「忍」と書いてシステムエンジニアと読む〜仕事の「りある」:えんじにあ解体新書(1)(4/4 ページ)
「システムエンジニアってどんな仕事をするの?」「IT業界は3Kって本当?」――現役SEがエンジニア100人に聞いたアンケートを基に、エンジニアの「りある」を紹介します。
SEの仕事を漢字一文字で表すと?
では、SEの皆さんは、自分たちの仕事をどう思っているのでしょうか。先と同じく人気ブログランキングを活用して、アンケートを採りました。フリーアンサーではなく、あらかじめ「夢」「技」「楽」「学」「忍」「苦」「金」の7つの選択肢と、「その他」のフリーアンサーの合計8つの選択肢を用意しました。
SEの仕事を漢字一文字で言うと?
漠然としていますが、インスピレーションでお願いします。
【アンケート結果】 回答者 107人(2015年9月時点)
1 忍 34件 (31.8%)
2 技 29件 (27.1%)
3 学 15件 (14.0%)
4 苦 10件 (9.3%)
5 夢 4件 (3.7%)
6 楽 3件 (2.8%)
7 金 2件 (1.9%)
8 その他 10件(9.3%)
1位は「忍」でした。私はSEですので、夢がない仕事のように思えて少し残念です。また、4位に「苦」があり、SEの仕事が「3K(きつい、帰れない、給料が安い)」と言われる実態が素直に表されていると感じます。
しかし仕事というものは、そもそも楽なものではありません。例えば、医者や漫画家のハードワークぶりは有名です。どこの会社にもいる営業担当者も、数字に追われ、お客さまに頭を下げる毎日です。ですから、疲れることも、怒られることも、納得いかないこともあります。お金を頂いているのですから「耐え忍ぶ」ことも必要でしょう(SEの仕事は果たしてきついのか、いわゆる3Kなのかについては、今後の連載で詳しく紹介します)。
2位は「技」です。技術者にふさわしい言葉が選ばれました。「IT技術はもちろん、人を動かす技術、先を見る技術、仕事を楽しむ技術が必要なため(40歳代/女性)」という理由を書いてくれた人がいます。
この言葉は、SEに大事な「技術」の奥深さを物語ってくれています。コンピューターに対する技術力だけでは仕事はできません。SEの仕事は打ち合わせや調整業務が多いことから、コミュニケーション技術や調整技術も求められます。流れ作業の中で、粛々とこなす仕事ではありませんので、頭を使う難しい仕事ともいえます。しかし、難しい仕事だからこそ、やりがいがあって魅力的な仕事であるともいえるでしょう。
3位は「学」で、私には少し意外でした。ただ「常に学ぶ」高い意識を持った人が多いということで、同じ業界にいるものとして、胸の高鳴りを感じました。さて、「学」が選ばれたのには理由があります。SEは、日々学ぶことが大事です。頭を使う高度な仕事ですし、進化の速い業界ですから、勉強しないとどんどん取り残されてしまうからです。
その他「夢」や「楽」に数票入っています。「汚」も1票ありました。SEの仕事は、表舞台の仕事ではなく裏方の泥臭い仕事です。残念ながら、そういう一面があることも、知っておいてください。
次回は「どのような人がSEに向いているのか」について書く予定です。ご期待ください!
左門 至峰(さもん しほう)
現役のSE(システムエンジニア)兼ITライター。
技術士(情報工学)やネットワークスペシャリストなどのIT資格を多数保有。著書に「どこかで見た・聞いた・体験した!SEあるある四方山話〜SE100人に聞いた今どきのSEの生態」(技術評論社)、ネットワークスペシャリスト試験対策の「ネスペ」シリーズ(技術評論社)、情報セキュリティスペシャリスト試験対策の「セスぺ」シリーズ(日経BP社)など多数。
Twitter:@3mon44
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