テレビ×IoT “ABCハッカソン”は、モノづくり界の“M-1グランプリ”だ:プログラミング異種格闘インタビュー(2)(3/3 ページ)
異業種、異職種ながら、ITやプログラミングで世の中を良くしていこうとチャレンジしている人たちへのインタビューシリーズ。第二ラウンドのテーマは「テレビ×ハッカソン」だ。
心掛けたのは「参加者第一」の目線
ハブチン ABCハッカソンを企画する上で心掛けたことはありますか?
白井 参加者を第一に考えることですね。こちらの都合だけでハッカソンを運営してしまうと、時に参加者の意向と合わないことが出てしまうなと思いました。
ハブチン 確かに、いわゆるコンテスト型のハッカソンの多くは、主催者やスポンサーの意図に合わせたプロダクトを開発することが多いです。そこでは参加者が作りたい“モノ”よりも、意向に合わせたプロダクトが評価されることがあります。
白井 そんなの参加者はオモシロクないじゃないですか。だからこちらの都合は極力考えなくても済むように、テーマはテレビそのものではなく「イベント」にして、さらに「音楽」「ファッション」「スポーツ」「フリー」の4ジャンルに分けて、参加者が好きに選べるようにしました。
ハブチン なるほど。そういう意図があったんですね。
安井 今回の番組の制作で重要なのは「リアリティ」でした。ある種予定調和というか、結果が見えていた方がテレビ番組としては作りやすいのですが、それだとどこかオモシロクない。参加者がとことん真剣に“モノ”作りに挑み、われわれはそれを淡々と追い続ける。最後の最後まで、結果がどうなるかは分からない。そこに「リアリティ」があって「オモシロ味」が出てくると思ったんです。
でもディレクターとカメラマンは大変でしたよ、ずっと撮り続けないと何が起こるか分からないわけですから。気が付いたらテープ200本回していましたからね。
ハブチン えっと……テープ1本1時間だから……200時間! 丸8日以上!!
安井 正直、イベントが終わってからも、いまだに僕らはハッカソンし続けています(笑)。
これからのテレビ局の役割とは
ハブチン ABCハッカソンを開催して、ご自身に変化はありましたか?
白井 放送局の役割をあらためて認識できました。今の放送局は、すでに有名な人や組織を取り上げて世の中に発信しています。それって安井の話ではないですけれど予定調和なんですよね。
でもこれからは、まだ世の中には知られていないけれど、オモシロイ“モノ”を作っているメイカーたちを発掘する。一人ではできない部分は、ABCハッカソンを通じて人と人をつなぐ。一過性のイベントではなく、ハッカソン終了後に商品化まで持っていけるようにしたいんです。
例えば今回のテーマはイベントでしたので、ABCテレビが関わっている数々のイベントの主催者と商品化の実現に向けた交渉ができると思います。現在もABCハッカソンで生まれたチームと一緒に商品化に向けて動いています。ABCハッカソンを、メイカーを輩出するプラットフォームにしていきたいなと思います。
安井 製造業で成り立ってきた関西の経済ですが、必ずしも好調とは言えない状況が続いています。ABCハッカソンのような番組を作ることで、“モノづくり”で頑張っている人たちに光を当てて、協力してくれる人たちを集めて、将来的に関西発の新たな“モノづくり”を世界に発信できれば、と考えています。それが関西のテレビ局の役割でもあると個人的には思います。
著者プロフィール ハブチン(羽渕彰博)
1986年、大阪府生まれ。2008年にパソナキャリアカンパニー入社。
転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事。現在はパソナテックで、新規事業開発や人材教育を目的としたハッカソンのファシリテーター(司会)として活動している。
過去、「朝日放送主催 ABC Hackathon」「Google主催 Google Hackathon」「Sharp主催ウェアラブルアイデアソン」などに携わっており、マイクパフォーマンスで盛り上げる進行スタイルから「ハッカソン芸人」と呼ばれている。
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