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UnityでGameObjectのPrefab化、動的インスタンス生成&物理演算エンジンRigidbodyを使う基本ゲーム開発初心者のためのUnity入門(12)(6/6 ページ)

Unityで3Dゲームを作るまでのいろいろな処理を解説する連載。今回は、引数で指定したゲームオブジェクトのインスタンスを作成する「Instantiate」関数や、物理演算エンジンRigidbodyの基本的な使い方を解説する【Windows 10、Unity 5.4に対応。C#のコードを追加】。

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3DキャラクターがCubeを蹴散らすスクリプトを記述する

 次に、3DキャラクターがCubeを蹴散らすスクリプトを書いていく。Hierarchyから「UnityMan」を選択し、表示される「Add Component」から「New Script」を選択する。

 「Name」に「CharacterAction」と指定し、「Language」に「C Sharp」を指定して、「Create and Add」をクリックする。Inspector内に「Character Action Script」が追加されるので、「Script」の「CharacterAction」をダブルクリックして、Visual Studioを起動する。

 起動したVisual Studioのエディター内にリスト2のコードを記述する。

void OnControllerColliderHit(ControllerColliderHit hit)
{
    checkItem(hit.collider.gameObject);
}
 
void checkItem(GameObject obj)
{
    Animator anim = GetComponent<Animator>();
    if(obj.name=="Cube(Clone)")
    {
        anim.SetBool("is_kicking", true);
    }
    AnimatorStateInfo state = anim.GetCurrentAnimatorStateInfo(0);
    if(state.IsName("Locomotion.SpinKick"))
    {
        anim.SetBool("is_kicking", false);
        obj.GetComponent<Rigidbody>().AddForce(Vector3.forward * 100, ForceMode.Force);
    }
}
リスト2 3Dキャラクターが「Cube」と接触した際にキックの動作をする処理(CharacterAction.cs)

当たり判定をする「OnControllerColliderHit」関数

 1行目の「OnControllerColliderHit」はゲームオブジェクトで当たり判定をする関数だ。引数に「ControllerColliderHit hit」と指定すると、「hit」に接触情報が渡される。この関数の中で接触情報を引数として、6〜19行目の「checkItem」関数を実行する(3行目)。

無数に作成されたCubeを蹴ったときのスクリプト

 checkItem関数内では、まずGetComponent関数でAnimatorコンポーネントを取得し、変数「anim」で参照する(8行目)。

 「obj」の「name」が「Cube(Clone)」であった場合は(9行目)、animのSetBool関数で「is_kicking」の値を「true」にしている(11行目)。「スペース」キーでCubeを自動生成した場合、図26のようにHierarchy内に「Cube(Clone)」が無数に作成される。この作成される「Cube(Clone)」に接触しているのだ。


図26 無数に作成された「Cube(Clone)」

 11行目の「is_kicking」のAnimatorでの設定は、図24、図25で行っている。

初期化をしておく

 13行目では、ステートの情報を取得し、変数「state」で参照する。「Locomotion.SpinKick」ステートになれば(14行目)、「is_kicking」パラメーターは使用しないので、次の「SpinKick」のために元の状態に戻す(16行目)。「is_kicking」の値を「false」で初期化している。

物理的な力をオブジェクトに与える「GetComponent<Rigidbody>().AddForce」関数

 17行目のobj.GetComponent<Rigidbody>().AddForce関数で物理的な力をオブジェクトに与えて、指定した方向にオブジェクトを動かす。

前方のベクトルを表す「Vector3.forward」

 17行目の「Vector3.forward」は実際には(0,0,1)のベクトルになっていて、Z軸の値が「1」の前方を表している。力を考慮したい場合は、任意の数値を掛け算すると力が働いて加速する。今回は「100」を掛け算している。

継続的な力を追加する「ForceMode.Force」

 17行目の「ForceMode.Force」は、オブジェクトの質量を使用してRigidbodyに継続的な力を追加している。

 なお瞬時の衝撃力を追加するには、「ForceMode.Impulse」を使用する。しかし、これを使用すると、UnityManがCubeに触れた瞬間、キックする間もなく、Cubeが跳ね飛ばされて都合が悪いので、使い方には注意が必要だ。

JavaScriptのコード

 JavaScriptのコードも記載しておく、コードの解説はC#と同じだ。

function OnControllerColliderHit(hit:ControllerColliderHit)
  {   
    checkItem(hit.collider.gameObject); 
  } 
 
  function checkItem(obj:GameObject)
  {   
    var anim=GetComponent(Animator);
    if(obj.name=="Cube(Clone)")
    {
      anim.SetBool("is_kicking",true);
    }
    var state:AnimatorStateInfo=anim.GetCurrentAnimatorStateInfo(0);   
    if (state.IsName("Locomotion.Kick")){
      anim.SetBool("is_kicking",false);
      obj.GetComponent(Rigidbody).AddForce(Vector3.forward * 100, ForceMode.Force);
    }
  }
リスト2 3Dキャラクターが「Cube」と接触した際にキックの動作をする処理(CharacterActionJS.js)

Planeの床にpsdファイルのテクスチャを適用して保存・実行

 最後に、床が白のままでは、面白味がないので、Planeにテクスチャを適用しよう。Projectの「Locomotion Setup」→「Locomotion」→「Textures」にある、「tileConcreteFlooring var01 DFF.psd」をPlane上にドラッグ&ドロップする(図27)。


図27 「Plane」に「Texture」が適用された

 これで完成だ。Unityメニューの「File」→「Save Scene」で上書き保存しておこう。実行すると、動画5のような動作になるはずだ。

動画5 無数のCubeをUnityManが蹴散らす

次回は、無数のゲームオブジェクトを管理しやすいようにタグ付け

 今回はこれで終わりだ。今回無数のゲームオブジェクトを動的に作成したが、本格的なゲームを作成する場合は、最初から(静的に)複数の3Dキャラクターやゲームオブジェクトを用意することになるだろう。その場合は、無数のゲームオブジェクトに「タグ」付けすると管理しやすくなる。次回は、その方法を紹介するので、お楽しみに。

参考文献

■更新履歴

【2017/2/6】Windows 10、Unity 5.4に対応しました。C#のスクリプトを追加しました。


著者プロフィール

薬師寺 国安(やくしじ くにやす) / 薬師寺国安事務所

薬師寺国安事務所代表。Visual Basicプログラミングと、マイクロソフト系の技術をテーマとした、書籍や記事の執筆を行う。

1950年生まれ。事務系のサラリーマンだった40歳から趣味でプログラミングを始め、1996年より独学でActiveXに取り組む。

1997年に薬師寺聖とコラボレーション・ユニット「PROJECT KySS」を結成。

2003年よりフリーになり、PROJECT KySSの活動に本格的に参加。.NETやRIAに関する書籍や記事を多数執筆する傍ら、受託案件のプログラミングも手掛ける。

Windows Phoneアプリ開発を経て、現在はWindowsストアアプリを多数公開中。

Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。

Microsoft MVP for Development Platforms - Windows Phone Development(Oct 2012-Sep 2013)。

Microsoft MVP for Development Platforms - Client Development(Oct 2013-Sep 2014)。

Microsoft MVP for Development Platforms-Windows Platform Development (Oct 2014-Sep 2015)。


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