IE8との互換性を向上させるIE11のエンタープライズモード:Windows Insider用語解説(1/2 ページ)
Internet Explorer 11のエンタープライズモードを有効にすると、まだ企業内などで多く使われているIE8向けのWebサイトでも正しく表示できるようになる。
Internet Explorer 11(以下IE11)には、新しく「エンタープライズモード(Enterprise Mode)」という動作モードが追加されている。これは従来のInternet Explorer(IE8)との互換性を向上させる動作モードであり、主に企業内において、IE11本来のモードでは正しく動作しないような場合に利用するために用意されている。
エンタープライズモードとは
IE11のエンタープライズモードは、過去のIEのバージョンとの互換性を向上させるために用意されたモードである。IE8の環境をエミュレーションすることにより、特に企業内にまだ多く残っている古いIE向けのWebサイトを、IE11でも問題なくブラウズできるようにする機能だ。
IEにはいくつかバージョンがあるが、ベースとなるWindows OSとの組み合わせにより、利用できるIEのバージョンは異なっている。以下にその組み合わせを示す。
IEとWindows OSのバージョンの関係
Windows OSごとに利用できるIEのバージョンが異なるが、Windows XPがサポート対象外になった今となっては、IE7やIE8の挙動を再現できればよいだろう。IE7との互換性は「互換表示」モードで制御できる。IE11のエンタープライズモードではIE8互換にするかどうかを設定できる。なおIE11を利用するにはWindows 7かWindows 8.1、Windows Server 2008 R2、Windows Server 2012 R2が必要である。Windows 8かWindows Server 2012の場合はIE10しか利用できない。
今年サポートが終了したWindows XPではIE8まで利用できたため、特に企業内で利用されるようなシステムはIE8を前提にしていることが多かった。Windows XPのサポートはすでに終了したため、今後はIE8を前提とするシステムは減少するだろうが、需要はまだまだ残っている。そのような要求に応えるのがIE11のエンタープライズモードである。
IE8以降には「互換表示」という機能があり、必要ならIE7との互換性を実現できるようになっていた。IE11ではこの互換表示機能とは別に、新たにIE8との互換性を実現するための機能としてエンタープライズモードが追加実装されている(互換表示機能も利用できる)。
エンタープライズモードを有効にすると、IE11の挙動が次のように変わる。
- ユーザーエージェント文字列がIE8互換になる
- ActiveXコントロールなどの挙動がIE8互換になる
- IE8にはあったものの、IE9以降で廃止された機能が利用可能になる
- IE11のプリフェッチ/プリキャッシュが無効になる
IE8の機能や互換表示モードなどについては、以下の記事も参照していただきたい。
- 製品レビュー「Internet Explorer 8」
- 特集「Web制作者&開発者のためのIE8概説」
エンタープライズモードでWebサイトを表示する
エンタープライズモードを利用するか、それともIE11本来のモードで表示するかどうかは、Webサイトやその中のパスごとに設定できる。IE11でWebサイトを開いた場合、エンタープライズモードが有効になっているとアドレスバーのすぐ左側にエンタープライズモードを表すアイコンが表示される。
■エンタープライズモードが無効な場合の表示
■エンタープライズモードが有効な場合の表示
エンタープライズモードのアイコン
上側の画面はIE11では表示できない古い設計のイントラネットサイトの例。IE11の本来のモードでは表示が乱れている(ページのソースコードの一部だけが表示されている)。下の画面はエンタープライズモードが有効になっている場合の表示。意図した通りに表示されている。
(1)エンタープライズモードのアイコン(会社などの)ビルを表すアイコンが表示されている。
エンタープライズモードのアイコンをクリックすると、次のようにアイコンの意味が表示される。
エンタープライズモードのアイコンの説明
アイコンをクリックすると、このような説明がポップアップ表示される。互換表示の場合は、「破れたページのようなアイコン」が表示されるだけで、いまひとつその意味が分かりづらかった。そのためか、エンタープライズモードではこのようにアイコンの説明が表示されるようになっている。
●ユーザーエージェント文字列の違い
WebブラウザーはWebサーバーに接続する際、「ユーザーエージェント文字列」というデータをサーバー側に渡し、これによってWebブラウザーの種類やバージョンを識別できるようなっている。IE11でエンタープライズモードを利用するとこのユーザーエージェント文字列も次のように変わる。
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