ここが変わったCentOS 7──「新機能の概要とインストール」編:CentOS 7で始める最新Linux管理入門(1)(1/2 ページ)
「CentOS 7」を皆さんどれだけ理解していますでしょうか。CentOS 7は、以前のバージョンから使い勝手がかなり変わりました。本連載では、今さら聞けない/おさらいしたいというインフラエンジニアに向け、CentOS 7の概要と基礎から活用Tipsまでを紹介していきます。
2014年6月、「エンタープライズOSを再定義する」として、前バージョンから多くの機能が刷新されたRedHat Enterprise Linux 7(以下、RHEL7)が発表されました。CentOS 7はRHEL7の互換OSとして同年7月にリリースされました。
RHEL7およびCentOS 7では、以前のバージョンからシステム管理に関する部分が大幅に変更され、使い勝手が変わっています。本連載では、「Linuxコマンドの基礎的知識はあるが、systemdなどのCentOS 7の機能についての理解はこれからというインフラエンジニア」を対象に、CentOS 7のシステム管理に関する部分を中心に新機能を解説していきます。
まずは、CentOS 7と以前のバージョン(CentOS 6以前)との違いについてまとめて見ていきましょう。その後、CentOS 7のインストールを行います。
ここが変わった「CentOS 7」
システムアーキテクチャにsystemdを採用
システムの高性能化に伴い、これまで採用されてきたinitのボトルネックを解消するために、systemdと呼ばれる新しいシステムアーキテクチャが採用されています。
ネットワーク管理方式の変更
これまでのCentOSでは、ネットワークの管理は主に設定ファイルを直接書き換える方式がメインでした。CentOS 7では、NetworkManagerとiproute2の搭載により、GUI/CLIベースでの管理に変更されています。
セキュリティ管理方式の変更
CentOS 7では、パケットフィルタリングを司るnetfilterのフロントエンドがiptablesからfirewalldに変更されています。
リリースは64ビット版のみ
CentOS 7は64ビット版のみのリリースとなりました。32ビット版は廃止されます。
対応論理CPU数が64から「160」に増加
CentOS 6では、対応する論理CPU数が最大64でした。CentOS 7では最大160の論理CPUをサポートします。その背景にはサーバーハードウエアの進化と仮想化技術/クラウド基盤の普及が影響していると考えられます。
カーネルが「3.10.0」に
CentOSの元であるRHELは、これまで標準のLinuxカーネルバージョンが2.x系と、他のディストリビューションよりも比較的「(よい意味で)枯れた」バージョンのLinuxカーネルが採用されてきました。
しかしRHEL7では、標準のLinuxカーネルバージョンが3.x系になりました。互換OSであるCentOS 7でも同様に3.x系になります。
これにより、以下の機能を実現します。
- テラバイトクラスの大規模メモリに対応
- テラバイトクラスのメモリを搭載した場合のkdumpに対応
- zswapと呼ばれるOSのスワップメモリを圧縮する技術により、ディスクI/Oの低減で性能向上を試みる仕組みを搭載
- アプリケーションなどのプロセスの配置を自動的に行い、性能改善を試みる機能を搭載
「XFS」が標準のファイルシステムに
CentOS 7では、これまでサポートされてきたext3、ext4に加え、XFSというファイルシステムがサポートされるようになりました。CentOS 7はXFSを標準のファイルシステムとして使用します。
CentOS 6のext4でサポートされていた最大ファイルシステムサイズは16Tバイトでした。CentOS 7のXFSでは最大500Tバイトとなります。XFSは最大容量の拡大以外にも、データの読み書きにおいて高いスループットを実現できるファイルシステムとして設計されています。
今後、搭載予定の機能
また、実運用への適用はまだ先になりそうですが、テクノロジプレビュー版を見てみると、以下の機能の搭載も予定されています。参考までに、ご覧ください。
- 複数のCPUに対応したクラッシュカーネルの起動に対応
- 「ダイナミックカーネルパッチング(kpatch)」により、稼働したままカーネルのパッチ適用が可能に
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