日本の技術者が“いま”実現したいこと、業務時間外での取り組み、次世代技術のビジネス活用まとめ:ITエンジニアの未来ラボ(6)(3/4 ページ)
“いま”実現/チャレンジしたいこと、業務時間外に技術に触れる時間、場所、金額、方法、興味がある次世代技術、次世代技術をどの業種に、どう生かすかなど、400人に聞いたアンケート結果をリポートする。
次世代技術を生かせる業種は、一次産業、医療・福祉、教育、観光
「いま注目の分野について、あなたが今後取り組みたいものがあれば、それぞれいくつでもお選びください」という質問に対しては、「IoT」「ビッグデータのデータ分析」「クラウド開発」「機械学習/ディープラーニング」「Raspberry Pi/Arduino」「ウェアラブルデバイス」「人工知能」とこれから流行しそうなもの、現在でも活用可能なものが挙げられた。
では、今後取り組みたい業種は何なのだろうか。「次世代技術によってITが新たに活用される業種として考えられるものを全てお選びください」という質問に対しては、「農業」「医療・福祉」「教育・学習支援」「観光」「漁業」「製造業」「林業」「自治体・公共」などが上位に挙がり、IoTの活用領域として想定される。
アイデアが満載! 次世代技術、俺ならビジネスでこう使う
「先ほど選んだ業種において次世代技術はどのように活用されると思いますか。ご自由にお答えください」という質問に対しても約370件と多くのフリー回答が寄せられた。以下、いくつか引用しよう。
輸配送の自動化 医療のロボット化や遠隔地から操作。
建設業と電気・ガスは共に共存共栄しつつ情報の共通化より高度な活用法を(無駄に)提案してくると思われる。
地域住民の連携強化。
- 漁業において、魚の群れの探知などでビッグデータ解析が活用される
- 教育において、子供が一人で学習できる環境の構築
- 自治体において、新たなサービスの構築
観光:国内外からの観光客の利便性、体験向上。
農業においては、生産工程の管理システムに今より活用されていくと思います。
農林水産系のものは環境や漁場などを次世代技術を生かして使えるのではないかと思う。
福祉などでは少子高齢化の進む今の日本にとって次世代技術が一役買ってくれると考える。
医療現場での電子カルテの普及、ICタグを使った技術の進歩など。
IoTやその先のセンサーによる現実世界の把握、さらに得られたデータのディープラーニングなどによる学習を組み合わせることで、現状人手がいる業務の置き換えが結構な業務に置いて可能になるのではないかと思われます。
少子高齢化若者離れ問題を抱え衰退しているところをIT化できれば超効率化や3K5Kのイメージも払拭(ふっしょく)でき地方創生にもつながるかもしれない。例えば、夜間に農作物を荒らす動物をドローンの自動制御で追い払う事も可能になるかもしれないし、その動作記録や動物の動きや気象データを分析すれば未然防止策も可能になるかもしれない。さらにそのデータを全国から集めビッグデータで提供することで全体の生産性も上がるだろう。
「センサーのようなものは、より正確・精密でリアルタイムに」「情報の常時発信(マイクロチップでの発信やeラーニング動画コンテンツ、ビデオカンファレンスのようなもの)は、昼夜場所を問わず」が当たり前になり、それを使いこなすデジタルネイティブ世代は国や言語を超える。
紙の上では表現できない、しにくいものがAR/VRも用いて表現できるようになれば、飲食店のメニューなどをより分かりやすく見せることができるようになると思います。
天候統計などからの自動農薬頒布システムなど。
センサー、IoT技術を活用した無人製造・農畜産業。AIやビッグデータ、デジタルサイネージを活用したデザインプロダクト。マーケティング、販売業。
第一次産業において自動情報収集解析による出来高予測。機械学習による、栽培・飼育対象との疑似対話。
医療分野での立体視での作業者の視覚的なサポートが向上。介護分野でのロボットによる支援。3Dプリンターなどで義手義足などの種類が増えて選べるようになる。
教育はサイバー攻撃から身を守るための技術。デザインは、時間、コストが掛かる部分(シミュレーション、テスト)の改善。
農業は、もっとIT化の余地があるが、コストパフォーマンスの問題がある。人間の判断による作業や人間による作業の自動化を進められるが、コストに見合うのかという課題があると考える。(実家は零細農業)医療分野においては、処方箋薬局の待ち時間を短縮させられるはず。人間の判断よりもコンピューターの方が(ソフトに誤りがなければ)正確で早い。
黒板の廃止。ノートの廃止。実験がシミュレーション。
一例:農家の場合、クラウド技術を使い現場には最小限の人数を配置し外部から品質を管理。全てを決められたスケジュール通りに実行し、肉体労働と言われている職業の効率化を図る。
