約6割が根本原因特定に苦慮 AI時代も「Linux」の理解が問われる理由:「重要と分かっていても現場で学べない」 LPI-Japan見解
LPI-Japanは「AI(人工知能)時代におけるインフラエンジニアのスキル重要度に関する実態調査」の結果を発表した。
特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(以下、LPI-Japan)は2026年3月12日、「AI(人工知能)時代におけるインフラエンジニアのスキル重要度に関する実態調査」の結果を発表した。同調査は、2026年1月8日にサーバ構築・運用、ネットワーク管理、クラウド環境構築・運用などに携わるインフラエンジニア109人を対象に実施した。
「生成AI」の普及で約8割が業務と求められるスキルの変化を実感
同調査によると、生成AIの普及により、業務内容や求められるスキルに変化を感じているかどうかを尋ねたところ、「非常に感じる」が35.8%、「やや感じる」が42.2%と、約8割が変化を実感していると回答した。
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重要度が増した技術領域は「ネットワーク」と「セキュリティ」
生成AIやクラウドサービスの普及に伴い、重要度が増したと感じる技術領域は次の通り(複数回答)。
- ネットワークの基礎知識(TCP/IP、DNS〈ドメインネームシステム〉、ルーティングなど):54.1%
- セキュリティ対策・脆弱(ぜいじゃく)性管理:49.5%
- コンテナ技術(「Docker」「Kubernetes」など):35.8%
- 障害対応・トラブルシューティング能力:30.3%
- 生成AIを活用した業務効率化スキル:29.4%
- Linux/OSの深い理解:27.5%
- IaC(Infrastructure as Code)(「Terraform」や「Ansible」など):26.6%
76.2%が「基盤技術に触れる機会が減った」と実感
クラウドサービスの利用拡大により、OSや基盤技術に直接触れる機会が減ったと感じるかどうかを聞いたところ、「非常に感じる」が31.2%、「やや感じる」が45.0%と、76.2%が機会の減少を実感していると回答した。
こうした中、OSおよび基盤技術の理解不足による業務に支障が出た経験について尋ねると、「ある」と答えたエンジニアが69.7%に上った。
業務に支障を与えた理由(複数回答、回答者数76人)は次の通り。
- パフォーマンス問題の根本原因を把握できなかった:60.5%
- セキュリティインシデント対応で適切な判断ができなかった:44.7%
- クラウドサービスの障害時に代替対応ができなかった:44.7%
- サーバ障害の原因特定に時間がかかった:42.1%
- ログ解析やデバッグ作業が進まなかった:36.8%
AI時代でも「基盤理解」は重要
AI時代に市場価値を高めるため、最も重要だと思う技術領域を問う質問に対して(上位3つまで、複数回答)は、次のような回答が上位となった。
- セキュリティ対策・脆弱性管理:52.3%
- ネットワークの基礎知識:45.0%
- Linux/OSの深い理解:29.4%
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85.3%が「Linux/OSの深い理解はAI時代も市場価値を高める」と回答
「Linux/OSの深い理解がAI時代においても市場価値を高めるかどうか」という問いに対しては、「非常にそう思う」33.9%、「ややそう思う」51.4%と、85.3%が肯定的な回答だった。
肯定的な理由の内訳は次の通り(複数回答、n=93)。
- 障害対応やトラブルシューティングに不可欠だから:57.0%
- 表層的な操作だけではシステム全体を理解できないから:51.6%
- セキュリティ対策には低レイヤーの知識が必要だから:48.4%
- アーキテクチャ設計には基盤の理解が前提となるから:38.7%
- AIやクラウドの基盤はLinuxで動いているから:37.6%
「重要と分かっているが学べない」ジレンマに直面
LPI Japanは「基盤技術は重要だと認識されている一方で、実務では触れる機会が減少し、理解不足による問題も生じている」との見解を示した上で、「このギャップを埋めるには、組織も個人も、意識的に学習機会を作ることが重要だ」と結論付けている。
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