富士通とヴイエムウェアが協業を拡大:ハイブリッドクラウド運用へのニーズに対応
ヴイエムウェアが富士通との協業を拡大。ヴイエムウェア製品は富士通のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」向けに最適化され、VMware vSphere Integrated Containersを使ったK5のPaaS機能拡張も行われる。
ヴイエムウェアは2015年11月10日、クラウドの利用促進に向けて富士通と新たな協業を進めると発表した。両社は2006年からパートナシップを結んでいる。企業の間ではハイブリッドクラウドの利用が広がっており、今回の協業拡大は、このようなユーザー企業のニーズに応えるもの。
具体的にはOpenStackやCloud Foundryをベースにした富士通のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」でのヴイエムウェアとの協業を強化する。協業の主な内容は以下の通り。
(1)ヴイエムウェアの技術をFUJITSU Cloud Service K5に向けて最適化し、FUJITSU Cloud Service K5と、ユーザー企業のオンプレミス環境で稼働する基幹システムをシームレスに利用できるようにする。この取り組みを通じて、両社は企業向けに最適化したハイブリッドクラウドを提供する。
(2)「VMware vSphere Integrated Containers」のテクノロジプレビュー版を使って、FUJITSU Cloud Service K5のPaaS(Platform as a Service)機能を拡張し、クラウド型アプリケーションの開発、展開に向けて協力する。
(3)「VMware Horizon」とヴイエムウェアのネットワーク仮想化技術「VMware NSX」、富士通の手のひら静脈認証技術を活用して、社内外を問わず発生するセキュリティのリスクや仮想デスクトップ上でのなりすましを抑制するセキュリティ技術を提供する。富士通は、この技術を富士通と国内グループ会社の従業員8万人に導入し、「FUJITSU Managed Infrastructure Service仮想デスクトップサービスV-DaaS」とスマートデバイスの管理サービス「FENICS II Mobile Management AirWatch by VMware」のサービスレベル向上を図る。
さらに今回の取り組みの一環として、富士通とヴイエムウェアは、富士通の「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」の中核となるクラウドサービスFUJITSU Cloud Service K5と、VMware Horizonを利用したV-DaaSの世界展開に向け、販売・マーケティング活動を展開するプロジェクトチームを発足させる。両社は、ASEAN諸国を皮切りにV-DaaSを世界市場に展開するとしている。
またヴイエムウェアは、「VMware Briefing Center」を、東京都港区にある本社オフィスに開設することも発表した。同センターは、同社の統合ハイブリッドクラウドプラットフォームと、その導入事例や効果を紹介するとともに、ワークショップ形式で実践的にソリューションの導入を支援する。2015年内は特定の顧客を対象にプレビューとして運営を開始し、2016年1月中旬以降に一般公開する予定。今後は、Software Defined Datacenter(SDDC)やビジネスモビリティ、統合パブリッククラウド、セキュリティなど、ユーザー企業のニーズに合わせて提供コンテンツを拡充しながら対象ユーザーを広げていく。
米国本社の同センターには、これまで毎年50社以上の日本企業が訪れ、利用している実績があるという。同センターのアジアでの開設は、オーストラリア(シドニー)に続くもの。統合ハイブリッドクラウドの潜在需要が高い日本に開設することで、顧客のビジネス価値創出を積極的に支援していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- vSphere Integrated ContainersとPhoton Platform:ヴイエムウェアのコンテナインフラ技術を、NTT Comが採用に向け検討と発表
NTTコミュニケーションズとヴイエムウェアは2015年11月9日、ヴイエムウェアが開発中のコンテナインフラ技術「VMware vSphere Integrated Containers」および「VMware Photon Platform」について、NTT Comがその採用の検討を進めると共同で発表した。NTT Comでは、一般企業向けのコンテナ環境は、セキュリティと性能に関するニーズに応える必要があるとしている。 - vCloud Air DR、仮想アプライアンスも:ネットワールド、災害対策などを強化したパブリッククラウドを提供開始
ネットワールドは、パブリッククラウドサービス「NETWORLD CLOUD」の販売を開始した。ニフティからOEM供給を受けるパブリッククラウドサービス「ニフティクラウド」に、複数の災害対策メニューや、迅速に仮想ネットワーク機器を配備する機能を用意するなど、独自のサービスを追加したもの。災害対策向けサービスを、2カ月間、無料で試用できるトライアル・キャンペーンも実施する。 - 新会社名は「Virtustream」:ヴイエムウェアとEMCがクラウドサービスで合弁会社設立へ
米EMCと米ヴイエムウェアは2015年10月20日(米国時間)、クラウドサービスを提供する合弁会社を設立すると発表した。新会社はVirtustreamの名を冠するが、これがvCloud Airのフェードアウトを意味するとは考えにくい。 - ヴイエムウェア、ハイブリッドクラウド管理基盤「VMware vRealize」を一新
ヴイエムウェアがハイブリッドクラウド管理自動化ソフトウエアの最新版「VMware vRealize Automation 7」などを発表。ITサービスの利用で発生するコストや利用状況を把握しやすくし、IT部門が自社に向けたサービス力の強化を率先できるソフトウエアとして展開する。