管理負荷を低減する「OpenLMI」を理解する──Linuxシステム管理の標準化とはどういうことか:CentOS 7で始める最新Linux管理入門(5)(3/3 ページ)
CentOS 7では、Linuxシステム管理インタフェースを標準化する「OpenLMI」が実装されました。インタフェースが統一されることで、ユーザーにはどんなメリットがあるのでしょう。OpenLMIで、管理負荷を低減させる運用方法を解説します。
OpenLMIで「システム概要」を取得する
OS情報、ファイアウォール、ネットワークインタフェースなどのシステム概要はsystemで取得します。
物理マシンでの実行例
# lmi -h localhost system ================================================================================ Host: nuc04.ec2.tokyo ================================================================================ Hardware: Serial Number: Not Specified Asset Tag: 0 CPU: Intel(R) Celeron(R) CPU N3050 @ 1.60GHz, x86_64 arch CPU Topology: 1 cpu(s), 2 core(s), 2 thread(s) Memory: 8.0 GB Disk Space: 26.8 GB total, 25.1 GB free OS: CentOS Linux release 7.2.1511 (Core) Kernel: 3.10.0-327.4.5.el7.x86_64 Firewall: on (firewalld) Logging: on (journald) Networking: NIC 1 Name: wlp2s0 Status: Not Available MAC Address: 34:02:86:58:35:DB NIC 2 Name: enp3s0 Status: In Service IPv4 Address: 192.168.0.233 IPv6 Address: fe80::baae:edff:fe77:3c9c MAC Address: B8:AE:ED:77:3C:9C
本検証機は、NICが2つ搭載されているハードウェアであることなども分かります。
仮想マシンでの実行例
# lmi -h localhost system ================================================================================ Host: lmi.atmark.link ================================================================================ Hardware: Red Hat RHEL 6.6.0 PC (kvm virtual machine) Serial Number: Not Specified Asset Tag: 0 CPU: Intel(R) Xeon(R) CPU E5-2650 v3 @ 2.30GHz, x86_64 arch CPU Topology: 1 cpu(s), 1 core(s), 1 thread(s) Memory: 1.0 GB Disk Space: 15.7 GB total, 13.2 GB free OS: CentOS Linux release 7.2.1511 (Core) Kernel: 3.10.0-327.10.1.el7.x86_64 Firewall: on (firewalld) Logging: on (journald) Networking: NIC 1 Name: eth0 Status: In Service IPv4 Address: 59.106.208.119 IPv6 Address: fe80::9ea3:baff:fe31:66a7 MAC Address: 9C:A3:BA:31:66:A7
仮想マシンでは、HardwareとCPUの項目はホストマシンの情報が表示され、それ以外は仮想マシンに割り当てられたリソースの情報が表示されます。
終わりに
あらためて、OpenLMIはWBEMやCIM(Common Information Model)といった業界標準技術や仕様を採用した、ベンダー非依存の分散システム管理統合化のための技術です。
今回は基本部分を中心に解説しましたが、OpenLMIが持つ管理機能は幅広く、ユーザー/ネットワーク/電源/システムサービス/ストレージ/ソフトウェア/パフォーマンスの管理から、ハードウェアの情報取得といった基本的なモニタリングの機能まで対応しています。
まだ、発展途上の部分はあります。しかし、2016年3月現在も活発に開発が進められており、今後は統合システム管理基盤として整備されていくことが期待されています。
以上、本連載は全5回でCentOS 7の概要と新機能を紹介してきました。以前のバージョンであるCentOS 6から大幅に刷新されたCentOS 7のアーキテクチャは、今後のLinuxシステムを管理していく上で重要なポイントになります。本連載がその理解の一助になれば幸いです。
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