー以上
- 帯域幅
- 1 対 1 接続の場合、アウトバウンド=1Mbps/インバウンド=1Mbps以上を推奨
- グループのビデオ接続の場合、アウトバウンド=1 Mbps/インバウンド=2 Mbps以上を推奨
帯域幅の詳細
Google+ハングアウトで使用する帯域幅は状況によって異なり、参加者のネットワークのコンディションに応じて下記の表の中で最も良い状態になるように自動調整される。最小と最大の帯域幅要件と、想定帯域幅は以下の通りとなる。
- 必要最低帯域幅
- 参加者からのアウトバウンド:256 Kbps
- 参加者へのインバウンド:512 Kbps
- 最高の状態にするために必要な、理想の帯域幅
- 参加者からのアウトバウンド:1Mbps
- 参加者へのインバウンド:2.5Mbps
- 2人以上のグループでのビデオハングアウトに必要な、理想の想定使用帯域幅
- 全ての状況において、参加者からのアウトバウンド:900Kbps
- 5人の参加者がいる場合の、参加者へのインバウンド:2Mbps
- 10人の参加者がいる場合の、参加者へのインバウンド:3Mbps
ハングアウトでは、利用できる通信帯域やシステムの機能/性能などに応じて、映像や音声の品質が自動的に調整される。最もよい条件がそろうと「HD」動画による通信が可能になる。HD動画とは、720p映像(解像度1280×720ドットのノンインターレース映像)を使った通信のことである。システム要件を満たさなかったり、利用できる通信帯域幅が少なかったりする場合は、帯域幅設定を下げて利用することになる。設定可能な帯域幅の種類とその意味は次の通りである。
帯域幅の種類 | 内容 |
---|---|
自動HD | この設定は、CPUの論理コアが4個以上ある場合にのみ使用できる。このモードでは、帯域幅に合わせてGoogle+ハングアウトの動画品質が自動的に調整され、HDの最高レベルも使用できる。 HD動画を送信するための要件: ・HD 720p 対応カメラ ・論理コアが 4 個以上の CPU(HyperThreading 対応のCore i5 など) ・1.2Mbps以上のアップロード速度を持つネットワーク接続(1.5Mbpsを推奨) ・帯域幅の設定が[自動HD]に設定されていること |
中 | 全てのユーザーのデフォルトモードであり、HDを利用していないユーザーに最適な設定である。このモードでは、最適な品質を提供するために、使用可能な全ての帯域幅がGoogle+ハングアウトで使用される。使用される帯域幅は、それぞれの方向で1Mbpsを超えることがある |
低 | このモードでは、Google+ハングアウトでの動画の送受信に使用される帯域幅は「中」設定よりも抑制され、通常、それぞれの方向で約500Kbpsとなる |
最低 | このモードでは、映像の品質をさらに下げることにより、使用するアップストリームの帯域幅をさらに抑制する。通常、使用される帯域幅は、アップストリームで約150Kbps、ダウンストリームで約500Kbpsとなる |
音声のみ | このモードでは、動画を送受信したり、画面を共有したりすることはできない代わりに、できるだけ良い音質を提供することを重視している。通常、使用される帯域幅はそれぞれの方向で約35Kbps となる |
ハングアウトで使用する帯域設定とその意味 |
Google+ハングアウトと他のサービスとの違い
Google+ハングアウトと同じようなことができるサービスは多数存在する。例えば「LINE」や「Skype」がその代表だろう。ここでは、それらのサービスと Google+ハングアウトの違いを確認し、Google+ハングアウトのメリット/デメリットを見ておこう。
Google+ハングアウト | LINE | Skype | |
---|---|---|---|
ステータスの種類 | △ オンライン、オフラインなどシンプルな状態を表現可能 |
× 該当機能は存在しない |
◯ オンライン、オフラインだけでなく携帯電話への転送モードなどの状態も表現可能 |
連絡先管理 | ◯ 無償版 Google+ハングアウトでは手動管理となるが、Google Apps for Business では組織内のグローバルアドレス一覧をそのまま利用できる |
△ 個別の手動登録が必要 |
△ 個別の手動登録が必要 |
チャット | ◯ 文字や絵文字によるチャットが可能 |
◯ 文字や絵文字によるチャットが可能 |
◯ 文字や絵文字によるチャットが可能 |
グループチャット | ◯ 100人までグループチャットが可能 |
◯ 100人までグループチャットが可能 |
◯ 100人までグループチャットが可能 |
絵文字 | △ 標準で用意されている絵文字を利用可能 |
◯ さまざまなスタンプを追加で入手して利用可能 |
△ 標準で用意されている絵文字を利用可能 |
ファイル転送 | △ 直接的なファイル転送機能はなく、Googleドライブを利用してファイルを共有する |
△ 画像(3MBytes以内)、動画(300MBytes以内) のみ送信可能 |
◯ 資料、画像、動画などあらゆる種類、サイズのファイルを送受信可能 |
テレビ会議 | ◯ 無償版は10人まで 有償版は15人まで |
△ 1対1の通信のみ |
△ 最大10人まで参加できるが、最低1名はSkype Premiumアカウントを持っていることが必要 |
画面共有 | ◯ パソコンのデスクトップ全画面や個別のアプリケーション画面など、共有対象を選択して共有可能 |
× 該当機能は存在しない |
◯ パソコンのデスクトップ全画面や個別のアプリケーション画面など、共有対象を選択して共有可能 |
音声通話 | ◯ インターネット回線を使って電話のように音声で通話可能 |
◯ インターネット回線を使って電話のように音声で通話可能 |
◯ インターネット回線を使って電話のように音声で通話可能 |
外線電話 | ◯ 固定電話、携帯電話などへ低価格でかけることが可能 |
× 該当機能は存在しない |
◯ 固定電話、携帯電話などへ低価格でかけることが可能 |
複数端末での同時利用 | ◯ 端末間でのデータ同期もリアルタイムで行われる |
× 該当機能は存在しない |
△ 可能だが、端末間でのデータの同期はされない |
LINEとSkype、Google+ハングアウトの主な機能比較 |
上記の表を見ても分かる通り、どのサービスを利用してもそれなりのことができるようになっている。
現在は多くのユーザーがPCとスマートフォンを同時所有し、中にはタブレットも持っていることが考えられる。それらはシーンごとに使い分けられているが、例えば移動中にスマートフォンで途中までやり取りしたチャット内容を、オフィスに戻ってパソコンで継続するなどのシナリオはGoogle+ハングアウトならではの強みである。
本稿ではGoogle+ハングアウトとは何か、どのようなメリットをもたらすのかという点を機能を交えて解説した。世の中に4億2500万人以上も存在するGmailユーザーの数を考えると、同じアカウントで利用可能なGoogle+ハングアウトは世界最大のコミュニケーションプラットフォームであるとも考えられる。本稿の内容がGoogle+ハングアウトに興味を持った読者が情報収集、整理する上での一助となれば幸いである。
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