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模型飛行機にP2PにSNS――災害に強い情報通信ネットワークに必要な技術とはNICTオープンハウス2015リポート ネットワーク編(3/3 ページ)

2015年10月22、23日、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が研究成果を一般に発表する「NICTオープンハウス 2015」が開催された。ここではセキュリティ、ネットワークだけでなく、さまざまな分野の最新技術が分かりやすく発表されていた。本記事では、NICTが取り組むネットワーク研究の成果を紹介しよう。

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使われて進化する大規模テストベッド「JGN-X」「StarBED3

 NICTが運営する大規模テストベッド「JGN-X」「StarBED3」は前回のNICTオープンハウスリポートでも取り上げた。JGN-Xは大規模な研究ネットワークを、StarBED3は大規模なエミュレーション環境を提供するもので、開発/実証を行える総合的なテストベッド環境だ。これを利用した事例も多く、セキュリティエンジニアを発掘する取り組み「Hardening Project」で利用されるなど、さまざまな応用事例が登場している。

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川口洋のセキュリティ・プライベート・アイズ(54):

外部リソースの活用もポイントに、「Hardening 10 MarketPlace」開催

http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1507/13/news004.html


 NICTオープンラボ2015において、この大規模テストベッドを利用した事例が多く紹介されていた。例えば2015年のさっぽろ雪まつりにおいて、世界初の「8K非圧縮映像のIPマルチキャスト配信」に成功した事例でもJGN-Xのネットワークが活用されている。この事例ではリアルタイム志向のストリーミングクラウドの運用テストを、JGN-X上の100Gbps回線を用いて実証した。


JGN-Xを利用した「リアルタイム志向ネットワークコンピューティング技術を用いたストリーミングクラウド機能の検証」。この事例ではタイにも同時に配信を行っている

 身近な事例としても、学校の百葉箱に小型のセンサーを配置し、そのデータを集約、ビッグデータとして収集した気温、湿度、気圧などの情報をJGN-Xで処理し、地元の学校、自治体に再度解析済みコンテンツを配信するということも行ったという。

その他、「電子カルテなどの医療情報を、秘密分散技術によって分散配置する」事例にもJGN-XおよびStarBED3が利用されている。NICTがJGN-X上で運用しているOpenFlowコントローラーを使った大規模SDN、「RISE」においても、「単一障害点を有さないよう、災害などで回線に障害が発生しても速やかに復旧できる」技術の実証を行っているという。


JGN-Xを利用した「医療情報の秘密分散バックアップ技術の研究開発」

 JGNは1999年に運用を開始し、現在のJGN-Xは第4世代となる。2016年度より新たな次世代テストベッドの構築、検討を行っている。大学や病院、地方自治大での利用が活発になっており、事例が事例を呼ぶという好サイクルになっているという。

 この他、セキュリティに関する部門でも多くの研究成果が発表されている。別記事で紹介したので、こちらもぜひ参照してほしい。

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NICTオープンハウス2015リポート:

ビッグデータにIoT――これからの時代に必要な「暗号プロトコル」「プライバシー」研究最前線(@IT)

http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1510/31/news008.html


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