無駄無駄無駄! 効率化するために知っておきたい会議の3つの目的と4つの進め方:経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」(13)(2/3 ページ)
エンジニアがエンジニアとして生き残るためには、ビジネス的な観点が必要だ。ビジネスのプロである経済評論家の山崎元さんがエンジニアに必要な考え方をアドバイスする本連載。今回は会議の「無駄」を省く必殺技を伝授する。
会議の目的は三通り
それでも会議は行われる。
外資系の運用会社に転職して本社オフィスに出張した際に、上司の上司に当たる役員と筆者の職歴の話になった。役員氏は筆者が過去に辞めたある運用会社について「どうして、あの会社を辞めたのか」と質問した。
「私は会議が嫌いだ。あの会社はつまらない会議が多くて苦痛だったから辞めた」と答えると、役員は「ミスター ヤマザキ、それは残念だったねえ。われわれは会議が大好きなんだよ」と言って大笑いした。そして、実際に会議の多い会社だった。
運用会社のように形の見えにくいものを扱う場合、たびたび会議を開いていないと、仕事をしているという実感を得にくいという事情もある。今にして思うと、筆者は職種を間違えていたのかもしれない。
読者の会社ではどうだろうか。やはり会議は行われているだろうか? たぶん、行われているに違いない。
会議には複数の目的がある。まず、(1)情報の伝達・周知と、(2)物事の決定だ。加えて、結束の強化や権力関係の可視化といった(3)組織運営上の行事、の役割もある。「情報周知」「意思決定」「組織行事」である。
多くの会議の生産性が低いのは、これらが明確でなくてしばしば混同されているからだ。先にコストを計算した運用会社の会議は、物事を決定する「意思決定」の会議であるかのような体で集まっていながら、実質的には組織内の人の序列を確認する「組織行事」にすぎなかった。
「情報周知」は会議で行うべきか?
会議の目的が情報の伝達と周知にある場合、そもそも会議を開いた方がいいのか、書類やメールで知らせる方がいいのかを考える必要がある。
メールで必要事項を知らせて、必ずコメント付きで返信させるようにすると、会議を開くよりも確実に情報が伝わることが、しばしばある。
ただしこの場合も、必要のない宛先にまでメールを送信しないように注意すべきだ。近年は「cc」を使って誰彼構わずメールを送りつけて、情報を「共有」する傾向があるが、必要のないメールを読む時間と手間の無駄に対する配慮が必要だ。「共有」という名の手間の「強要」にならないように気を付けなければならない。
「意思決定」と「組織行事」の最適人数は?
会議の目的が物事の決定にある場合、出席者は決定に関わる者だけに絞り込むべきだ。決定に関係ない者の仕事まで会議で止める必要はない。
組織を組織らしく運営するための行事として必要な会議も確かにある。この場合、「私は除外された」と感じるメンバーがいない方がいいので、出席者は多くなる。ただし、時間を短縮することが重要だ。
実質は「組織行事」なので出席メンバーが増え、建前は「意思決定」なので時間がかかり、「情報周知」の名目でさらにメンバーが増え、人数と時間の両方が大きくなり、会議のコストが大きくなる。これが、会議の生産性を下げる原因だ。
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