Windows ServerのDockerサポートとは?――あなたの知らないコンテナーの世界(その1):vNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目(26)(4/4 ページ)
2015年8月20日(日本時間)、Windows Server 2016の最新プレビュー版「Windows Server 2016 Technical Preview 3(TP3)」が公開されました。TP3では、コンテナーテクノロジおよび「Docker」のサポートが初めて提供されています。今回からは、Windows Serverのコンテナーテクノロジを解説していきます。
コンテナーを試したいならMicrosoft Azureが手っ取り早い
Microsoft Azureの有効なサブスクリプション(無料評価版を含む)をお持ちの場合は、Azure仮想マシンの「Windows Server Container Preview」テンプレートを利用できます(画面7)。このテンプレートは、Windows Server 2016 TP3のServer Coreインストールをベースに、「SetupContainer.ps1」でセットアップしたのと同等の環境を提供します。Azure仮想マシンの作成が完了すれば、すぐにコンテナーの作成と実行を開始できる環境が手に入ります(画面8)。
画面8 「Windows Server Container Preview」を選択してAzure仮想マシンを展開すると、「ContainerSetup.ps1」でセットアップしたのと同等の環境がすぐに手に入る
Microsoft Azureには、Dockerに最適化されたCoreOSのテンプレートや、Dockerを含むUbuntuのテンプレート(こちらは新しいポータルの「Marketplace」でのみ利用可)が用意されています。これらのLinuxベースのDocker環境と同じように、Windows ServerベースのDocker互換環境を展開できるのです。
Nano Serverもコンテナーホストにできる(予定)
Windows Server 2016を軽量化したリファクタリング版の「Nano Server」は、サーバーの機能「Containers」をサポートする予定です。つまり、Nano Serverは、Windows ServerコンテナーやHyper-Vコンテナー(未提供)を実行するための、コンテナーホストとしてサポートされるということです。
Windows Server 2016 TP3のNano Server用パッケージフォルダー(インストールメディアのNanoServer\Packages)には、「Microsoft-NanoServer-Containers-Package.cab」が用意されていますが、残念ながら、このパッケージをNano Serverに組み込んでも正常に動作しないようです(画面9)。
Windows ServerコンテナーのベースOSイメージが、9GB以上になることに驚く人は多いのではないでしょうか。例えば、「Docker Hub」から入手できるUbuntuイメージは200MB以下で、Dockerエンジン上のコンテナーでUbuntuのアプリケーション環境を提供できます。一方、「SetupContainer.ps1」の中でダウンロードおよび展開されるWindows ServerコンテナーのベースOSイメージのサイズは、Windows Serverを物理環境にクリーンインストールしたのと大差ありません。
これは筆者の想像ですが、コンテナーホストとしてNano Serverをサポートするためにこのサイズになったのではないでしょうか。Nano ServerはWindows Serverのリファクタリング版であり、わずか数百MBのサイズしかなく、通常版のWindows ServerのOSファイルの多くを備えていないからです。コンテナーホストが持たないものは、コンテナーのベースOSイメージが提供することになります。
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筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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