データベースの運用を意識したプライベートクラウド構築のアプローチはCAPEXだけでなくOPEXも削減する:データベース運用管理をクラウド化する方法(1)(1/4 ページ)
「社内に散在するデータベースを整理/統合し、運用管理が容易でスピーディに使える統合データベース基盤を作りたい」という企業に適したRDBMSが「Oracle Database 12c」だ。本企画では3回にわたり、同RDBMSを用いたプライベートクラウド構築のポイント、関連ツールを用いた実践ノウハウを紹介していく。[プライベートクラウド/データベース統合][運用管理効率化][パフォーマンス改善][Oracle Database 12c][Oracle Enterprise Manager]
プライベートクラウド導入を成功させるためには、そのアプローチが重要
今日、サイロ化が進んだ自社のデータベース環境を見直し、導入コストや運用コストの削減、ガバナンス強化、タイムツーマーケットの迅速化、さらには将来に向けた拡張性の向上を図りたいと考える企業の間で、データベースを集約/統合したプライベートクラウド環境への移行を進める動きが活発化している。
だが現実には、「ハードウエアの導入コストは削減できたが、運用コストについては期待した削減効果が得られなかった」「懸案だったシステムのサイロ化を解消できなかった」という企業が少なくない。どうやら、プライベートクラウドへの移行メリットを確実に得るためには、実現方法を十分に検討する必要があるようだ。
オラクルは、「Oracle Database」で構築されたデータベース環境のプライベートクラウド化を効果的に推進するためのアプローチを確立し、具体的なソリューションとして提供している。このアプローチに従えば、企業は既存のデータベース環境をアップグレードしていく中で、プライベートクラウドへの移行を速やかに行い、そのメリットを最大化することができるのだ。本企画では3回にわたり、そのアプローチの概要と利点、そして具体的な実践方法を紹介していく。初回となる今回は、プライベートクラウド環境の構築に利用されることが多いサーバー仮想化技術の問題点と、それを解消したオラクルのプライベートクラウド構築アプローチを紹介する。
サーバー仮想化ではOPEXは減らない。PaaSのレイヤーにまで標準化/仮想化の範囲を広げるべし
昨今、企業ITに掛かる「CAPEX(Capital Expenditure:投資コスト)」と「OPEX(Operating Expense:運用コスト)」の削減を目的に、プライベートクラウドを構築してITインフラを統合する動きが広がっている。その実現手段として検討されることが多いのがサーバー仮想化技術だ。
サーバー仮想化技術のメリットの一つは、ハードウエアとOS/ミドルウエアのレイヤーを切り離すことにより、1台の物理サーバー上に複数のシステムを同居させられることにある。これを用いて社内に散在するサーバーを集約することで、ハードウエアの台数減少によるCAPEXの削減と、サーバーの物理的な集約によるOPEX削減を同時に達成できると考える企業が多いが、はたしてそれは事実なのだろうか?
実は、サーバー仮想化技術は大きな問題を内包している。それは、CAPEX削減の必須条件である「IT環境の複雑性」を軽減できないということだ。
確かに、サーバー仮想化技術を使うことで、多数のシステムを少数の物理サーバーやクラウド上の仮想化環境に集約することが可能となるため、ハードウエアコストの削減によるCAPEX削減の効果は期待できる。
しかし、個々のシステムのOS(ゲストOS)から上のミドルウエアやアプリケーションのレイヤーについては物理サーバー上で運用するのと同じ構成のままであり、それらは引き続き個別に運用管理しなければならない。各システムで使われているOSやミドルウエアのバージョンは標準化されておらずバラバラのままであり、例えば、それらに対してパッチを適用する際には、システム(仮想サーバー)ごとに作業する必要がある。つまり、個々のシステムについてはサイロの状態が解消されておらず、多数の物理サーバーを運用している状態と変わらないのだ。
企業のIT支出の大半を占めるのは運用コスト、つまりOPEXである。それが減らないのだとしたら、サーバー仮想化によるプライベートクラウドでIT支出を大きく削減するのは難しい。それでは、プライベートクラウドによりOPEXを削減するにはどうすればよいのか?
この問いに対するオラクルの答えは、「標準化/仮想化のレベルを引き上げること」だ。具体的には、サーバー仮想化が対象にしているインフラ(IaaS:Infrastructure as a Service)のレイヤーだけでなく、OS/ミドルウエア(PaaS:Platform as a Service)のレイヤーにまで標準化/仮想化の範囲を広げるのである。これにより、OSやミドルウエアまで標準インフラとして提供できるようになれば、運用作業の標準化や自動化が容易となり、アプリケーション開発者は本来の役割に注力することが可能になる。ITガバナンス(統制)の強化やリソースのさらなる有効活用、IT活用における俊敏性(アジリティ)向上を果たせることも大きなメリットだ。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年10月28日