わずか15分でDockerクラスタが手に入る! オープンなコンテナ環境――Azure Container Service:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(15)(2/2 ページ)
Microsoft Azureで新サービス「Azure Container Service」の一般提供が始まりました。プレビュー提供から、わずか2カ月で一般提供となったのは、完全にオープンソースのソフトウェアであること、そして「Azure Resource Manager」により、複雑なデプロイを自動化できるからです。
Docker Swarmとは?
「Docker Swarm」は、Dockerのネイティブなクラスタリング環境です。
- Docker Swarm[英語](Docker)
Docker Swarmでは標準のDocker APIを利用できるため、LinuxやWindowsのDockerクライアントやさまざまなDocker対応ツールから簡単に接続できます。Docker Swarmで構成されたAzure Container Serviceへは、SSHトンネル経由でDocker APIのTCPポート(2375)に接続することができます(画面4)。
画面4 Docker Swarm構成のAzure Container Serviceへは、SSHトンネル経由でDockerクライアントから接続できる。Azureポータルに表示中のリソースは、Azure Container Serviceのデプロイで自動作成されたもの
DC/OS(Apache MesosおよびMarathon)とは?
「DC/OS(Datacenter Operating System)」は、スケーリングとオーケストレーションを行う「Apache Mesos」を中心に、「Marathon」や「Chronos」などのタスク管理ソフトウェアを統合したオープンソースプロジェクトです。なお、マイクロソフトもこのDC/OSプロジェクトに参加しています。
- DC/OSプロジェクト[英語](DC/OS)
Azure Container ServiceでDC/OSを選択すると、MesosとMarathonが構成され、DC/OS、Mesos、MarathonのWeb UI(ユーザーインタフェース)が利用可能になります。これらのWeb UIでは、クラスタの管理やノードの状態、コンテナのデプロイ操作、デプロイ状況などを確認できます。
また、各コンポーネントのREST API(Mesos Scheduler API、Marathon API)を介して接続することもできます。Web UI、REST APIのいずれも、SSHトンネルを経由して接続することができます(画面5)。
将来的にはWindowsコンテナのサポートも
現在のAzure Container ServiceはLinuxベースであり、Azure Container Service上にデプロイできるのは、LinuxベースのDockerコンテナに限られます。将来的には、Windowsコンテナのサポートが統合されるようです。
マイクロソフトはWindows Serverの次期バージョン「Windows Server 2016」で、Docker APIにも対応する、Windowsベースのコンテナ技術「Containers」を提供します。また、マイクロソフトはMesosphereと協力して、Apache MesosをWindows Serverに対応させようとしています。これらが実現する将来、Azure Container ServiceにおいてWindowsコンテナのサポートが追加されることになるでしょう。
Azure Container Serviceは、「オープンソースに基づいたマイクロサービスの実装」といえるでしょう。これとは別に、マイクロソフトはMicrosoft AzureおよびオンプレミスのWindows Serverに対して「Service Fabric」という独自のマイクロサービスを提供します。
「Azure Service Fabric」は2016年4月1日に一般提供を開始、「Service Fabric for Windows Server」は同じ日にパブリックプレビュー提供を開始しています。現状、これらにLinuxやコンテナへの対応は含まれませんが、将来的には追加され、Microsoft Azureや、そのオンプレミス実装である「Microsoft Azure Stack」でも、LinuxコンテナやWindowsコンテナがサポートされることになるでしょう。
- Azure Service Fabric(Microsoft Azure)
- Service Fabric for Windows Server(Microsoft Azure)
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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