勘ではなく、統計による農業生産高の増大や、精度の高い医療診断。デザインへのVRの普及。
経験則だけに頼っている情報収集/情報分析を、ITを使って管理/分析/蓄積/エラーの低減を図る。これと経験則が組み合わさることで、農業の職人自身によるパラダイムシフトが起こるはず。
顧客情報の統計や傾向分析(ビッグデータの活用)。
林業、漁業などは管理や先行投資(植林、養殖)による収穫、環境変化への予測など。
倉庫自動化の範囲拡大や家庭内IoTなど。
人工知能技術とクラウド・仮想化技術、エア(プラズマ)スクリーン技術、ビッグデータ技術、さらに仮想現実、脳波や神経を実世界へ影響させる技術が密に結合・連携し、技術・社会インフラもこれらを支えられるレベルまで成熟する。これにより医療など、各種サービスはもっと身近になり生活形態・様式にまで影響を与え、経済的需要は究極なまで増大する。具体的に考えられるのは、例えば下記。
- 頭で考えたことを目の前の何もない空間へクラウド経由で映し出し、そこで作り出された仮想世界において実世界へ作用させる。
- 脳波デバイスにより宇宙開発も進む。地上で脳波によって作り出された仮想世界に対して作用することで、ステーション内の実世界へ実際に作用させることができる。
より深刻な少子高齢化に伴い食物の通販システムがより充実し、安全不安に対する信頼性向上を図るため、産地・生産者等をより事細かに統一管理されたクラウドベースのデータベースシステムサービスが必要とされる。
マイナンバーと関連付けて、窓口まで行かなくても各種手続きが簡単に行えるような仕組みができるのではないか。所在不明の児童や老人などが発生しないような管理(?)の仕組みが構築できるのではないか。
日本語以外の言語の学習用 外国語の自動翻訳による会話 天候に左右されない農産品の栽培と収穫
過去の類似事件の判例を探索して弁護士をサポートするAIや、介護福祉におけるIoT活用など。
必要とされる人材はトップ層だけになり、中間層以下の知識のない人は、機械学習に取って替わられると思う。むしろ機械学習されたシステムの方が、クライアントに精緻に対応できると思う。例えば教員は1クラス単位での学習をしているが、生徒一人一人に合わせたオーダーメイドのシラバスにのっとって学習するようになるのではないか。同様に、医療も資産形成も一人一人に対応したシステムでなければ、価値がなくなるのではないか。
ドローンは農業で農薬散布、運輸業でドローン輸送などで活用されていくのではないでしょうか。特に農業は高齢化に伴い、農水省がドローン活用の基準を作成するなどして本格的に対策を行い始めています。運輸業は自動運転技術で今後変わっていくと思います。個人的にはZMPとDeNAのロボットタクシー事業は楽しみです。
介護事業におけるロボット、補助ロボットの活用。
人によって行われる思考・意思決定をITが取って変わる。人の行動、動作のビッグデータが人口知能によって標準化、集約され、何かを決定するようになる。人間個人の思考による判断・決断の必要性はなくなり、人間の能力そのものが不要になる。
今後特に注目すべき技術はAIだと考えています。AIは人間では達成が難しい、もしくは非常に時間の要する開発を成功させる可能性があると思います。また、教育の分野では、現在のクラス単位ではなく各人に見合った効率的な教育をAIが判断し行うことができると思われる。
"使うこと"を意識しない分野。 2020年までは観光分野。
ドローンや他足歩行機械との連携を行うことで初めてIT化が生きてくるような農業・林業の半自動化。国民背番号との各種手続きなどの自動化が進んでいくのではないかと思います。
葬儀系:仮想の火葬。
観光:IoTを利用し、観光地の情報をより詳しく、リアルタイムに取得できるように。
不動産業界においてはさまざまな物件のデータから適正と思われる価格の算出。
バーチャルのお墓、お坊さん、教主、SNSによる勧誘・布教など。
自動健康診断システム、自動近隣情報システム、自動環境変化確認システムなど。
ビッグデータによる判例の分析など。
製造業でウェアラブルデバイスのGPSを使用した動線の最適化。
5年以内ではセンサー化とIoTが進み、さまざまな業種の見える化が進む。物の操作や制御は法律やセキュリティに関する問題や技術的な問題があり、実用レベルには達しない。さらに10年先では法整備や技術的課題も解決し、あらゆる場所から物の操作や制御も可能となる。一方で人工知能技術が発展し、人間が介さずとも業務(例えば農業、交通など)が進むようになる。
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