ウインドリバーが自動車向け組み込みプラットフォームを発表:VxWorksをベースに、Helixのラインアップを強化
ウインドリバーは、「Wind River Helix Chassics」製品群の1つとして、自動車向けのプラットフォーム「Wind River Helix Cockpit」を発表、「Helix Drive」もアップデートした。
ウインドリバーは2016年1月12日、自動車向けのプラットフォーム「Wind River Helix Cockpit」を発表した。自動車業界に特化したソフトウェアプラットフォームとして、自動車向けとIoT(Internet of Things)環境に共通するニーズに対応する。
併せて同社は、ISO 26262(自動車機能安全規格)の認証取得に対応した自動車アプリケーション開発支援ソフトウェア「Helix Drive」をアップデートした。Helix CockpitとHelix Driveは「Wind River Helix Chassis(Helix Chassis)」スイートの最新製品となる。
Helix Chassisは、コンシューマー向け組み込み機器(インフォテインメント、テレマティクス、デジタルクラスタシステムなど)や、安全志向のシステム(先進運転支援システム:ADAS、自動運転システムなど)のテクノロジーを実装できる他、クラウド型開発ツールや車載アプリケーション向けの機能が強化された(関連記事:「ウィンドリバーがIoT向けのプラットフォームを拡充」)。
ウィンドリバーでは、自動車の車内/外の接続の一層の強化が求められているとし、これまで航空宇宙・防衛などのミッションクリティカルな領域で同社が培ってきた組み込みソフトウェア技術を活用することで、自動車向けソフトウェア開発を迅速化し、IoT化に取り組むことが可能だとしている。
一方、Helix Cockpitは、GENIVIアライアンスの仕様に準拠したLinux Yocto Projectベースのソフトウェアプラットフォーム。拡張性の高いプラットフォームとして、各種業界のハードウェアやHMIツールに対応する他、製品の市場投下までのプロセスを短縮するためのIVIシステム向けフレームワークを提供するという。GENIVIアライアンスは、オープンソース車載インフォテインメント(IVI)ソフトウェアの広範な採用を促進する自動車業界団体で、日産自動車、ホンダなどの自動車メーカーの他、ボッシュ、デンソー、アルパイン、パイオニアなどが参加している。
今後は、Helix Cockpitでも複数の開発拠点をまたいでIoTアプリケーションを構築できる、クラウド型ソフトウェア開発環境「Wind River Helix App Cloud」を利用できるようにする予定だ。
また、今回アップデートされたHelix Drive(旧製品名はAutomotive Profile for VxWorks)には、ADASや自動運転のユースケース向け認証取得システムを中心とした、最新のノウハウや技術を盛り込んでいるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ウィンドリバーがIoT向けのプラットフォームを拡充
ウィンドリバーがIoTデバイス/ゲートウエイ向けOSに加え、クラウドベースの開発・テスト環境を無償で提供。デバイス管理プラットフォームの利用拡大を狙う。 - 人工知能の歴史と、グーグルの自動運転車が事故を起こさないためにしていること
本連載では、公開情報を基に主にソフトウエア(AI、アルゴリズム)の観点でGoogle Carの仕組みを解説していきます。今回は、ロボットの思考と行動のサイクルのうち「行動計画の立案」と「計画した動作の実行」について解説。最後に人工知能の歴史も。 - 第166回 AppleかGoogleか? クルマのIT化が次なる戦場
AppleとGoogleの戦いが自動車市場を舞台に始まった。両社のアプローチは違うものの、クルマのIT化をターゲットにしているのは同じ。さて、スマートフォン市場に続き、自動車市場でも両社の戦いは続くのか? - 車両情報の本格活用に向け「トヨタ・ビッグデータ・センター」を構築、ソフトウェアプラットフォーム開発にも意欲
トヨタ自動車が車載通信機のグローバル共通化推進を発表。併せて、UIEvolution、フォードらとの共同開発を発表した。「IT化の進展など、変化する環境を踏まえ、『つながる』技術を通じ『もっといいクルマづくり』を更に推し進めていく」としている。 - 日産はコネクテッドカーのクラウドインフラにAzureを採用
日産と米マイクロソフトは、日産の電気自動車などに搭載しているコネクトテレマティクスシステムに、「Microsoft Azure」を採用すると発表した。Azureを活用することで、ユーザーとクルマが相互にいつでもつながることができるさまざまな方法を提供するという。 - コネクテッドカーのセキュリティリスクは制御システムだけではない
一般的な自動車でさえボーイング747の7倍にもなるプログラムコードが含まれており、加えてコネクテッドカーではさらに複雑なセキュリティ対策が必要になるという。研究者らが考案するコネクテッドカーのセキュリティシステムのアイデアを紹介する。 - 「Google Car」が勝つかどうかにかかわらず、自動車産業は変質する
グーグルが完全な自律走行車の実用化を目指して、開発・検証、ロビー活動を進めているのは周知の事実だ。グーグルといえども既存の自動車メーカーに、従来の意味合いで容易に「勝つ」とは想定しにくい。それでも、既存の自動車メーカーには、「グーグル対策」を自社の将来と重ね合わせて考えなければならない理由がある。