NICT、8K映像のリアルタイム暗号化配信に成功:今年の雪まつりは映像配信のセキュリティ問題解消に取り組む
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、8Kライブ映像の超広帯域リアルタイム暗号化配信に世界で初めて成功したと発表した。
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は2016年2月4日、同機構のテストベッド研究開発推進センターが8Kライブ映像の超広帯域リアルタイム暗号化配信に世界で初めて成功したと発表した。新世代ネットワークに向けた研究開発の一環として、NICTが主催する産学官の関係組織46団体との連携による実証実験として実施したもの。NICTでは8K/4K映像配信の実用化に向けて必要不可欠なセキュリティを実現した配信実証実験だとしている。
実施した実験は、8Kの非圧縮ライブ映像を、IPsecを用いてリアルタイムに暗号化/復号して配信するというもの。NICTでは2015年に、8K非圧縮映像のマルチキャスト配信に成功しているが、配信時の途中経路でコンテンツ改ざんや盗聴などを防ぐセキュリティ対策が採られていなかった。8K映像配信は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて実用化が見込まれているが、その際のセキュリティ対策が課題となっていた。
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複数暗号方式の切り替えにはSDNを活用
今回の実験では、さっぽろ雪まつり会場で撮影された8K映像データを、暗号化した上で大阪うめきたの一般公開会場まで送信し、会場内で復号した。その際、複数の暗号化実装方式を用いたという。
各暗号化方式の実装は個別の機器に構築されており、実装方式の切り替えには個々の機器で設定を変更する必要がある。この設定変更が煩雑になる点が課題になっていた。実験では、NICTが研究開発・運用を進めてきたSDN(Software Defined Networking)のテストベッド「RISE」の技術を活用して、配信元と配信先にそれぞれ設置した機器の通信経路を遠隔操作で一括変更。これにより、短時間での切り替えが可能になったという。
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使用した回線は、NICTが2011年4月から運用している新世代ネットワーク技術の実現とその展開のための新たなテストベッド環境「JGN-X」の国内100Gbps基幹回線と、国立情報学研究所が構築中の学術情報ネットワーク「SINET5」。これにより、北海道から沖縄に日本列島を縦断する100Gbps回線が構築できた。沖縄を含む全国の拠点に向けて、札幌で撮影した8K非圧縮映像をマルチキャスト配信できる。
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