富士通の新クラウドサービス「K5」はOpenStackベース、だがそれだけではない:ヴイエムウェアとの協業拡大
富士通は2015年11月10日、クラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」に関連して、ヴイエムウェアとの協業を発表した。K5はOpenStackベースだったはずなのに、VMware vSphereを活用していくというように読める。なぜなのだろうか。
富士通とヴイエムウェアは2015年11月10日、@ITでは「富士通とヴイエムウェアが協業を拡大」という記事でお伝えした内容のニュースリリースを出した。正確には、富士通とヴイエムウェアの米国本社の連名の発表になっている。
このニュースリリースは、富士通の「FUJITSU Cloud Service K5」と、デスクトップ仮想化サービス「FUJITSU Managed Infrastructure Service仮想デスクトップサービスV-DaaS」の2つを柱としている。
このうち、K5関連の発表は、富士通がこのサービスにVMware vSphereを生かしていくように読める。ニュースリリースでは、次のように表現しているからだ。
「富士通とVMwareは、VMwareの技術を『FUJITSU Cloud Service K5』向けに最適化し、『FUJITSU Cloud Service K5』とお客様のオンプレミス環境で稼働する基幹システムをシームレスに利用できるようにします」
「両社は、企業のコンテナ利用を加速させる『VMware vSphere Integrated Containers』のテクノロジープレビュー版を活用し、『FUJITSU Cloud Service K5』のPaaS(Platform as a Service)機能を拡張させ、クラウド型アプリケーションの容易な開発、展開に向けて協力します」
特にvSphere Integrated ContainersはvSphereの機能として含まれていく技術であるため、これを利用することは、すなわちvSphereを使うことを意味する。しかし、K5はOpenStackをベースとしたIaaSとして企画されてきたはずだ。
「K5の基盤はOpenStackだけではない」ということなのだろうか。富士通に問い合わせたところ、K5の一部でvSphereを使うことが確認できた。以前よりK5では、富士通の提供する他のクラウドサービスや、他社のパブリッククラウドと連携していくと、同社は説明してきた。だが、今回の発表は、別サービスとの連携という話ではなく、K5というサービス自体で、一部ESXi/vSphereを使っていくということなのだという(vSphereの上にOpenStackをかぶせて統合管理するのかどうかについては確認できていない)。
これはユーザー組織における既存の業務アプリケーションに対応する必要があるからだという。だが、K5のサービスコンセプトが変わったわけではない。K5は、OpenStackをベースとし、基幹アプリケーションを含めた企業の業務アプリケーションのクラウドネイティブ化を支援するサービスとして、推進されていくという。
なお、V-DaaSは現在、K5とは別個のデータセンターで動いているが、今後K5に統合されていく。V-DaaSの世界展開に向けた、販売・マーケティング活動を展開する両社のプロジェクトチームは、60名体制で発足するという。
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