管理者が知っておくべきOffice 2016のインストールと更新の変更点:山市良のうぃんどうず日記(48)(1/3 ページ)
2015年9月23日、Microsoft Officeの最新バージョン「Office 2016」がリリースされました。Office 2013以降で採用された新しい配布方法をOffice 2016で初めて体験した人の中には、問答無用でインストールが進んでしまうことや更新方法に戸惑うかもしれません。
クイック実行(C2R)のOffice 2016は既定で全部入り!
Windows向けのMicrosoft Officeの最新バージョンとなる「Office 2016」が正式にリリースされました。Office 365 Soloサブスクリプションでは、2015年9月23日(日本時間)から新しいOffice 2016の提供が開始されているようです。Office 365サブスクリプションをお持ちのユーザーは、追加購入することなく、常に最新のOffice(Office 2016)を利用することができます。Mac OS版の「Office 2016 for Mac」は2015年7月にすでにリリースされていますが、今回はWindows版のOffice 2016のインストールと更新についてお話しします。
Office 365 ProPlusやOffice 365 Businessを含むOffice 365サブスクリプションについては、順次、最新バージョンが提供されることになるでしょう。筆者のOffice 365 Enterprise E3サブスクリプションでは、2015年9月25日現在、まだOffice 2013ベースのOffice 365 ProPlusが提供されています(画面1)。
画面1 9月25日現在、Office 365 Enterprise E3サブスクリプションのポータルではOffice 2013ベースのOffice 365 ProPlusを提供中(※新しいバージョンには「InfoPath」は含まれない)
OfficeポータルにおけるOffice 2016バージョンのOffice 365 ProPlusの提供、およびOffice 2013からOffice 2016への自動アップグレードは2016年2月から開始される予定です。それまでは、「Office Deployment Tool」を使用した新規インストールとアップグレードが可能です。詳しくは、以下のドキュメントで説明されています。
- Prepare to update Office 365 ProPlus to the Office 2016 version[英語](Microsoft TechNet)
なお、Office 2013バージョンのOffice 365 ProPlusへの更新プログラムの提供は、2016年9月に終了する予定です。それまでに、Office 2016バージョンのOffice 365 ProPlusにアップグレードする必要があります。
Office 365サブスクリプションのプランによって利用できるアプリに違いはありますが、Office 365ポータルからの導入では、ライセンスに含まれる全てのアプリが問答無用でインストールされます。インストール対象アプリを選択するようなカスタマイズオプションはありません。
この仕様は、Office 2013から標準となった「クイック実行(Click-To-Run:C2R)」形式の配布方法に由来します。Officeの配布方法は、Office 2010以前の「Windowsインストーラー(MSI)」形式から、Office 2013以降はC2R形式が標準となり、インストールと更新の方法が大きく変わりました。
Office 2013からのC2R(C2R 2.0)は、マイクロソフトのアプリケーション仮想化テクノロジ「Microsoft Application Virtualization(App-V)」をベースに開発されたもので、Officeのインストールイメージをパッケージとしてストリーミング配信し、配布後、すぐにアプリを利用可能にします。
インストールイメージはアプリの起動に関係する部分から優先的に配信されるため、インターネット接続が有効であれば、ダウンロードが100%完了していなくてもアプリを実行できます。ダウンロードが100%完了すれば、インターネット接続がオフラインになってもローカルインストールと全く同じようにアプリを利用できます。
ユーザーにしてみれば、アプリが利用できるのであれば、どちらの配布方法でインストールされたのかなど気にならないかもしれません。しかし、これは管理者にとっては大きな問題です。その一つが、インストールをカスタマイズできないことでしょう。
MSDN(Microsoft Developer Network)サブスクリプションおよびボリュームライセンスのOffice 2013(Office Professional Plus 2013など)はMSI形式で提供され、インストールのカスタマイズが可能でした。新しいOffice Professional Plus 2016は、MSDNサブスクリプション版ではC2R形式での提供になります(ISOイメージにはC2Rのインストールソースが含まれます)(画面2)。2015年10月1日に提供が開始されるボリュームライセンス版では、MSI版の「Officeカスタマイズツール(OCT)」がすでに提供されていることから考えるとMSI版となるようです。
MSDNサブスクリプションのMSI版Office Professional Plus 2013を利用している人が、Office Professional Plus 2016にアップグレードすると、Office 2013とOffice 2016の混在環境になってしまいます。MSI版と混在できることもC2Rの特徴の一つですが、これはOffice 2010との混在を想定したものでOffice 2013との混在はお勧めしません。MSI版のOffice 2013は、事前(または事後)にアンインストールしておくのが無難でしょう。
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